丸の内地球環境倶楽部

第10回地球大学アドバンス「都市の微気象シミュレーション ー 東京のヒートアイランド緩和と風の道のデザインにむけて」

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日時:
2008年9月29日 (月) 18:30〜20:30 ※終了しました

ゲスト:
高橋桂子氏(海洋研究開発機構/地球シミュレータセンター複雑性シミュレーション研究グループリーダー)
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モデレータよりコメント

近年、ゲリラ豪雨や都市型洪水のリスクがますます顕著になっています。都市のどの辺りにいつごろ巨大な雨雲が発生し、ゲリラ豪雨が予想されるかといった「局所天気予報」の実現には、ヒートアイランド都市の熱分布や風の流れに関するより精緻なデータマッピングが必要になりますが、東京丸の内や大手町付近の微気象を地球シミュレータなどを用いて再現・分析する試みが始まっています。

こうした解析が進めば、都市型豪雨・洪水の予報システムの整備とともに、うまく風や熱を通して都市が"自然の一器官"として呼吸しうるように、都市デザイン自体が大きく変わる可能性もあります。都市の増幅された「変動」に人間が受動的に適応するだけでなく、不必要な変動の増幅を抑えるような都市設計思想がここから可能になるでしょう。

今回は、この研究を先駆的に進められている海洋研究開発機構・高橋桂子氏に、丸の内やその他の地域事例の具体的なシミュレーション画像のデモも含めてお話いただきます。

プロフィール

高橋桂子(たかはし・けいこ)高橋桂子(たかはし・けいこ)


1991 年東京工業大学大学院総合理工学研究科システム科学専攻を修了、工学博士。花王株式会社、ケンブリッジ大学客員研究員、東京工業大学準客員研究員、現 JAXA 招聘研究員を経て、2002 年より海洋研究開発センター(現、(独)海洋研究開発機構)地球シミュレータセンターに勤務。現在、同地球シミュレータセンター複雑性シミュレーション研究グループリーダー。

マルチスケール・マルチフィジックスシミュレーションを用いて、大気と海洋の異なるスケール間相互作用メカニズムの解明、及びその気象や気候変動現象への影響についての研究、超大規模シミュレーションのための超高速・超並列・高精度計算手法の研究開発を進めている。

竹村真一(たけむら・しんいち)竹村真一(たけむら・しんいち)
Earth Literacy Program 代表
エコッツェリア・コンテンツプロデューサー

京都造形芸術大学教授。Earth Literacy Program代表。東京大学大学院文化人類学博士課程修了。地球時代の人間学を考究しつつ、ITを活用した独自な地球環境問題への取組みを進める。

Sensorium(97年アルス・エレクトロ二カ・グランプリ受賞)、デジタル地球儀「触れる地球」(05年グッドデザイン賞・金賞)や「100万人のキャンドルナイト」「aqua scape」など、さまざまなプロジェクトを推進。環境セミナー「地球大学」主宰。07年「water」展ではコンセプト・スーパーバイザーとして企画制作に携わる。08年7月の北海道・洞爺湖サミットでは、 国際メディアセンター(IMC)内の環境ショーケースにおける「地球茶室」の総合企画・プロデュースを担当。

新著「地球の目線」(PHP新書)など著書多数。2009年4月26日よりラジオ「GLOBAL SENSOR」がJ-WAVE 81.3にて(偶数月の第4日曜25時〜)放送開始。

竹村真一プロジェクトサイト: http://www.elp.or.jp/

イベントレポート


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2011年に完成する次世代地球シミュレーター

地球シミュレーターができて、丸7年がたった。2009年の3月には現在の3倍のキャパシティの地球シュミレーターが稼働する。大きさとしては1/6程度に縮小する。2011年に、神戸では、日本のフラッグシップのシミュレーターができる。現在の100倍の能力を持つ。今日は、その紹介をする。

今年も豪雨があった。異常気象があったが、まだ原因がはっきりしていない。ゲリラ豪雨とよばれる非常に激しい雨が降る。インフラをどうやってあつかったらいいかという議論がある。東京、私たちの身の回りの環境をどうやってデザインしていくか。地球シミュレーターのことを共有させていただく。

地球シミュレータのもともとの発想はそれまでの100kmくらいのメッシュを10kmにできたら、「台風」が予測できるのではないか、ということでした。 1997年の京都会議の追い風もあって、400億かけてつくりました。たった7年でまだまだ使えるのですが、電気代などのコストパフォーマンスもあり、壊れるところまでは使わずに、リプレースということになった。

100km格子、5km格子になると、情報が詳細になる。計算の点を密にすることでここまで10kmくらいが台風の目を表すことができるクリティカルポイント。5-10kmが当初の目標でした。温暖化のシミュレーションは100km格子で行う。100年など長い期間の計算をしなければならないので。

世界的には5kmメッシュで進んでいるが、地球シュミレーターでは間に合わない。次の神戸でのシミュレーション、第6次のIPCCレポートに間に合うように、つくっている。

全球大気大循環シミュレーションは10kmメッシュ。世界初でした。白いところが雨が降るところ、雲があるところ。低気圧の一生、日本にぶつかって破壊される、などがよくわかりました。インドネシアの辺りがエルニーニョのもとになるのですが、そういうリアリスティックな構造も見えてくる。

全休海洋大循環、海の温度の分布。黒潮、銚子沖で熱のやり取りをしながら、西岸長海流、ガルフストリーム、南から北へ熱を運ぶ。うんぬんかんぬんで、ヨーロッパで熱くなるなどがわかる。衛星の方からも図ることができるので、比較ができる。10kmは少なくとも必要だった。
それらが非常に良く表されている。衛星からも温度を測ることができる。比較するとかなり近い結果になる。

地球シミュレーターができあがった当時のシミュレーションではもともとは100キロだったものが、最初の年に10kmを実現して、7年目に入ったところで、全球を1.9kmで切って、全球シミュレーションをすることができるようになった。XYZ軸のほか、安定にシミュレーションするためには時間軸を5倍にしなければならないので100倍〜1000倍で実現したということになる。10の6乗の規模で計算が大きくなった。

北太平洋の海流のシミュレーション結果。実は海流はわからない。ブイで流速を計算するか、船で流速を計算するしかない。ぼつぼつとしったデータしかない。

東京湾の海流をシミュレーションしてみると。10kmでは粗すぎる。850mでやっと実用的になる。半島、島までわかる。同じ日時でのシミュレーションを比べてみると、まったくちがう様相になる。11kmはまったく変化がない。850mでは、島の後ろに渦が巻いている。それが魚介にどういう影響を与えるかがシミュレーションできる。外洋と湾内の影響も同時にシミュレーションできる。

実際に温暖化が起こったときには海に変化が起きる。私たちに直接影響があるのは湾内。湾内だけでなく、外洋、工場排水などがある陸面と一緒に考えて行かなくてはいけない。


第4次IPCCレポートにも採用されたシミュレーションデータ

温暖化による気温上昇の予測結果。第4次IPCCレポートに採用された、地球シミュレーターを使ったシミュレーション。これによって、人間の活動が温暖化に寄与しているということがわかった。大陸ごとにどんな変化があるのかということの2点について研究したのがポイントだった。

日本、東京については、まだシミュレーションできていない。計算力不足ということもあるが、次の神戸がやれる。IPCCのレポートではばらつきの平均値を出すための議論をしている。もっと踏み込んで、私たちがもっと必要とする情報がある。東京がどうなるのか、大阪がどうなるのか。

温暖化がバックグラウンドにあって、エルニーニョが起こる。日本への影響は議論する段階にない。そこを本当はターゲットにしたい。さまざまなところでさまざまな変化が起きている

世界の主な気象災害分布図をみてください。世界中で猛暑、洪水、気象祭がが頻発している。いままでにないくらい頻発しているのは確か。しかしメカニズムがわからない。ひとつはメカニズムがどうなっているかと言うことを知るということが最初の基本になる。2004年は洪水がきた。その冬には豪雨があった。今年もインド洋台放流、日本の夏が暑い。ダイポール現象が起こると日本の夏が暑いと言われている。最近3年は連続して起きている。異常気象とダイポールが関連しているということは分かっている。2006年、オーストラリアで大干ばつがあった。その関係も分かっていない。

いくつかのことを関連づけて私たちが知りたいのは、温暖化はどうもすすんでいる。季節変動、インド洋ダイポールやエルニーニョがおきている、それと温暖化が重なったらどうなるのか分からない。シミュレーションと身近な変化をどう結びつけるか。世界中の科学者のホットな話題。

アプリケーションラボが設立された。全球的なシミュレーションが経済、健康などとどうかかわるかということを研究する会。グローバルに展開していこうとしている。全球のシミュレーションで一番細かく必要なのは都市。エルニーニョとダイポールが重なると日本の気候がおかしくなるというのは統計的にはわかっているがメカニズムが分からない。だからシミュレーションの結果と組み合わせて研究していきたい。気象予測プログラムと全球的な変化を扱うというのは、世界的に異なるプログラムをつかっている。原理的に、あつかっている近似の仕方が全く違う、全球と都市気候の予測を同時にやることができる。全球のシミュレーションと5mメッシュでビルの形状まで分けて計算できる。それを同時にできる。都市で起きていることを全球と繋げたい。

大きいことと小さいことを同時にやるのは考えなくてはいけない。異なる時空間スケールがこれからのキーポイントです、都市型豪雨目がシティの影響。台風の強度。この家庭が別れば、対策の立てようがある。

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都市の気候の変化を知る

都市の気候の変化の実態をしることは非常に大切なこと。風の道は、都市を冷やすと言うことだから、とても大事な考え方。この100年の間に、東京を含めて、どこの大都市も2〜3度あがった。温暖化が1度なので、それ+3度。それがどこからきているのか、よくわかっていない。ビルの蓄積なのか、人口配列なのか、よくわかっていない。どうしてなのかということを考えたい。東京ばかりでなく、名古屋でも福岡でも起きているが、東京が一番顕著。100年で3度はゆうに上がっている。

昨年学会で話していたら、ヒートアイランドにおいて、世界中で東京が一番大変な状況になっている。北京、ニューヨーク、ヨーロッパの都市をみても、東京よりも温暖化していない。これはダブル温暖化。温暖化とヒートアイランドでダブル温暖化。都市型集中豪雨なのか?沿岸域にあるメガシティはどうか?ここ10 年、20年のうちの変化を知ることはとても重要。

集中豪雨はどうなるのか? 温暖化+ヒートアイランドにエルニーニョとダイポール現象が乗っかってきたらどうなるのか? ピークがどこに来るのか。それをやりたい。気象庁もできていない。それをやりたい。メガシティはだいたい沿岸部にある。温暖化で海が変わると言われている。湾岸も変わってくる、そことのインタラクションもある。全球+アルファ、湾岸、そして都市を調べなければならない。大きな計算になる。コントロールする、ハンドリングすることが大切になる。大変なことになってきた。

都市型集中豪雨が夜起きるのは、熱をため込むから。一番大気が不安定になるのが夕方2時以降。不安定な解消するためにばーっとふる。2005年9月4日がいちばんひどかった。なぜ降るのか?どうもヒートアイランドだけじゃない。ヒートアイランドならもっと広い範囲で不利そうだ。ヒートアイランドを取り巻く、外側の状況、風や低気圧も含めて、関係すると言うことは分かっている、しかし予測はできていない。そこを目指して生きたい。

集中豪雨は日常暖かくなり、海から風が入ってくる。温度が下がると、陸風が吹く。また、縦方向の暖まり方が変わる。現在は、1時間に100ミリを超えるような降雨の予測ができない。そこをなんとか良くしたい。挑戦です。ビルとアスファルトの蓄積される熱は、まだ予測シミュレーションに入れていない。

ヒートアイランド対策もやっている。ヒートアイランドは23区くらいで考えなくてはいけない。ヒートアイランドのことを考えるには、一部のことを考えていては難しい。雨が降ることで、かなりの温度が下がる。集中豪雨をどこに降らせるかということをコントロールするのは非常に難しい。適度にまばらにふってくれるのが一番いい。しかし、そういったまちづくりがあるのかどうか、今後考えなくてはいけないという状況に成りつつある。

シミュレーションは100m以上の上空は無視している。それも問題があるということがわかっている。上空まで含めたシミュレーションが重要。

都市は時間によってまったく違う様相があるので、各時刻の変化をみたい。また、天気も違うが、現在は晴天の状態を前提に計算している。一日の風の変化まで考えてやっていく必要がある。

風の道と言うことを考えると、一瞬を切り取るのではなく、時間の変化もみなくてはいけない。統計をもとにやるだけでもたりない。いままでの一点観測、一瞬の計測ではなく、啓示的な変化をみていかなくてはいけない。ピンポイントで計ったデータとシミュレーションをどうやってつきあわせていくかということも重要。

高濃度オキシダント分布の広がりは環境対策の影響で減ってきていたが、近年上昇している。東京は温暖化だけでなく、汚染物質も大変多い。それが豪雨にどう影響するかも考えて行かなくてはいけない。ますます環境が悪化しているということが言える。東京だけのことを議論しがちだが、それが越境して福島の方まで行っている。

中国から環境汚染があると言われているが、東京の汚染が北京にも行っている。お互いに影響を与え合っている。中国よりはインドネシアなどにも日本は影響を及ぼしている可能性もある。

会津地方で50mメッシュで微気象予測を行っている。農家にも活用していただけるために。これと5mメッシュを結合することにより、どこの暖かい空気がどこに行くのかを研究したい。

環境保全への理解や地域教育への活用している。磐梯山がなかったら、などの想定シミュレーションもおこなっている。教育的な意味がある。寒いときには暖かくなる。寒いときには暖かくなる。

飛躍的な進歩を遂げた台風の進路予測

研究者の間では、台風の進路予測はここ10年間で飛躍的な進歩を遂げているというのが通説である。しかし、強度に関してはどうか? 風と雨の強さ。どれくらい強く、長く、いつ降るか? これについては、まだまだである。この頃、世界的にもうちょっときちんとやらなくてはいけないという機運になっている。理由は温暖化。海水面の気温が上昇する。強度が強くなる。どこまで強くなるのか?インフラをどうすればいいかということに資していきたい。強度を上げるための3つの視点がある。

ひとつは解像度。大気と海洋の境界層がどうなっているか。大気と海洋の相互作用がちゃんとわかっていないと困る。

NASAからの台風の図。直径は1000km程度。外周にスパイラルバンドがある。そのしたに雨が大量にフル。目の外側のところで非常にたくさんの雨が降る。台風の進路と集中豪雨を短時間に予測する技術開発。雨がたくさん降ると、不安定さが解消される。次に不安定なところに動く。台風の筋は次の不安定性ができるところに雲ができる。台風11号(2005年)は海面温度をかき混ぜた。それが結果にも残っている。

台風でどれだけの熱が行ったり来たりしているかを研究している。実際の水槽で実験も行われている。風の運動量が海の底にどのような影響を与えているか見えてくる。そのデータをシミュレーションに入れていくと、格段に良くなっていく。こういった地道な実験室とのつながりが大変重要。

アメリカではこれに似たことをやっている。海にブイを入れたり。こういったことと合わせていくことでシミュレーションの精度を上げていく。有名な話ですが、カトリーナがありました。進路と海面水温の関係を見てもなかなかわからない。が、表面ではなく、海の底に温度を蓄えられている状態が台風を育てたという関係が分かってきている。

台風というのは全球から見ると小さい。小さいが人間の生活にとっては重要。それを解析するためには、海洋の1000mくらい下の温度が重要になっている。海は湯たんぽのように、蓄熱される。今年の台風の予測をするためには、10年前の季候を考慮して行かなくてはならない。10年前からの結合モデルでのシミュレーションをやって行かなくてはいけない。膨大な計算と労力が必要というのことは想像に難くない。身近なことと全球的なことはかなり近いが、大変なこと。そこが知りたい。

カトリーナのときには、エルニーニョが影響したと言われているが、そのエルニーニョはインド洋の海洋の状態に影響を受けている。つまり台風のよそくをするためにも全球的なシミュレーションが必要。地球シミュレータのおかげで、だいぶ高解像度、詳細データを得ることができるようになった。しかし、まだまだです。

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