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丸の内朝大学「決定版!究極のカレークラス」に潜入。ご当地カレーのあれこれを学んできました!

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9月3日(月) AM7:15、丸の内仲通りビル1F「RESTAURANT CAFÉ GARB」。月曜の早朝から皆さんなにを真剣に勉強しているのかというと驚くなかれ、"カレー"について。スパイスのおかげかパワフルな人が多いと評判の、丸の内朝大学「決定版!究極のカレークラス」の講義最終回に潜入してきました。講師は井上岳久氏。横濱カレーミュージアムをプロデューサーとして成功させた後、カレー総合研究所を立ち上げ独立。文字通りカレーだけで飯を食っているという、カレー研究の第一人者です。

asadaicurry_3.jpg この日のテーマは"ご当地カレー"。週末の9月8日(土)、北関東の名店を巡るという最後のフィールドワークに向けて、"ご当地カレー"の現状を学びました。

"ご当地カレー"、何都市くらいにある?

ぱっと思い浮かぶのは北海道のスープカレー、横須賀の海軍カレーなどでしょうか。実はなんと100都市以上もあるのだそう。井上氏のピックアップした"ご当地カレー"が「知っている人?」と読み上げられるも、カレーを愛する皆さんの集まるこのクラスですらぱらぱらと手があがる程度。意外と知られていませんね。

"ご当地カレー"の担い手は、自治体・商工会議所型、市民団体型、勝手連型から運営主体が特にないという型までさまざま。また、展開の型としては、メニューを提供する店舗が地域内に20~30店と集中する"飲食店"型と、レトルトパウチにして販売する"レトルト"型があり、冒頭100都市で展開されていると紹介されたのがこの"飲食店"型。代表的なものに、横須賀海軍カレー、札幌スープカレー、門司焼きカレー、大阪混ぜカレーなどが挙げられます。レトルト"型は市場に常時2000種は出まわっているという改廃が激しい商品で、低予算から参入できてしまうため、新商品を出してはすぐにやめてしまうという傾向にあるのだそう。

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"ご当地カレー、なぜいまいち盛り上がらない?

疲弊する地方ではなにかしなければという焦燥感から、食べ物で町おこしをしようとなると、簡単・みんなが知ってる・商品展開しやすい=カレーと安直に始めてしまい、その結果続かないというのがよくあるパターンとのこと。たしかに、名物の野菜でカレーを作りましたと言われても、それだけではわざわざその地まで行って食べたいとは思いませんよね?

"ご当地カレー"に足りないものを考える

食を基軸にした町おこし。カレーではまだまだというのが実際のようですが、讃岐うどん、仙台牛タン、富士宮焼きそば、宇都宮餃子、佐世保バーガーなど他では成功事例もあります。香川県の讃岐うどんでは、県内への移住者が増えたり、外食産業として全国でチェーン展開したりとビジネスへの波及効果も認められています。

成功事例に共通するのは、付け焼き刃ではない確立された味。まずは地元の人に支持される味を長期にわたって作りあげている点です。そのうえで、リーダー、プロデューサー、スポンサーと、それぞれのポジションでプロジェクトを支える組織がしっかりしていること。

ここで井上氏は、リッカート(ミシガン大学社会調査研究所所長)のプロジェクトを成功させる組織の3つの共通項1)強いリーダーシップ 2)高い業績目標 3)集団的意思決定 を提示したうえで、2)に注目。

「町おこしでは、なかなか目標設定がしづらいのが難しいが、まずはそこをはっきりさせることが必要。その点、横須賀は"定住者を増やす"、また豊橋カレーうどんを打ち出している豊橋は、"讃岐、稲庭に続く、三大うどんの最後の1つとして名乗りを挙げる"という明確なゴールを設定している。カレーで町おこしの成功例として確立できるか、今後に注目したいですね」

商品開発や各地のプロデュースにも関わる井上氏からは裏話もどんどん飛び出し、"ご当地カレー"についての知識をたっぷり詰め込んで、この日の講義は終了。週末のフィールドワークでは、日光金谷ホテル100年カレー、那須の地元食材をふんだんに使った、野菜のグリーンカレーと大田原牛カレーと3食を食べ歩くのだそうです。

授業後に井上氏にお話をうかがいました。

ーまず、ご自身のカレーとの出会いについて教えていただけますか?

「高校生のころ野球をしていて、各地を遠征でまわりました。楽しみは食べ歩き。カレーや、餃子、ラーメンなんかをよく食べましたね。社会人になってからも週末に食べ歩くという趣味はありましたが、まさか仕事になるとは。きっかけは、横濱カレーミュジアムの立ち上げ。会社のお金で仕事時間内に全国のカレーを食べ歩けたという経験はありがたいですね」

ーずばり、カレーの魅力とは?

「飽きないところ。15年くらいこの仕事をしていますが、今でも1日1食はカレー。食べるのももちろん、うんちくやエピソードなどのネタも尽きないので、面白いです。レシピ開発にも携わっているので料理の勉強にも手を広げると、また違った一面が見えてくる。とにかく広くて深いんですよ」

ー最後に、今注目のカレーを教えてください!

「チキンティカマサラ。イギリスではカレーといえばこれが定番。バターチキンをあっさりさせた感じですが日本ではまだあまり知られていません。あとは薫製のカレー。レトルトやルーも発売されています。みんなちょっとやそっとでは驚かなくなっちゃったので、どんどんマニアックなものが出てくるでしょうね」

すっかり国民食として定着した感のあるカレーですが、まだまだ伸びしろがあるようです。
帰り際に、カレールーは何種類か混ぜるといいと聞いたのですが本当ですかとうかがったところ、「混ぜるなら、ルーよりカレー粉のほうが味が変わって面白いと思いますよ」とアドバイスをいただきました。まだまだ厳しい残暑を乗り切るためにも、チキンティカマサラ、薫製カレー、いつものカレー+カレー粉を試して、広くて深いカレーの世界に、皆さんも一歩踏み込んでみませんか?