イベントCSV経営サロン・レポート

【環境経営サロン】健康経営は企業のイノベーションを支える「人づくり」会員限定

2015年1月16日(金)開催

2014年度第3回環境経営サロンが1月16日(金)に開催され、43名(27社・団体)が参加しました。

「社員の健康管理が企業の成長を加速する-健康経営のススメ-」と「女性社員の健康が企業に与える影響」2本のプレゼンテーションとワークショプにより、社員の健康管理が企業経営に与える効果について理解を深めました。

【プレゼンテーション】

・『社員の健康管理が企業の成長を加速する-健康経営のススメ-』
古井祐司氏(東京大学特任教授、ヘルスケア・コミッティー株式会社代表取締役会長)
・『女性社員の健康が企業に与える影響』
細川モモ氏(一般社団法人Luvtelli(ラブテリ)代表理事)

企業価値の向上へつながる健康経営

はじめにヘルスケア・コミッティーの古井氏のプレゼンテーションです。
古井氏は予防医学の専門家として、早くから社員の健康管理が企業経営におよぼす影響に着目し、日本政策投資銀行と協働で「DBJ健康経営格付」をスタートさせるなど、企業や健康保険組合への普及啓発活動に取り組んでいます。自己責任と考えられてきた健康管理ですが、現代の日本は年々増加する医療費による公的な負担、企業の社会保険料負担は莫大な額となっています。サステイナブルな社会を実現するため、日本の社会全体で国民の健康維持を考えていく必要があるのです。また企業にとっては社会保険料負担を減らすだけでなく、社員が健康であることが労働生産性を向上させることにつながることが認知され始めてきました。

ヘルスケア・コミッティーが提唱する「データヘルス計画」はレセプト、検診情報などのデータを分析することで効率的・効果的な保健事業を実施しうる、というものです。データ分析の結果、業種や職種あるいは職場の環境によって、健康には特徴や差異があることがわかってきました。例えばシステム系の職場はパソコンに向かっている時間が長いため血圧が高めである、営業系では間食が多いため若い頃から血糖値が高めだとか。その特徴と原因がわかることで働き方や環境を変えることができれば、健康格差は改善することが可能になります。

健康経営を進めていくためには、経営者がその必要性を理解することが必要です。「データヘルス」によって社員の健康状態を見える化し、同業他社のデータと比較することで、経営トップの健康経営に向けた環境整備への動機づけになります。また個人もデータによって自分の健康を客観的に俯瞰することができるため、経営者が自分事として意識変革するきっかけになります。

古井氏は丸の内に期待することとして「"丸の内健康経営"というものを打ち出すことができれば大きなインパクトがあります。このエリアに集う多様なステークホルダーをコーディネートし、新しい健康経営の姿を想像し発信する役割を担ってほしい」とまとめました。

プレゼンテーションを受けて、環境経営サロン道場主の小林光氏(慶応義塾大学大学院教授/元環境省環境事務次官)、師範の竹ケ原啓介氏(株式会社日本政策投資銀行環境・CSR部長)、師範代の水上武彦氏(株式会社クレアンCSRコンサルタント)と古井氏との間で質疑応答が行われました。
小林氏「組織を退職した人のためにも、地域ぐるみの健康づくりができると面白いのではないか」
古井氏「データヘルスによって地域の健康格差も明らかにすることができる。現在は静岡の下田で地域ぐるみの取り組みを始めたところ」
竹ケ原氏「企業トップをどう動かすかがポイントだと思うが、何か秘訣はあるのか」
古井氏「同業他社の健診データなど経営者がイメージできるデータを見せると判断しやすい」
水上氏「良いことはわかっているのに、できないというケースが多いのではないか」
古井氏「できない理由は、現状が見えていない、可視化されていない、方法がわからない。データを見せ、事例を教えることで変わることができる」

プレゼン、質疑応答を受けて、経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課の藤岡雅美課長補佐から次のとおりコメントがありました。「経済産業省は健康経営が、企業の生産性向上に結びつき企業価値が向上すること、新たなヘルスケア産業の育成につながることから力を入れている。健康にお金を払うという文化を根付かせ、中小企業も巻き込んで推進していきたい」。

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キャリアと出産・育児を両立できるエリアに

キャリアと出産・育児を両立できるエリアに

続いてラブテリの細川モモ氏のプレゼンテーションです。
細川氏が代表を務めるラブテリは、主要先進国で不妊症や低出生体重児が最も多い日本の現状を改善することを目的に、コンサルテーションや啓蒙活動、大学や医療機関との共同研究による要因の究明、改善活動のサポートなどに取り組んでいます。
※低出生体重児とは:出生時に体重が2,500㎏未満の新生児のことをいう。一般的には「未熟児」と呼ばれている。

大丸有では、丸の内朝大学で血液検査を通して卵巣年齢を把握しライフプランを考えるという「美活・妊活レッスン」講座を開設し多数の受講者が集まりました。2014年には、三菱地所が主催する「食育丸の内」との共同で「ウィルコンシャスプロジェクト」をスタート。日本が抱える課題「医療費高騰」「少子化」「女性の社会進出」はいずれも女性の健康課題と密接な関係があるという視点から、女性が食生活を考え始めることでヘルスリテラシーを高め、その活動をまち全体がサポートすることで、健康づくりのプラットフォームとなるコミュニティを醸成する「丸の内モデル」の形成を目指しています。

ヘルスリテラシーを向上させるためのアクションである「まるのうち保健室」は、子どものころから慣れ親しんでいる「保健室」という名称にすることで多くの女性が訪れてくれることを狙いました。思惑通りの大盛況で、毎月第4金曜日に大丸有エリアで独自の健康測定やカウンセリングを行っています。働く女性たちが、キャリアを育てながら妊娠・出産・育児を両立させていくため、女性が自分の健康状態を把握するとともに、健康・出産と自分のキャリアを考える場として、エリア全体で働く女性を支え問題を解決する仕組みづくりの構築を目指しています。

細川氏は「女性の不妊症は企業とって大きなコストになります」と話します。平均出産年齢である30歳から34歳は多くの場合、経験豊富なマネジャークラスが該当することになります。それらの女性社員が不妊治療を理由に休職あるいは退職することになったら、損なわれる生産性は極めて大きなものになることがわかります。また低出生体重児は将来的に生活習慣病になる危険性が高いため社会にとって将来のコストになりえます。

不妊症も低出生体重児もその大きな原因の一つに、女性の摂取カロリーが不足していることがあげられます。現在の平均摂取カロリーは危険水域である1,500kcalに迫る1,596kcalまで下がっています。摂取カロリーが少ないことのリスクを理解して、適切な体重を維持するという意識変革が必要です。まるのうち保健室には1,000人もの女性が訪れていることから、自分の健康を考えるための場に対するニーズがあることがわかります。

大丸有に対して期待することとして、「まるのうち保健室のように、まちがパートナーとして活動を続けることで、キャリアをつんだ女性が多く出産率も高いエリアになってほしいと思います。女性の労働力活用と人口減少の二つの課題解決のロールモデルになってほしい」とまとめました。

小林氏、竹ケ原氏、水上氏、藤岡氏のコメントのポイントは次のとおりです。
小林氏「2020年の東京オリンピックに向けた日本の見せ方を考えるときに、このようなまちづくりもコンテンツの一つになるといい」
竹ケ原氏「健康経営のKPIの指標として、BMI(肥満度)を考えていたが女性の場合は通用しないことがわかった。まるのうち保健室を通して、健康経営のアウトカムがつくられていく期待感を覚えた」
水上氏「女性の活躍もCSVの一つ。まるのうち保健室を三菱地所のCSVとして位置づけ、東京以外でも展開できると面白い」
藤岡氏「まるのうち保健室というブランディングが秀逸。役所にはできない発想だと感じた」

お二人のプレゼンテーションの後は、臼井清氏(合同会社志事創業社代表)、塚本恭之氏(ナレッジワーカーズインスティテュード株式会社代表取締役)をファシリテータに迎え、参加者自身の健康課題を考えるワークショップが開催されました。

参加企業、団体(50音順)
旭硝子株式会社
株式会社伊藤園
株式会社イトーキ
オムロンヘルスケア株式会社
キャノンマーケティングジャパン株式会社
株式会社クレアン
慶應義塾大学
経済産業省
佐川急便株式会社
合同会社志事創業社
JNC株式会社
シャープ株式会社
スターバックスコーヒージャパン株式会社
ダイキン工業株式会社
株式会社竹中工務店
東テク株式会社
ナレッジワーカーズインスティテュート株式会社
株式会社日本政策投資銀行
日本郵政株式会社
株式会社日の丸リムジン
株式会社日比谷アメニス
ヘルスケア・コミッティー株式会社
三菱UFJ信託銀行株式会社
三菱地所株式会社
三菱電機株式会社
一般社団法人Luvtelli(ラブテリ)

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環境経営の本質を企業経営者が学びあう

エコッツェリアに集う企業の経営者層が集い、環境まちづくりを支える「環境経営」について、工夫や苦労を本音で語り合い、環境・CSRを経営戦略に組み込むヒントを共有する研究会です。議論後のワイガヤも大事にしています。

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