丸の内地球環境倶楽部

第9回地球大学アドバンス「生物多様性と企業経営 ー 環境価値をいかに内部化するか?」

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日時:
2008年8月25日 (月) 18:30〜20:30 ※終了しました

ゲスト:
足立直樹氏(株式会社レスポンスアビリティ代表取締役/理学博士)
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トピックス

・生物多様性とは何か?

・生物多様性は経営リスク
・リスク管理のために本業で取り組む欧州企業
・生物多様性をビジネスチャンスにする企業
・日本企業の現状と今後

プロフィール

足立直樹(あだち・なおき)足立直樹(あだち・なおき)


株式会社レスポンスアビリティ代表取締役、理学博士。

生態学の研究者として国立環境研究所、マレーシア森林研究所に勤務の後、コンサルタントとして独立。多くの先進企業に対して、環境経営とCSRのコンサルティングを行う。特に「企業による生物多様性の保全」や「CSR調達」を専門とする。

2006年に(株)レスポンスアビリティを設立。環境経営学会理事、サステナビリティ日本フォーラム(旧GRI日本フォーラム)運営委員(財)地球・人間環境フォーラム 客員研究員、さらに今年4月1日に発足した「企業と生物多様性イニシアティブ」(JBIB)の事務局長も務めている。

竹村真一(たけむら・しんいち)竹村真一(たけむら・しんいち)
Earth Literacy Program 代表
エコッツェリア・コンテンツプロデューサー

京都造形芸術大学教授。Earth Literacy Program代表。東京大学大学院文化人類学博士課程修了。地球時代の人間学を考究しつつ、ITを活用した独自な地球環境問題への取組みを進める。

Sensorium(97年アルス・エレクトロ二カ・グランプリ受賞)、デジタル地球儀「触れる地球」(05年グッドデザイン賞・金賞)や「100万人のキャンドルナイト」「aqua scape」など、さまざまなプロジェクトを推進。環境セミナー「地球大学」主宰。07年「water」展ではコンセプト・スーパーバイザーとして企画制作に携わる。08年7月の北海道・洞爺湖サミットでは、 国際メディアセンター(IMC)内の環境ショーケースにおける「地球茶室」の総合企画・プロデュースを担当。

新著「地球の目線」(PHP新書)など著書多数。2009年4月26日よりラジオ「GLOBAL SENSOR」がJ-WAVE 81.3にて(偶数月の第4日曜25時〜)放送開始。

竹村真一プロジェクトサイト: http://www.elp.or.jp/

イベントレポート


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"生物多様性を守る"の意味

私たち人間は生態系といった大きなシステムの中で、気付かないうちに自然から多くのサービスを受けています。足立氏は「そのサービスを下支えする生物多様性を守るには、やはり企業の力が必要」と感じ、森の研究者から"企業による生物多様性の保全"の専門家へと転身、現在環境経営とCSRのコンサルティングを行っています。

生物多様性はそもそも、種が一挙に絶滅するのを防ぐ、進化の可能性を担保するものです。足立氏によればそれは以下のように集約されます。「多様な生物種が存在すること」「多様な遺伝子が存在すること」「多様な生態系がつくられること」。この3つが同時に実現されることが、生物多様性を守るということになります。


生物多様性とビジネスの関係とは

では、具体的に生物多様性とビジネスはどう結びつくのでしょうか。それは、自然から受けているサービスを改めて考えてみればわかります。例えば、食料や木材、繊維や燃料といった物質的な"供給サービス"。あるいは、気候や水質浄化といった"調整サービス"。他にも、人間が生きるための教育や精神的な支えとなるような"文化的サービス"もあるでしょう。それらの恩恵によって人間が存在しているにも関わらず、絶滅危惧種が急増するなど、生物多様性が危機にさらされているのが現状です。

その中で、生物多様性版スターンレビューとも言われる「the economics of ecosystem & biodiversity」が発表され、生態系サービスの資産価値が世界的に話題になっています。それによれば、2000年から2050年にかけて、毎年約280億ユーロ相当の森林による生態系サービスが失われていく。こうした将来の損失を考慮すると、森林生態系のサービスの純現在価値は1兆3500億〜 3兆1000億ユーロになると試算されているのです。

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生物多様性が失われる原因

生物多様性が失われる原因は、気候変動や自然災害などいくつか考えられます。しかし、原因の実に99.9%が、開発による生息地の破壊、乱獲や採掘、侵略種による被害、農薬による汚染など、企業活動に原因があるとされています。生物多様性に配慮しない開発を続けた結果のリスクとして、ブランドイメージの悪化や不買運動だけでなく、サプライチェーンの分断や操業許可の喪失といった可能性もある。「環境保全がいいことだからやる」といった精神論的な話から、今後ビジネスを継続する上でプラクティカルな状況に差し掛かっているといえるでしょう。

例えば、Royal Dutch Shellは、経営に保全を組み込み、生物多様性のマップを参照しながらパイプラインを開発しない場所を特定しています。Vittelは、農薬による水質汚染によって、ミネラルウォーターのラベルが剥奪される危機に見舞われましたが、農家との関係づくりによって水質が保たれるようになりました。日本でも調達方針を制定した三菱製紙や、琵琶湖の生態調査をWWFと行っているブリジストン、在来種の木を植樹する積水ハウスなど事例が増えています。


本業を通じた保全

足立氏はこのような「本業を通じた保全」という点を強調します。影響を与えている部分を理解しつつ管理することで、リスクを把握でき、チャンスに変えていくことができる。開発や操業といった直接的な影響だけでなく、バイヤーという立場、あるいは投融資といった間接的な影響も同時に考える。そこで重要となるのが「Stewardship」=財産管理人としての責務です。

自社のビジネスのインパクトをしっかりと把握し、自然という大切な資本を有効に守りながら活用していくこと、それが生物多様性と企業経営を結びつけるための有効な態度といえるでしょう。

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