丸の内地球環境倶楽部

第8回地球大学アドバンス「洞爺湖サミットからポスト京都へ」

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日時:
2008年7月29日 (火) 18:30〜20:30 ※終了しました

ゲスト:
枝廣淳子氏(環境ジャーナリスト、有限会社イーズ代表、JFS共同代表)
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トピックス

・福田内閣「地球温暖化対策懇談会」から見えてきたもの

・"国民が主役"と参加性や意識改革の重要性を説いた「福田ビジョン」の評価
・G8洞爺湖サミットの評価、サミットを経て見えてきた"地球社会のなかの日本"
・「ポスト京都」で目指すべきビジョン、そこでの日本のリーダーシップ
・私たちがいま出来ること、やるべきこと

モデレータよりコメント

環境ジャーナリストとして八面六臂の活躍の枝廣淳子さんは、レスター・ブラウンやアル・ゴア「不都合な真実」の翻訳者としても知られ、最近は福田内閣の地球温暖化対策懇談会の委員として、洞爺湖サミットにむけた「福田ビジョン」策定にも尽力されてきました。福田ビジョンについては、"まだまだ踏み込みが甘い"との批判も各方面から上がるなか、その渦中で経済界の「抵抗勢力」とつばぜり合いを重ねてきた枝廣さんは大きな一歩と評価されています。

今回は、洞爺湖サミットを終えた時点で、福田政権と日本のスタンスをどう見るか?来年のコペンハーゲン(ポスト京都)にむけて、これからの本当に大事な1年に何をすべきか?を枝廣さんとたっぷり議論したいと思います。

プロフィール

枝廣淳子(えだひろ・じゅんこ)枝廣淳子(えだひろ・じゅんこ)

環境ジャーナリスト、翻訳家、(有)イーズ代表、(有)チェンジ・エージェント、NGOジャパン・フォー・サステナビリティ(JFS)共同代表。

東京大学大学院教育心理学専攻修士課程修了。講演、執筆、翻訳等の活動を通じて「伝えること、つなげること」でうねりを広げつつ、行動変容と広げるしくみづくりを研究。個人や企業・組織を対象とした「システム思考」などのセミナー・ワークショップ・コンサルティング・通信講座をっている。

著書『朝2時起きで、なんでもできる!』や訳書『不都合な真実』など多数

竹村真一(たけむら・しんいち)竹村真一(たけむら・しんいち)
Earth Literacy Program 代表
エコッツェリア・コンテンツプロデューサー

京都造形芸術大学教授。Earth Literacy Program代表。東京大学大学院文化人類学博士課程修了。地球時代の人間学を考究しつつ、ITを活用した独自な地球環境問題への取組みを進める。

Sensorium(97年アルス・エレクトロ二カ・グランプリ受賞)、デジタル地球儀「触れる地球」(05年グッドデザイン賞・金賞)や「100万人のキャンドルナイト」「aqua scape」など、さまざまなプロジェクトを推進。環境セミナー「地球大学」主宰。07年「water」展ではコンセプト・スーパーバイザーとして企画制作に携わる。08年7月の北海道・洞爺湖サミットでは、 国際メディアセンター(IMC)内の環境ショーケースにおける「地球茶室」の総合企画・プロデュースを担当。

新著「地球の目線」(PHP新書)など著書多数。2009年4月26日よりラジオ「GLOBAL SENSOR」がJ-WAVE 81.3にて(偶数月の第4日曜25時〜)放送開始。

竹村真一プロジェクトサイト: http://www.elp.or.jp/

イベントレポート


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サミットに向けた「地球温暖化問題に関する懇談会」の争点

サミットに向け、福田首相の肝いりで組織された「地球温暖化問題に関する懇談会」には、トヨタ自動車相談役・奥田碩氏を座長に、経済界から東京電力社長・勝俣恒久氏、新日鉄代表取締役会長・三村明夫氏、他に東京大学生産技術研究所教授・山本良一氏や国連環境計画金融イニシアティブ特別顧問・末吉竹二郎氏などそうそうたる顔ぶれが参加。その中で、市民に近い立場で白羽の矢が立ったのが枝廣淳子氏でした。

主な争点は、「長期目標を出すかどうか」「排出権取引を導入するかどうか」の2点。結果的に福田ビジョンには「2050年までの長期目標として、現状から 60〜80%の削減を掲げて、世界に誇れるような低炭素社会の実現を目指す」「今年の秋には、できるだけ多くの業種・企業に参加してもらい、排出量取引の国内統合市場の試行的実施、すなわち実験を開始する」といった、踏み込んだ文言が盛り込まれましたが、そこに至るまでの議論は、首相官邸のウェブサイトから議事録として確認出来ます。


福田ビジョンに盛り込まれた枝廣氏の提案

特に意義深いのは、第3回目の会合での枝廣氏の「官僚から出された案をただ検討するのではなく、委員の中の有志で叩き案を出しませんか?」という提案です。座長の了解により、枝廣氏と末吉氏が有志として地道な作業を重ね、叩き案を提出。そうして経済界の都合に押しつぶされない前向きな文言を、福田ビジョンに盛り込むことができたのでした。他にも福田首相が枝廣氏やNGOの代表に「こっそり官邸にきてください」と声をかけ、ワインを片手に「市民の話をもっと聞きたい」と歩みよってきた、というエピソードが印象的でした。

竹村氏は、「バックキャスティングの手法を取り入れたのは、日本の政治を変える一歩だった」と、福田ビジョンを評価しています。従来、今できることの積み上げから考えるフォアキャスティングが主流で、着実ながらもビジョンに欠ける政策が多かった。それに対して、2050年という長期に実現したい理想を掲げ、それを目標に向かっていくバックキャスティングが採用されたことによって、日本の政治にどんな新しい風が吹くのか、期待したいところです。

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今知っておくべき、日本と世界の動き

続いて、環境ジャーナリストならではの最先端の事例を織り交ぜながら、これからの政策の考え方についての議論に入ります。特に「日本国民にとっては食料とエネルギーの方が、温暖化よりも切迫。でもそれがどう温暖化とつながっているのかを示すことが大切」と指摘。既に日本においても76もの自治体が100% 以上再生可能エネルギーに転換しているそうです。そのような国外の事情に左右されない、地域をエンパワーするノウハウを、もっと共有していくべきでしょう。

また世界に目を向ければ、EUではGDPとは異なる豊かさの指標を「BeyondGDP」という形でまとめていたり、中国では、地方の役人が達成できない場合すぐに更迭される「一票否」制を環境政策で採用するなど、死活問題として必死に取り組んでいたり、今知っておくべき世界の動きを紹介していただきました。


「レジリエンス」=しなやかな強さをもった社会システムを目指して

このように新しい価値観に向けて、世界的に対話を重視する取り組みが進んでいます。最後にキーワードとして枝廣氏が掲げたのが「レジリエンス」=しなやかな強さという言葉。竹村氏も、「最近経済学者がようやくハピネスを語り始めた」と指摘していましたが、成長し続けなくても柔軟に暮らしていけるような、しなやかな強さを持った社会システムが、今必要とされているのでしょう。

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