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僕らは「発酵」しながら生きている!丸の内朝大学・春学期のニューフェイス「発酵クラス入門編」で、その脅威のパワーを体感してきました。

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「発酵」で人生が楽しくなる? 注目の新クラスがスタート!

この春で4年目を迎える丸の内朝大学。4月中旬からは続々と春学期の授業がスタートし、新たな学びに挑戦する生徒のみなさんが、出勤前、朝の丸の内に通い始めました。

hakko_class.jpgこの春学期、丸の内地球環境新聞が注目したのは、食学部に新たに登場した「発酵クラス入門編」。身体にも心にもよい影響があり、生活に取り入れると人生が楽しくなるという「発酵」の魅力を、調理実習やフィールドワークを通して体感。最終的には暮らしの中で使える実践の知恵を身につけることを目指す、全8回の講義です。

なんと申し込み開始からわずか10分で満席になってしまったほどの人気を集めた「発酵クラス入門編」、その初回講義の様子をレポートでお届けします。

日本の食文化のベースに「発酵」あり!

hakko_001s.jpg 「発酵クラス入門編」のキャンパスは、国際ビルにある「ABC Cooking Studio 丸の内グラウンド」。明るいキッチンのある会場にエプロン姿で登場したのは、講師を務める「なかじ」さん。自然酒の造り酒屋「寺田本家」の蔵人で、日本に発酵文化を広めるべく、発酵料理教室やワークショップなどを全国で展開する、発酵業界の人気者です。

まずは基本中の基本、「発酵とは?」をテーマに講義がスタートしました。なかじさんはまず、このクラスのプロモーション用に使われている写真(この記事の上から2番のもの)に写っている緑色の「麹(こうじ)」を、発酵文化の象徴として次のように説明しました。

「日本人が昔から食べてきたものの中には、発酵食品がたくさんあります。味噌、醤油、酒、みりん、酢など、日本食のベースとなるものは、すべて発酵食品です。その発酵食品は、どれも秋にお米に生えるカビ(=麹)からつくられています。お酒は麹とお米、味噌は麹と大豆、醤油は麹と大豆と麦。全て、麹菌がいる田んぼから始まっています」

なかじさんは、「お米は命の詰まった種」であると言い、白い麹を手に取ってみせてくれました。

「これは蒸したお米を乾燥したもので、白いカビがついています。カビにもいろいろな種類があって、食べても美味しいものがある。それが麹です。麹には緑色の胞子の部分と白い根の部分があり、その白い根から出る酵素が、いろいろな発酵食品をつくりだします」

酵素は人間の唾液と同じで、ものを分解して次のエネルギーに変えるもの。人間が持つ酵素には、唾液や胃液などがあります。なかじさんによると、ご飯を口に入れて噛むと甘く感じるのは、唾液でお米が分解されているからなのだとか。

その「分解」を実感するため、生徒のみなさんには、なかじさんお手製の甘酒(アルコール分解していないもの)が配られました。お待ちかねの試飲タイムです。

甘酒の試飲で実感!発酵のチカラ

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白くて少しどろっとした食感の甘酒を口にした生徒のみなさんからは「いろんな味が詰まっている」「市販のものと違う味」「ザ・発酵という感じ」と、様々な感想が。なかじさんはこの味について、次のように説明しました。

「発酵したものは、甘さ・酸っぱさ・辛さ・苦さ・しおからさの「五味」全てが出てきます。お米の中にぎゅっと詰まっていたエネルギーが麹の酵素によってバラバラにされることにより、別の味として味わうことができるのです。

この「分解していく」ということが、酵素のひとつの役割。分解すると栄養になって、次の命のエネルギーになります。全ての命は太陽が創り出したもの。私たちは植物が光合成によって集めた太陽エネルギーを、食べて発酵によって分解して、エネルギーに変えて生きています。

つまり発酵とは、狭い意味では「微生物による有機質の分解」ですが、大きな意味で言えば、「命のつながり」のことなのです」

炊飯器でカンタン。自分で甘酒をつくってみよう!

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発酵は命のつながり。そんな概念を理解したところで、生徒のみなさんはクッキングスタジオに移動。なかじさんの実演を通して、甘酒のつくり方を学びます。準備されたのは、写真の生麹と炊飯器で炊かれたおかゆ。おかゆには、塩がひとつまみ入っています。

まず、アツアツに炊いたおかゆに、ちょうど良い粘度になるまで水を加えていきます。目安は「指を入れて3秒で熱いと感じる」温度。なかじさんによると、昔の人は温度計を使わず、このような肌感覚で適温を見定めていたとのこと。発酵食品を日常の習慣にするためには、こんなふうに自分が楽にできる方法を身につけることも、大事なポイントのようです。

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細胞が変質する温度は60℃だと言われますが、適温になったおかゆに麹を入れると、ちょうどその直前の「58℃」になります。ここでは「指を10秒入れて我慢できるくらい」の温度が目安。なかじさんが適温を見極めたところで、実際に温度計で測ってみると、ぴたり58℃!お見事な結果に、生徒のみなさんからもどよめきが。あとは、麹を入れ、8~12時間、炊飯器でフタを少し開けた状態で保温。お米が溶けて甘くなっていれば、甘酒の出来上がりです。

意外に簡単な甘酒づくり。なかじさんの調理を見守りながら、生徒のみなさんは、「市販の乾燥麹でもできますか?」「保存はどのくらいできますか?」と熱心に質問をしていきます。なかじさんもそれに丁寧に答え、活気あふれる雰囲気の中、あっという間に1時間が経過。この日の講義は終了となりました。

初回の講義を聞いただけでも、かなりの奥深さを感じた発酵の世界。次回は甘酒を使った応用編として、麹コチジャンを調理するとの予告もあり、生徒のみなさんも期待感いっぱいの様子でそれぞれの会社へ出勤していきました。今後がますます楽しみな「発酵クラス入門編」。朝大学の新たな顔として、丸の内に"発酵旋風"を巻き起こしてくれそうです!

丸の内朝大学 発酵クラス入門編〜心と身体がわくわくプクプク!豊かな発酵ライフを生きる〜

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