丸の内地球環境倶楽部

第11回地球大学アドバンス「アメリカ大統領選と今後の地球温暖化政策の展望」

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日時:
2008年10月30日 (木) 18:30〜20:30 ※終了しました

ゲスト:
有村俊秀氏(上智大学経済学部准教授)
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モデレータよりコメント

アメリカはブッシュ政権で京都議定書から離脱しました。しかし、各州政府の独自性の強いアメリカでは、大統領の政策が、必ずしも国内議論を反映しているとは限らないようです。

今回の地球大学は、こうしたアメリカの国内事情と政策動向に詳しい有村先生に、キャップ・アンド・トレードを中心とした各州政府レベルの温暖化対策、そして連邦議会での議論を詳細に分析いただきます。

そして、いよいよ迫った大統領選を前に、今後アメリカの温暖化政策がどのような方向に向かうのか、共和党と民主党の違いにも光を当てつつ展望していただきます。

プロフィール

有村俊秀(ありむら・としひで)有村俊秀(ありむら・としひで)


1992年 東京大学教養学部教養学科卒業。1994年 筑波大学大学院環境科学研究科修士課程修了、ミネソタ大学大学院経済学家研究科博士課程進学。 1996年〜1999年、ミネソタ大学非常勤講師。2000年、ミネソタ大学Ph.D.(経済学)、上智大学経済学部講師。2003年、内閣府経済社会総合研究所客員研究員。2004年 上智大学経済学部助教授。2006年〜2008年、安部フェローとして、未来資源研究所(ワシントン)及びジョージメーソン大学・客員研究員。2007年〜 上智大学経済学部准教授。環境経済・政策学会理事(2006年〜)。共著書に、「入門環境経済学」中公新書等。

<研究及び著作>
CSRに関連しては、ISO14001を始めとする企業の環境取組について、経済協力開発機構(OECD)の国際共同研究プロジェクトに参加。"Environmental Policy And Corporate Behaviour(Edward Elgar Publishing)の一章を執筆分担。

経済産業省において温暖対策に関する政策評価、総務省での自動車NOxPM法の政策評価、外務省での排出量取引研究会にも参加。

研究論文に、"An Empirical Study of the SO2Allowance Market: Effects of PUC Regulations"及び "Is a Voluntary Approach an Effective Environmental Policy Instrument? A Case for Environmental Management Systems"がJournal of Environmental Economics and Managementに掲載。「環境政策のフロアンティア」環境経済・政策学会年報、「事業所レベルの環境マネジメントのインセンティブとステークホルダーの影響:環境管理に関するOECD事業所サーベイから」計画行政、「温暖化対策としての『省エネルギー法によるエネルギー管理の徹底』の評価:旅館・ホテル業を対象として」環境経済・政策研究。

竹村真一(たけむら・しんいち)竹村真一(たけむら・しんいち)
Earth Literacy Program 代表
エコッツェリア・コンテンツプロデューサー

京都造形芸術大学教授。Earth Literacy Program代表。東京大学大学院文化人類学博士課程修了。地球時代の人間学を考究しつつ、ITを活用した独自な地球環境問題への取組みを進める。

Sensorium(97年アルス・エレクトロ二カ・グランプリ受賞)、デジタル地球儀「触れる地球」(05年グッドデザイン賞・金賞)や「100万人のキャンドルナイト」「aqua scape」など、さまざまなプロジェクトを推進。環境セミナー「地球大学」主宰。07年「water」展ではコンセプト・スーパーバイザーとして企画制作に携わる。08年7月の北海道・洞爺湖サミットでは、 国際メディアセンター(IMC)内の環境ショーケースにおける「地球茶室」の総合企画・プロデュースを担当。

新著「地球の目線」(PHP新書)など著書多数。2009年4月26日よりラジオ「GLOBAL SENSOR」がJ-WAVE 81.3にて(偶数月の第4日曜25時〜)放送開始。

竹村真一プロジェクトサイト: http://www.elp.or.jp/

イベントレポート


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アメリカの分裂:二大政党制と変化

アメリカの総選挙を控えて、オバマが圧勝かというと、そうとも言えない。2006年8月から2008年8月までの2年間、ワシントンの環境政策のシンクタンクににいた。アメリカではシンクタンクと言えば、ブルッキングスが有名ですが、私の居たところはResources for the Future (未来資源研究所)と言います。財政的な独立性、中立性なのが特徴。滞在と米国の変化がよくわかった2年間だった。

大統領選を見据えて、アメリカの分裂:二大政党制と変化について話します。

United States of Canadaと言う言葉がある。前回の大統領選で言われた。民主党支持州が地続きでつながっている。2007年2月の時点でブッシュは温暖化対策に興味がないのだが、排出削減目標を持つ州はこれだけある。そしてそれは民主党支持州とだいたい重なる。共和党(マケイン候補)の支持者層は高額所得者が多い。環境に関しては軽視している。民主党(オバマ候補)の支持者層:低所得者層、インテリ層が非常に高い、若年層も圧倒的に多い。環境政策に熱心。オバマの支持者は熱狂的なのが特徴。オバマの支持者は熱狂的なので、アンケートの回答率が高い。また、テレビで言われているブラッドリー効果もあるかもしれない。大学の願書の表紙にも、白人男性は出てこない。黒人、ヒスパニック、白人でも女性がでる。ポリティカリーコレクト(政治的に正しい)。しかし実際には差別がある。オバマ・マケインよりも、オバマ、クリントンのほうがおもしろかった。メディアも熱狂した。最終的にオバママケインの勝敗は読めない、と思う。

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1997年12月京都会議の前に、バードヘーゲル条約を採択した。発展途上国が努力しないなら、アメリカは何もしない、というもの。そのあと、2001年に京都議定書から離脱した。中間選挙で民主党が勝って、2007年9月主要排出国会合MEMが開かれた。アメリカでは国連に対する考え方が違う。日本では国連中心主義だが、アメリカは違う。主要な排出国だけが集まった。トップクラスの官僚、国連関係者、世界中のメディアが集まった。注目を集めたが、なにも起こらなかった。

実は洞爺湖の次の日にひきつづき開催された。ブッシュ政権も環境に対する意識がかなり変わってきている。メディアは京都会議の頃との違い、かなり取り上げるようになっている。ケーブルテレビを観ていると、Weather Channelの変化を感じる。アメリカは日本以上に異常気象が激しい。90年代はただの天気予報のチャンネルから、2006年にはいかに気候変動が重要かと言うことを伝えるような番組になっていた。その背後にはカトリーナという悲劇がある。投資資金の流れの変化もある。投資家なども気候変動を積極的に捉えるようになった。ロビイスト、研究費の流れの変化がある。これまでは研究費を取るために大変だったが、選挙以降、お金持ちの資金が突然気候変動の研究分野に流れ込んできた。今の経済危機で状況がどうなったか分からないが。財務省による引き抜きが始まっている。学会の変化(産業界の変化)、消費者の変化を感じる。

低燃費車への移行、(一緒にクルマに乗る)カープーリング、スクーター、自転車が増えるなど、交通モードが変化している。2006年に街でスクーターを見たのは衝撃的だった。都市の再開発。郊外の大規模開発で、職・住・商の接近型の街が造られている。アメリカの北東部の11州が2009年からRGGIという名前で排出量取引を開始する。ヨーロッパの失敗をふまえ、オークションが主流。それがまたヨーロッパに影響を及ぼしている。

森林保全投資等によるCO2吸収・削減排出量取引なども始まる。ヨーロッパのEUETSの価格は2〜3千円。アメリカではいま、5ドル程度。つまり、キャップが緩い状況アメリカの特徴は地域間の差。カリフォルニアでは、1976年から現在に至るまで、一人あたりの電力消費量が増えていない。アメリカ全土では1.5倍に増えている。これは、カリフォルニア州の人が自慢するところだ。カリフォルニアでは省エネ家電を購入するための助成制度がある。電気製品の効率に関する電気製品効率基準がある。また、建物に関する建築物の省エネ基準(Building Energy Code)がある。また、一人あたりのCO2排出量は下から4番目。2020年までに、1990年レベルに削減する、AB32(CA地球温暖化対策法)を制定した。 7州とカナダの4州にまたがるキャップ&トレード制度が動いている。2020年までに2005年レベルから15%削減を目指している。東部と西部でそれぞれGDPの2割程度なので、経済規模で言うと、アメリカの半分程度の州が、排出量取引がまもなく始まることになる。出遅れていたと思われていた中部も、Chicago Climate Exchangeなどの自主的な市場が始っている。また、連邦政府でも動きが速くなっている。

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大統領候補の温暖化政策

リーバーマン・ワーナー法案などが有力だが、さまざまな法案が提出されてきた。そしてそれぞれのいいところを残していくのがアメリカの特徴。リーバーマン・マケイン法案についてはマケインは2003年からずっと法案を出し続けている。ビンガマン・スペクター法案は上昇カーブを緩やかにするという程度の法案を出したら、バッシングがおき、減らす方向に移った。国全体として、減らす方向に行こうということになっている。

MITなどの研究機関は、連邦法案が通ったら、排出権価格はヨーロッパと同程度になるだろうという研究結果が出た。経済への影響の緩和策としては、次年度に繰り越せるバンキング、次年度から借り入れることができるボローイングなどの制度が検討されている。また、中央銀行をモデルにした炭素市場効率理事会(Carbon Market Efficiency Board)を設立するべきだという議論もある。議論を呼んでいる。

アメリカでは、中国はライバル。中国がやらないのにアメリカがやらなくてはいけないのは不平等だという感覚がある。そこで、中国などのCO2をたくさん出す鉄鋼に対しては、輸入業者が排出枠を購入するという義務を課すという議論も。もうひとつは、オフセット。産業界がキャップをかけられたときに、もうすこしやすくCO2を減らすオプションを用意しておきたい。森林でCO2削減や途上国のCDMでCO2削減ができるようにするという法案が検討されている。 CDMだけではなく、共同実施もある。途上国と共同で事業を実施してクレジットを得る。アメリカは京都議定書に入っていないが、独自のルールを作ろうと言う動きが活発だ。

アメリカでは、経済への影響の緩和策としては、低所得者層の負担の緩和する基金などが上げられる。

大統領候補の温暖化政策でいうと、どちらもキャップ&トレードを指示している。マケインは安全保障の一環として捉えている。オバマ候補も環境問題に熱心。さまざまな州が独自の取り組みを容認するというスタンスで発言している。カリフォルニアは、排気ガスの大気汚染がひどかったことから、独自の CO2排出規制がある。それでOKなら、地球温暖化もOKじゃないか、という理論。アメリカの環境NGOは戦略的に動く。日本のNGOは金がないが、アメリカは違う。人材も集まっている。政府から移る人もいる。アメリカはドネーションが好き。行動が戦略的。今、州政府が左記に動いて、連邦政府が遅れて付いてきている。起業からはどうせなら、国単位でやってくれと言っている。NGOはそれを利用している。州政府を動かして、先に動かしている。こういった行動は日本のNGOには見られない。

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非常に驚かされるのは、国際的なリーダーシップをとるぞという意識があること。2009年のポーランドのCOPでも、新しい大統領が乗り込んで、大きなコトを発言してくれることを期待している。マケインもオバマもこの国はリーダーシップをとるんだと発言している。2人の違い。大統領候補の温暖化政策:相違点も少しある。共和党は市場重視。共和党は排出量取引でがつんとやろうという考え。民主党は建築基準の規制をしたり、ネルギー企業の再生可能エネルギーの購入義務など、を導入する傾向がある。

バイオ燃料に関しても、バイオ燃料に熱狂しているのは中部。1ガロン50セントの補助金が付いている。日本ではエネルギー安全保障のことは語られないが、アメリカでは身近な問題。マケインはバイオの補助金がきらい。はっきりしているのは、原子力支持を鮮明に打ち出している。国境を越えて輸出している企業が、キャップ&トレードで被害を被らないように、国内産業保護・国境税調整は、経営者と言うよりも労働組合が要求している。民主党は労働組合が支持基盤なので、間違いなく入ってくる。

キャップ&トレードはどちらの候補でも成立すると言われている。ワシントンの人々は2010年末までに決まると見ている。次期大統領が就任してからは、経済、イラク、医療、そして、温暖化問題の順番で重要だろう。医療問題としては、国民皆保険ではないので、民主党は何とかしたいと思っている。今回の大統領選挙は議員が入れ替わる。上院は半分、下院は1/3入れ替わる。前回の選挙の時、最後の最後までどちらが過半数を取るか分からない状況だった。

民主党が60議席とれるかどうかが、温暖化法案にとって大きい。アメリカにはアメリカなりの戦略がある。法案の採決を妨げるように、永遠と演説をすることができる。それをフィリバスターとよぶ。60議席あれば、民主党の総意として、その演説を止められる。

マサチューセッツがEPAを訴えた。最高裁でEPAの職務怠慢が認められた。温室効果ガスが我々にどういう被害をもたらすか、しらべて、それが危険と言うことになったら、原稿の職務として温室効果ガスを規制しなければならない。行政権限で温室効果ガスの規制が始まる可能性がある。

米国の温暖化問題に関する態度は変化していると言う実感。州が様々な法案を成立させている。州が排出量取引を実施:「実験場」として機能。連邦でも2010年頃には排出量取引法案の成立の見込みというのが、私の認識。

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