過去のアーカイブ過去のニュース

【環境コミュニケーションWG】これからの企業のCSRはどうなる?を話しあう「環境コミュニケーションワーキンググループ」に密着!

kan_com_1107_01.jpg

エコッツェリアの会員企業のCSR担当者が集まって、よりよい「環境コミュニケーション」のあり方とは何か、そしてそれをどう伝えていけば良いのかをワーキングショップ形式で考える環境コミュニケーションワーキングが今年も始まりました。

環境コミュニケーションワーキングは、先進事例に学ぶ座学だけにとどまらず、ワークショップなどを通して実践的に「環境コミュニケーション」を学び、新しい時代のCSRについて考えていくワーキンググループです。「人に伝わる、人を動かす環境コミュニケーション」の方法を共有し、参加企業の環境ブランド、環境価値向上につなげていくことを目的に開催しています。

7月11日(月)に行われた第1回は、コーディネーターの鈴木菜央さんから、ワーキンググループの概要と今年のテーマについて説明から始まりました。

鈴木 新しい時代のCSRをワークショップ形式で学んでこうというのがこのワーキンググループの趣旨です。毎年3月に、1年のワーキングの成果をまとめた大丸有CSRカタログ「エコのまど」を発行して、同時のここエコッツェリアにて、パネル展示も行います。
そして今年は、丸の内地球環境新聞と連携して、毎回の成果をウェブの連載という形でも掲載することになりました。

参加者ひとりひとりの自己紹介が和やかに進んだ後、いよいよグループに分かれてのワークショップが始まりました。テーマは2つ、「震災」と「省エネ」です。各企業は震災にどう対応し、どんな省エネ策をとっているのでしょうか?約1時間の話し合いの後、それぞれのグループに発表して頂きました。


最初のグループは全員女性で、参加メンバーは、鹿島建設株式会社、大成建設株式会社、株式会社ティップネス丸の内スタイル、ヨシモトポール株式会社からの4名です。

kan_com_1107_02.jpg

それぞれに別の業界での取り組みに興味津々な様子が伺えました。

震災について建築業界からは、まちの復旧や物資の支援といった面で業界全体で支援を行っていて、復旧に関しては法律が変わってゼネコンもがれきが撤去できるようになるなど体制も整ってきているということでした。ティップネスでは被災地の花を買ってクラブに飾るという試みを行っており、ヨシモトポールでも被災地で野菜ができたら送ってもらえるというオーナー権の制度を使った支援を行っているということで、ともに被災地の「ものを買う」という形での支援も行っているということでした。

省エネについては、各社照明を減らす、空調の温度を上げる、遮熱シートを窓に貼るなどの対策を行っている他、鹿島建設では人感知センサーなどの設置、ティップネスでも入居しているビルに冷水を使った空調システムがあるなどすでに高度な省エネシステムが導入されておりいるとのことです。ヨシモトポールでは、節電の為工場を夜間稼働させることになって社員の勤務形態が変わったため、健康管理の面で不安が生じているなど、空調と熱中症の問題なども含めて節電と健康の関係を考えて行かなくてはいけない、などの問題提起がされました。

次のグループ、参加メンバーは鹿島建設株式会社、株式会社日比谷アメニス、財団法人電力中央研究所からの3名です。

kan_com_1107_03.jpg

男性ばかり、しかも全員が昨年も参加していたというベテランが集まったこのグループは、みなさん既に顔見知りの間柄。和やかな雰囲気ながら、熱い想いが飛び交うディスカッションとなりました。

「震災の被災地支援」については、それぞれの業態"らしさ"が表れる形に。電力中央研究所と鹿島建設は、"復興=本業"であり、それぞれ被災地のニーズに応えるために大忙しの様子。一方で日比谷アメニスは、復興後のタイミングで「人間らしく暮らす」環境づくりを行い、心を彩る支援を行いたいとのこと。また、どの組織もスタッフの復興支援に対する意識は高く、社員自らボランティアへ参加する他、希望者の給与から義援金を天引きする制度を設けたという事例もありました。

続いてのテーマ「省エネ対応」では、電力中央研究所が各事業所でピーク時の電力を約50%削減したという成果が話題の中心に。輪番操業により業務時間や季節を平準化したこと、使用電力を"見える化"してリアルタイム監視したこと、PCの設定を見直したことなど、豊富な節電アイデアが披露されました。

そんな会話の中から生まれたのが、「28℃」という夏の室内温度の目安についての疑問。本来は「室温を28℃に保つ」という意図にも関わらず、「エアコンの設定温度を28℃にする」と間違って解釈されている事実、皆さんご存知でしたか? 28℃設定でも、実際にはもう少し気温が上がってしまうこともあり、数字にこだわり過ぎて暑さを我慢しているオフィスもあるかもしれません。また、同じく情報という側面から見た問題点として、節電の目的が曖昧になっていることに対する指摘も。この夏の当面のピークカットが目的なのか、それとも長期的な省エネルギー社会を見据えた節電なのか。電気を使用すること自体を"悪"とする無理な節電では、一時的ブームに終わってしまう可能性もあるため、正しい理解のための適切な環境コミュニケーションが必要だという結論に至りました。

次は、旭硝子株式会社、有限責任監査法人トーマツ、株式会社ティップネス丸の内スタイルから3名が参加したグループです。

kan_com_1107_04.jpg

震災については、旭硝子では本業を生かして落としても割れないお皿6万枚などの寄付を行ったとのこと。旭硝子もトーマツもボランティアの派遣も積極的におこなったそうです。問題点として出たのは、各企業がそれぞれにできることを単独で行っていることが多いということで、企業がタッグを組めばもっと出来ることがあるのではないかということでした。例えば現地で運動不足が問題になっているということで、ティップネスのインストラクターを他の企業の支援で派遣できないかというようなことを考えなければいけないという意見が出ました。

省エネについては旭硝子ではサマータイムを導入しているということですが、出勤時間が早まることで午前中に間食をする社員が増え、肥満の問題が生じるかもしれないということでした。節電の為に体に負担がかかるその対策が必要ではないでしょうか。また、視覚や聴覚で涼しさを演出することで省エネにもつながるし、ストレスも軽減されるのではないかという提案もありました。

最後のグループの参加メンバーは、株式会社日比谷花壇、財団法人電力中央研究所、株式会社三菱東京UFJ銀行、株式会社大林組からの4名です。

kan_com_1107_05.jpg

インフラに関わる企業からの参加者が多かったこのグループでは、大規模な支援の話が多く聞かれました。

震災について、日比谷花壇では「ひまわりプロジェクト」で、首都圏で育てたひまわりを名取市に贈り育ててもらうことで気持ちの面での支援を行なっており、電力中央研究所は電力不足解消の対応を、大林組は主に北関東の建物や鉄道の復旧でインフラの整備など、本業で復興を支援、三菱東京UFJ銀行は震災直後から義援金口座を開設し、現在でも社内で給与天引き制の被災遺児・孤児の支援基金をつくり長期的な支援を行っていく予定であるということでした。

省エネについて、電力中央研究所と大林組は電力使用量の25%削減を打ち出しており、大林組は電力使用の85%を占める工事現場での省エネのため、大型機械の使用時間帯をピークからずらすなどの対策をしているとのこと。電力中央研究所は社内の電力使用の見える化を進めると同時に電力使用量の多い研究所の稼働スケジュールを調整し、研究員の休暇も取り入れる予定だそうです。日比谷花壇ではパソコンの電力などで、三菱東京UFJ銀行では店舗空調や照明を抑えることで節電対策をしているとのことです。


本当に様々な意見が出た話し合いを受けて、鈴木菜央さんは「今後長期的にエネルギー消費の少ない社会を作っていこうという目標を達成するためには、単純なアクションの集積だけではそれを達成できず、あらゆるステークホルダーが継続的に話し合って知恵を共有していく必要があるということを、僕自身も学びました」とまとめました。

丸の内地球環境新聞では、今後もこの環境コミュニケーションワーキンググループを追って行きます!

関連記事