
第12回地球大学アドバンス「TOKYOに"蝶の道"をつくる」
日時:
2008年11月13日 (木) 18:30〜20:30
ゲスト:
南孝彦氏
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モデレータよりコメント
たった一人の自然保護活動が、やがて行政も巻き込んだ一大プロジェクトとなり、東京を生物多様性に満ちた都市に変えようとしています。きっかけは南氏が散歩中に見つけたジャコウアゲハの食草。勝手に始めた蝶の食草園づくりに、近隣の小中学校も参加しはじめ、いまや品川区全体のビオトープ活動として発展しています。皇居という生物多様性の宝庫をすぐそばに抱えた丸の内にとっても、この南氏の経験から学ぶことは多いはず。「自然を破壊するのも人間なら、それを修正し再生するのも人間だ」と語る南氏に、その思いを存分に語っていただきます。
プロフィール
南孝彦(みなみ・たかひこ)
竹村真一(たけむら・しんいち)
Earth Literacy Program 代表
エコッツェリア・コンテンツプロデューサー
京都造形芸術大学教授。Earth Literacy Program代表。東京大学大学院文化人類学博士課程修了。地球時代の人間学を考究しつつ、ITを活用した独自な地球環境問題への取組みを進める。
Sensorium(97年アルス・エレクトロ二カ・グランプリ受賞)、デジタル地球儀「触れる地球」(05年グッドデザイン賞・金賞)や「100万人のキャンドルナイト」「aqua scape」など、さまざまなプロジェクトを推進。環境セミナー「地球大学」主宰。07年「water」展ではコンセプト・スーパーバイザーとして企画制作に携わる。08年7月の北海道・洞爺湖サミットでは、 国際メディアセンター(IMC)内の環境ショーケースにおける「地球茶室」の総合企画・プロデュースを担当。
新著「地球の目線」(PHP新書)など著書多数。2009年4月26日よりラジオ「GLOBAL SENSOR」がJ-WAVE 81.3にて(偶数月の第4日曜25時〜)放送開始。
竹村真一プロジェクトサイト: http://www.elp.or.jp/
イベントレポート
環境の質が問われる時代へ
「環境に対する意識が高まっているからこそ、次は"環境の質"が問われてくる」と質的な視点を強調する竹村氏。CO2削減のような数字を追うだけでなく、どんな環境をつくればよいのかそこに暮らす人々が考え、実践していかなければ、いつまでも環境問題は遠くの出来事で終わってしまうでしょう。そこで地球大学アドバンスにお呼びしたのが、食草地を増やして蝶が飛ぶ道をつくろうという「蝶の道プロジェクト」を仕掛けている南孝彦氏です。
蝶の道プロジェクトの特筆すべき点は、たった一人の自然保護活動が、行政も巻き込んだ一大プロジェクトとなり、品川を始め東京を生物多様性に満ちた都市に変えようとしていることです。勝手に始めた蝶の食草園は、近隣の小中学校も参加しはじめ、保育園、児童センター、公園、火力発電所などに広がり、品川区全体のビオトープ活動として発展しています。
蝶の生育を通じて環境を知る
「幼虫がさなぎになり、羽化して羽ばたいていくまでを見つめることで、人々の心が明らかに変わります。そうやって子どもたちから母親、家族を巻き込んでいくと、1mの環境を気にするようになるんですよ。」と南氏は言います。うまく羽化しないと心配したり、自分たちで興味を持って調べる。「蝶が挨拶にくる!という子どもたちもいますね。品川区の小学生は、しっかりと模様が入った蝶の絵を描くんですよ」と笑って語るところに、竹村氏の言う"質的な視点"のエッセンスを感じました。
また、蝶はひとつの科の植物しか食べないので、違った蝶の道をそれぞれ辿れば、葉牡丹、パンジー、みかんの木、ねむの木と、街にあるさまざまな植物に出会うことができます。もちろんすぐには蝶はやってこないかもしれませんが、蝶と対話を繰り返すことで、自分たちが暮らす街としての「環境」を見る解像度も上がっていくのでしょう。
生態系に入れてもらう努力
子どもたちに環境問題について語るとき、生態系ピラミッドの絵を使います。「『生きているもの同士だから、人間もここに入れてもらう努力をしよう』と伝えています。子どもたちにはちょっと難しいかもしれないけど、頭の中にいれてもらって大人になるまで少しでも残ってくれればいいね。」と南氏は語りますが、蝶の羽化を見てから聞くのとそうでないのとでは、理解の深さは大きく違うはずです。
中には小学校でいじめがなくなったっという逸話があるほどに、人々の心に根付き始めた蝶の道。竹村氏も「さなぎの羽化を目撃した子どもたちが増えていることこそ、品川区への何よりの財産じゃないかなあ」と感想を述べていましたが、机上の環境論だけでなく、共に生きる周りのいきものに実際に見て触れることこそ、意識を変えるための基本であることを思い出させてくれるセミナーでした。
















