丸の内地球環境倶楽部

第2回地球大学クリエイティブ「意味のコンテクストをデザインする」

日時:
2008年9月22日 (月) 18:30〜20:30 (終了しました)

ゲスト:
廣村正彰氏(グラフィックデザイナー)

モデレータ:
竹村真一氏(エコッツェリア・コンテンツプロデューサー)


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モデレータよりコメント

「情報デザイン」というのは本来、人間の潜在的な情報処理能力を引きだす仕掛けのデザインであって、情報そのもののデザインではありません。 Information の語源が「一つのform(かたち、秩序)が形成されていくプロセス」であることからもわかるように、知識や情報は人間が試行錯誤や経験の中で生み出していくものであり、自分と場所の関係の中に生成してゆくものです。廣村さんは、そんな情報デザインの本源的な意味を思い出させてくれる稀有のデザイナーです。

丸の内のサインデザインでも有名な廣村さんですが、そのデザイン思想の核心は眼に見えるビジュアルを超えた次元にあります。いま自分がどんな場所にいるのか、その人とその場所がどんな関係性をもたなければいけないのか、そうした場所のコンテクストを情報デザインとして可視化する魔法を、今回はたっぷり聞かせてもらおうと思います。

プロフィール

廣村正彰(ひろむら・まさあき)

廣村正彰(ひろむら・まさあき)


略歴
1954 年 愛知県生れ。
77 年 田中一光デザイン室 入社。
87 年 JAGDA 新人賞受賞。
88 年 廣村デザイン事務所設立。
95 年 N.Y.ADC 銀賞受賞。
02 年 CS デザイン賞金賞受賞。
07 年 SDA 賞最優秀賞受賞。

主な仕事
岩出山町立岩出山中学校 サイン計画。埼玉県立大学 サイン計画。竹尾ペーパーショウ企画、構成、AD。公立函館未来大学 UI サイン計画。東京証券取引所 サイン計画。日本科学未来館VI、サイン計画。CODAN東雲VI 計画。北千住丸井サイン計画。丸善CI サイン計画。北京健外SOHOサイン計画。丸ビル宣伝計画。日産自動車デザインセンターサイン計画。平城遷都1300 年記念事業マーク。竹尾湾岸物流センターサイン計画。横須賀美術館VI サイン計画。

著作
『空間のグラフィズム』六燿社。『デザインのできること デザインのすべきこと』ADP。『世界のグラフィックデザインシリーズggg Books』ギンザ・グラフィック・ギャラリー。

竹村真一(たけむら・しんいち)竹村真一(たけむら・しんいち)
Earth Literacy Program 代表
エコッツェリア・コンテンツプロデューサー

京都造形芸術大学教授。Earth Literacy Program代表。東京大学大学院文化人類学博士課程修了。地球時代の人間学を考究しつつ、ITを活用した独自な地球環境問題への取組みを進める。

Sensorium(97年アルス・エレクトロ二カ・グランプリ受賞)、デジタル地球儀「触れる地球」(05年グッドデザイン賞・金賞)や「100万人のキャンドルナイト」「aqua scape」など、さまざまなプロジェクトを推進。環境セミナー「地球大学」主宰。07年「water」展ではコンセプト・スーパーバイザーとして企画制作に携わる。08年7月の北海道・洞爺湖サミットでは、 国際メディアセンター(IMC)内の環境ショーケースにおける「地球茶室」の総合企画・プロデュースを担当。

新著「地球の目線」(PHP新書)など著書多数。2009年4月26日よりラジオ「GLOBAL SENSOR」がJ-WAVE 81.3にて(偶数月の第4日曜25時〜)放送開始。

竹村真一プロジェクトサイト: http://www.elp.or.jp/

イベントレポート

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日産デザインセンター:つながりを取り戻す

日産の事例では、部分的になっていたカーデザインのプロセスに、もう一度「つながり」を取り戻すべく、デザインセンターの導線にある情報の可視化する一筆書きのようなサイン計画を提案。その時に廣村さんが感じたのは、ハンドルならハンドルとあまりに専門的になってしまうために、カーデザイナーが「自分のデザインって思えるのかな?」と疑問に感じたからでした。細分化された伝統的なフォーディズム型の生産様式では、実際にノイローゼになる社員が増えてしまうというデータもある中で、何のための労働なのか、トータルなプロセスを意識してモチベーションを高めるためにデザインがうまく取り入れられています。


ユーザーを立ち止まらせるゆっくりなデザイン

海をそのままメインビジュアルにした横須賀美術館では、言葉が無くても伝わるような控えめなピクトグラム「彼」が控えめに登場。気付くか気付かないかというほどのシンプルな表現だからこそ、気付いた人ほどその場所との関係性を深めていく。壁にへばりつく影の気配で方向を伝える埼玉県立大学のサイン計画も、近くで流れる川の石を多用して土地とビジネスホテルとの接点を生み出した富良野のNATULUX HOTELでも、共通するのは、ユーザをちょっと立ち止まらせるゆっくりなデザインです。

「急いでいない限り、本当は迷っても構わないはず。むしろ迷って海に出たら嬉しいですよね。」と廣村氏は言いますが、あくまで控えめに能動的な行動を促す"発火点"が、廣村氏のデザインには重要な要素となっています。

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人が発火する可能性を信じる

竹村氏は「手取り足取り、効率的に伝えることが本当に最適なのだろうか。」と問いかけます。人間はそもそも破れ目に興奮する好奇心を持っている。その中で現代のデザインは情報を提供しすぎて、感覚を鈍くしているのではないか。人をバカにせずに、発火する可能性を信じること。規格化できないこれからのデザインは、空間と人間が関わるインタラクションの機微がものを言うのでしょう。

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