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いざという時のために身につけたい! 心肺蘇生とAEDの使い方をゼロから学ぶ「救命セミナー」、丸の内消防署にて開講中

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丸の内消防署員による、「命を救う」ためのセミナー

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駅やビルの中でも頻繁に見かけるようになったAED(自動体外式除細動器)。それが「命を救う」ためのものであることは、みなさんご存知だと思います。でも、肝心の使い方は? AEDがあっても使い方を知らなければ、いざ目の前で人が倒れたとき、適切な手当をすることはできません。

丸の内消防署で今年1月より開講中の「救命入門コース」は、そんなみなさんのための実践的セミナー。消防署員のみなさんが講師となり、90分間で救命のための基本手順を学ぶことができます。(1年以内に「ステップアップ講習」を受講すれば「救命技能認定証」の取得も可能だそうですよ)

初めての人から本格的に学びたい人まで、幅広いニーズに応えてくれる救急セミナー、今回は3月15日(木)に大丸有エリアマネジメント協会と共催で行われた「救命入門コース」の様子をレポートでお届けします。

救急車が到着するまでは約7分。その間の応急手当が命を救う!

kyukyu_kaijou300.jpg午後7時、会場の丸の内消防署には、仕事帰りの受講生のみなさんが続々と集まってきました。ご覧の通り、会場は満員御礼。募集開始当初は30名の定員だったところを、60名にまで増やしたとのことで、その人気のほどがうかがえます。

人体模型を囲んで着席し、まずは講師を務める、丸の内消防署の消防司令補・渡部氏から、今日の講習の内容と目標について説明を受けます。「救命入門コース」で学ぶのは、成人に対する心肺蘇生とAEDの使い方。反応も呼吸もない傷病者を発見してから、救急車が到着するまでの間に、AEDを活用した心肺蘇生行動ができるようになることが、この講習の到達目標です。

渡部氏によると、通報してから東京消防庁の救急車が到着するまでにかかる時間は、約7分。その間、その場に居合わせた人(バイスタンダー)がけが人や急病人に対して応急手当を速やかに行えば、傷病者の救命効果や社会復帰率が向上します。応急手当の第一の目的は救命。短い時間に適切な措置をとることが、大事な命を救うことにつながるのです。

意外に力が要る? 心臓マッサージを体験!

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応急手当の重要性を理解したところで、いよいよ人体模型を使った実習へ移ります。まずは消防署員の方による模範演技で、倒れた人を発見してから胸骨圧迫(心臓マッサージ)まで、一連の動作を学びます。周囲の安全を確認し、肩をたたいて声をかけながら反応を確認。反応がなければ、「救急車を呼んでください」「AEDを持ってきてください」と周囲への助けを求め、呼吸の確認後、胸骨圧迫を30回行います。

その動きを参考に、今度は受講生全員が、まずは胸骨圧迫を体験。さらに、一連の動作を通した実習へと移ります。一定のリズムに合わせながら行うマッサージは、意外に力が要るようで、受講生のみなさんは慣れない動作に悪戦苦闘。通しの実習では、一つひとつの動作を隣の人と確認しながら進め、受講者同士のコミュニケーションも活発になってきました。

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とにかく落ち着いて操作を。AEDを使った実践演習

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そしてセミナーは後半、いよいよAEDの使い方を学びます。まずはテキストを使って、その役割を確認。「止まった心臓を蘇らせるためのもの」と思っている方もいるかもしれませんが、これは間違いで、「一時的に不整脈になってしまっている心臓の動きを正常に戻すためのもの」が正解です。(ご存知でしたか?)

難しそうに感じるAEDの操作ですが、基本的には、音声メッセージに従えばOK。「呼吸を確認してください」「パッドを胸に装着してください」と順次指示をしてくれるので、その通りに一つひとつの動作を進めます。「本当に不整脈かどうか」も、AEDが自動的に判断してくれます。不整脈でなければ電気ショックを与えることもありませんので、私たちはビクビクすることなく、とにかく落ち着いて操作することが大事なのです。

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AEDが到着したら、2人1組となり、1人は胸骨圧迫を続け、もう1人がAEDの操作を行います。もしどちらかがAEDを使えなかったり、疲れを感じていたりするときは、声をかけあい、リズムよく交代して胸骨圧迫を途切れさせないようにします。AEDのフタを開け、アナウンスの通りに電極パッドを取り出して身体に貼り付けると、「身体に触らないでください」という指示。AEDが不整脈を判断し、適宜電気ショックを与えていきます。その後「胸骨圧迫を続けてください」という指示が出たら、また圧迫の動作を再開。それを繰り返して、救急車の到着を待ちます。

実習では、やはりスムーズにはいかないこともありますが、消防署員の方がマンツーマンで丁寧にアドバイスをしてくれます。触ったこともなかったAEDを実際に操作してみて、受講者のみなさんも少し自信を持った様子でした。何よりも大事なのは、いざというときに落ち着いて行動すること。そのためにも、このような講習で一度でも経験しておくことが意味を持ってくるのだと思いました。

震災から1年、改めて「共助」の意識を

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講習の最後には、受講生の代表3名が前に出て今日学んだ動作を通して行い、受講生全員で、改めて確認を行いました。質疑応答では、「ガイダンスを聞き漏らしたら?」「雨が降っていたら移動した方がいい?」「AEDが近くにない時は?」など、次々に質問が飛び出し、みなさんが積極的に実践に活かしていこうという姿勢が垣間みられました。講師の方からステップアップ講習の説明を受け、90分の講習は終了となりました。

講習中、受講生のみなさんにお話を聞くと、「AEDを街で見かけるけど、いざ使おうと思っても使えない。使えるようになりたい」と、緊急時に「何か役に立ちたい」という思いで参加した方が多い様子でした。また「震災を経験したことも大きい」という声も。都市防災におけるキーワードは「自助」「公助」「共助」と言われます。震災から1年、つながりの大切さを再認識し、改めて「共助」の意識が高まっているのかもしれません。

救命セミナーの入門編「救命入門コース」は、今後も定期的に開催される予定です。救命の現場で働く消防署員の方から応急手当をゼロから学べる、滅多にないチャンス。この機会に一度、参加してみてはいかがですか? 詳しい開催日時は、丸の内消防署にお問い合わせください。