丸の内地球環境倶楽部

第4回地球大学クリエイティブ「なぜいま"キッズデザイン"なのか?子ども目線で考える」

日時:
2008年12月10日 (水) 18:30〜20:30 (終了しました)

ゲスト:
赤池学氏(ユニバーサルデザイン総合研究所所長)

モデレータ:
竹村真一氏(エコッツェリア・コンテンツプロデューサー)


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モデレータよりコメント

「キッズデザイン賞」というグッドデザインの新たな分野が新設されました。そのコンセプトメーカーが赤池学氏。といっても、単なる子ども向けグッズのデザイン賞ではありません。コンセプトは「子どもの視点でモノをみる」----。つまり大人の視点で子どもの環境をデザインするのでなく、子ども目線でこの世界のデザインをもう一度見直してみようということです。

子どもは社会の宝という割りには、私たちの社会は子どもの視点を十分リスペクトしていないのではないか?また子どもにやさしいデザインは、きっと高齢者やすべての人にとって大切なユニバーサルデザインのシーズなのではないか?これまで自動車の安全性やシックハウス問題など、私たちの暮らしの根幹に関わるデザインに鋭い批判と愛ある提言をしてきた赤池氏に、「子ども」という切り口からの未来デザインのヒントをお話いただきます。


プロフィール


赤池学(あかいけ・まなぶ)

赤池学(あかいけ・まなぶ)
ユニバーサルデザイン総合研究所所長。1958年東京生まれ。1980年、筑波大学生物学類卒業。

社会システムデザインを行なうシンクタンクを経営し、ユニバーサルデザインに基づく製品開発、地域開発を手がける。「生命地域主義」「千年持続学」を積極的に提唱し、地域の技術・人材・資源を活かす「ものづくり」プロジェクトの企画、製造業技術、科学哲学分野を中心とした執筆、評論、講演などを行う。持続可能な地域開発の啓蒙と実践で、2002年度日本感性工学会学会賞を受賞。科学技術の積極的な啓蒙活動で、2003年度社会文化功労賞を受章。

経済産業省産業構造審議会研究開発小委員会委員、日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞審査委員、農林水産省バイオマス・ニッポン総合戦略推進委員などを歴任。著書に『昆虫力』(小学館)、『自然に学ぶものづくり』(東洋経済新報社)、『ニッポンテクノロジー』(丸善)、『あっ!!その手があったかモノづくり』(ウエッジ)、他多数。

竹村真一(たけむら・しんいち)竹村真一(たけむら・しんいち)
Earth Literacy Program 代表
エコッツェリア・コンテンツプロデューサー

京都造形芸術大学教授。Earth Literacy Program代表。東京大学大学院文化人類学博士課程修了。地球時代の人間学を考究しつつ、ITを活用した独自な地球環境問題への取組みを進める。

Sensorium(97年アルス・エレクトロ二カ・グランプリ受賞)、デジタル地球儀「触れる地球」(05年グッドデザイン賞・金賞)や「100万人のキャンドルナイト」「aqua scape」など、さまざまなプロジェクトを推進。環境セミナー「地球大学」主宰。07年「water」展ではコンセプト・スーパーバイザーとして企画制作に携わる。08年7月の北海道・洞爺湖サミットでは、 国際メディアセンター(IMC)内の環境ショーケースにおける「地球茶室」の総合企画・プロデュースを担当。

新著「地球の目線」(PHP新書)など著書多数。2009年4月26日よりラジオ「GLOBAL SENSOR」がJ-WAVE 81.3にて(偶数月の第4日曜25時〜)放送開始。

竹村真一プロジェクトサイト: http://www.elp.or.jp/

イベントレポート



デザインの力で防げたかもしれない子どもの事故

子どもの死因の多くが、病気ではなく不慮の事故という事実をご存じでしょうか?それは逆に言えば、デザインの力で防げたかもしれない。そこにキッズデザイン協議会を立ち上げた赤池さんのモチベーションがあります。

前提として、「これからの"21世紀品質"は、技術基盤としてのハードウェアとアプリケーションとしてのソフトウェアだけでなく、五感を刺激して愛着を生み出すセンスウェア、公益に貢献するソーシャルウェアも組み込んだものになる」と赤池氏は言います。だからこそ社会的なミッション度が高いデザインは、ユーザーから正当な評価を受けることができ、幅広く売れることでビジネスとしても成立するはずなのです。そして、その鍵となるのがキッズデザインという視点です。

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×子どものためのデザイン、○子どもの目線に立ったデザイン

ここで「キッズデザイン」とは、単に子どものためのプロダクトというだけでなく、社会的には弱者である子どもの目線に立ってデザインすることで、誰もが使いやすいプロダクトをつくり出そうということ。例えば、アーティストと共同した「ヒップハング掃除機」は、単なる肉体労働としての掃除をエンターテイメントにすることで、「親父が楽しそうに掃除してれば、子どもも真似したくなる」という感性価値を生み出します。あるいは、もともと漆のお碗をつくっていたメーカーが作った「ウイークエンド漆職人」は、漆お椀の自作キットですが、子供が一生懸命作ったものを家族が大切にとっておくという当たり前の気持ちをくすぐることで、15万セットという空前のヒットとなりました。

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「キッズデザイン協議会」とキッズデザイン賞

その流れで2007年に立ち上がったのが「キッズデザイン協議会」とキッズデザイン賞です。子ども目線のデザインを評価するという切り口では、世界で最初の取組なのだとか。そこで企業と共同して子どもの事故の原因を研究したり、子どもの住空間や身体特性などさまざまなサーベイが行われています。セーフティデザイン賞に選ばれたのは、飲み込んでものどが詰まらないクレヨン「キンダーマーカーたふっこンダーマーカーたふっこ」。また、マタニティデザイン賞は、子どもの無理のない姿勢で授乳できる「ドクターベッタ哺乳ビン」。いずれもまさにコロンブスの卵のような発想ですが、幼稚園の定番として全国的に注文が入ったり、意識のある母親の間で口コミが広がったりとヒットにつながりました。

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デザインの原点としての「愛の連鎖」

セミナーを通じてキーワードとなっていたのが「愛の循環」「愛の連鎖」という言葉です。社会的ミッションに後押しされて、いろんな才能のコラボレーションが生まれる。ユーザを馬鹿にしないで、可能性を引き出せるようなアイデアを提案する。ものづくりは決してモノだけで完結するのではなく、「愛」のような生きることの礼儀や美しい生き方を取り入れたものづくりに、もう一度立ち返る必要があるのかもしれません。そしてそこに必ずマーケットは反応するでしょう。

金融危機などさまざまな価値観が交錯する今だからこそ、新しい時代のデザインの原点を感じされた大変勇気づけられるセミナーでした。

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