
第1回地球大学クリエイティブ「日本から発信できる文化力〜洞爺湖サミットの事例から」
日時:
2008年7月14日 (月) 18:30〜20:30 (終了しました)
ゲスト:
内田繁氏(桑沢デザイン研究所所長、インテリアデザイナー)
モデレータ:
竹村真一氏(エコッツェリア・コンテンツプロデューサー)
モデレータよりコメント
今回、私どもの「触れる地球」を5台、洞爺湖サミットの環境ショーケースで展示するに際して、その空間演出を内田繁氏にお願いしました。日本を代表する世界的なインテリアデザイナー内田繁氏は、「和」の文化への深い造詣でも知られ、内田氏デザインの二畳の茶室はNYやミラノで大絶賛されています。地球大学カルチャークリエイティブ第一回は、この洞爺湖サミット「地球茶室」プロジェクトでのデジタル地球儀と茶室のコラボレーションの模様を映像で紹介しながら、内田氏のデザイン哲学、また地球文化としての「和」の意味、日本文化に隠された「弱さの強さ」について縦横に語っていただきます。プロフィール
内田繁(うちだ・しげる)
1943 年横浜生まれ。1966 年桑沢デザイン研究所卒業。1970 年内田デザイン事務所設立。1981 年(株)スタジオ 80 設立。毎日デザイン賞、ベスト・ストア・オブ・ジ・イヤー特別賞、商環境デザイン賞、第一回桑沢賞等受賞。日本を代表するデザイナーとして商・住空間のデザインにとどまらず、家具、工業デザインから地域開発に至る幅広い活動を国内外で展開。代表作に六本木WAVE、山本耀司のブティック一連、科学万博 つくば'85 政府館、京都ホテルのロビー、福岡のホテルイル・パラッツォ、神戸ファッション美術館、茶室「受庵・想庵・行庵」、門司港ホテル他。メトロポリタン美術館、サンフランシスコ近代美術館、モントリオール装飾美術館、デンヴァー美術館等に永久コレクション多数。著書に「プライバシーの境界線」「日本のインテリア全四巻」「Interior Design Uchida, Mitsuhashi, Nishioka & Studio 80 Vol. II」「都市を触発する建築 ホテル イル・パラッツォ」「門司港ホテル アルド・ロッシ 内田繁」他。
竹村真一(たけむら・しんいち)
Earth Literacy Program 代表
エコッツェリア・コンテンツプロデューサー
京都造形芸術大学教授。Earth Literacy Program代表。東京大学大学院文化人類学博士課程修了。地球時代の人間学を考究しつつ、ITを活用した独自な地球環境問題への取組みを進める。
Sensorium(97年アルス・エレクトロ二カ・グランプリ受賞)、デジタル地球儀「触れる地球」(05年グッドデザイン賞・金賞)や「100万人のキャンドルナイト」「aqua scape」など、さまざまなプロジェクトを推進。環境セミナー「地球大学」主宰。07年「water」展ではコンセプト・スーパーバイザーとして企画制作に携わる。08年7月の北海道・洞爺湖サミットでは、 国際メディアセンター(IMC)内の環境ショーケースにおける「地球茶室」の総合企画・プロデュースを担当。
新著「地球の目線」(PHP新書)など著書多数。2009年4月26日よりラジオ「GLOBAL SENSOR」がJ-WAVE 81.3にて(偶数月の第4日曜25時〜)放送開始。
竹村真一プロジェクトサイト: http://www.elp.or.jp/
イベントレポート
地球と茶室のコラボレーション
ゲストの内田繁氏は、竹村氏が洞爺湖で展示した「触れる地球」のそばに空虚な茶室をこしらえて、地球と茶室のコラボが実現させました。今や世界的なデザインイベントであるミラノサローネの黎明期から関わり、世界と日本の橋渡しを担っている内田氏は、デザインの現状について「一体何のために、誰のためにデザインしているのかがとても大切」と答えます。

20世紀的な大量生産によってヒトを均質化するようなデザインではなく、固有の文化や個人の固有性やを尊重し、歴史に学びつつ地球規模で考えるような、新しいパラダイムに移行しつつある。「それは弱さを認めることです。」と内田氏は言いますが、ひとつの生命体である地球、自明なこととしての多様性。それらに対応できる固定化しないデザインが、 21世紀的なデザインの本質なのではないか。その中で洞爺湖における茶室のデザインは、見立てによって空間を自在に変化させる日本的精神の提案でした。

『変化・微細・今』
何もないところにひもろぎを4本立てると、聖なる空間が現れる感受性こそ「日本のよいところ」と内田氏は強調します。
「日本文化ってなんですか?と聞かれたら、『変化・微細・今』と答えます。それは、自然を延々と観察し、微細な様子を知ること。実はデザインって観察の文化なんですよ。よく観察することによって、形について考えるようになる。実はわれわれはそんなに、人間がどう生きているだろうか意外に分かっていないんです。人間は決して平均的に時間を使っているわけではなく、日常・非日常・超日常などさまざまな時間を生きている。デザインに一番必要なのは、どんな時間をすごしているのか知るために、人間をしっかりと見ることなんです。」
規格化されたモノにユーザーを合わせるという考え方とは真逆の哲学が、そこにはありそうです。

ユーザーを積極的に信頼するということ
これからのクリエイティビティとは、人間が本来持っている内的な技術や工夫する能力に気づき、ユーザーをバカにするのではなく、積極的に信頼する能力なのかもしれません。文句を言われないように苦心する最小公倍数のようなデザインではなく、もっと心に響く豊かなデザインへ。このイベントから、次のクリエイティブの方向性が見えてきそうです。

















