イベント3*3 LABO・レポート

【3*3 LABOレポート】あかりのともしかた

2013年7月17日(水)開催

3*3ラボ 2013年7月17日開催
あかりのともしかた
~ちかけん×ともしびプロジェクトによる地域活性の未来~
ゲスト:
池田 親生(いけだ・ちかお)
(株式会社ちかけんプロダクツ/竹あかり演出家・プロデューサー)
杉浦恵一(すぎうら・けいいち)
(ともしびプロジェクト代表)
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今回の3*3ラボでは、地域で活動するプロジェクトを紹介し、そこから見えてくる地域・まちづくりのこれからのあり方について考えました。
ゲストは、熊本県阿蘇市を拠点として、「竹あかり」をひとつのツールとしての可能性を追求し"人と人・人と場所・人と自然をつなぐ活動を続ける「ちかけん」池田親生(ちかお)さん、"被災地に希望の光を灯し続けよう"を理念に毎月キャンドルを灯すイベントを国内外で行い、復興支援活動を続ける「ともしびプロジェクト」代表の杉浦恵一さん。
活動場所は異なるものの、共通するのは「まちづくり×あかり」。両プロジェクトともに、地域の再生へのシンボルとして「あかり」を灯していく、その活動に至った二人の思いと活動について、そして今後の展開についてお話いただきました。
とにかく二人ともフットワークが軽く、熱意でどんどん人を巻き込みプロジェクトを大きくしていく、その求心力に参加者も引き込まれていきました。

当日のレポートをお届けします!
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「竹あかり」で人と人・人と場所・人と自然をつなぐ
まずは「ちかけん」池田さんより、ちかけんを始めるに至ったきっかけについてお話いただきました。
-もともと大学の研究室仲間だった三城賢士(みしろけんし)と一緒に、大学時代から研究室として関わっていた、大分県臼杵市で14年続いていた「竹あかり」を通じての「まつり型まちづくり」に関わっていたのがきっかけです。
竹林の管理者・後継者不足により、竹が既存の植林を破壊し、深く根を張らないため土砂崩れが起きやすくなるなど、竹を巡る問題(竹害)はとても深刻化しています。竹あかりを作ることで、竹害の問題も解決され、自分たちのお祭りを自分たちの地域にあるもので飾っていき、その風景を見ることで、地域の人が誇りを取り戻す。そのためにも竹あかりを作ることには可能性を感じていました。(池田さん)

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研究室時代は大分県臼杵市で「竹あかり」を生かしたまちづくりを実践してきました。
竹あかりをデザイン的に進化させるべきだと考え、デザイン性の高い竹あかりを作るようになりました。最初は街の人から大反発を受けましたが、実際にその竹あかりに灯が入るととても美しく、じわじわと街の人にも評判が良くなっていき、街の人自身も竹あかりを作るときデザインを意識したものになっていったんです。そして街の中心にあるアーケードについて、街の人はお祭りを通して「竹あかりが合うまち」というイメージを持ち始めていきました。

その臼杵市での活動を聞きつけた熊本の人から「私の住む熊本でも竹林・竹材の活用について同じ問題を抱えています、是非手伝ってほしい」と声がかかり、熊本の「みずあかり」という大きなお祭りに携わることになりました。

"みずあかり"を通して見えてきた「自分のまちへの誇り」
しかしここからが大変でした。臼杵では街の人も積極的に協力してくれてひとつの祭りができたのですが、熊本では最初誰も手伝ってくれない、遠巻きに冷ややかな目で見ているような状況でした。それでも何とか自分たちのできることで祭をしなきゃという思いで、研究室メンバー10名で5万4000個の竹にひたすら穴を開け、川に入りボルトを打ち込み竹を刺し・・竹あかりの展示を作っていきました。本当に過酷な作業でした・・(苦笑)。そしてようやく完成してあかりが灯ったとき、集まった地元の方々がその風景を見てみて感動し、心が動かされている様子が伝わってきました。

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そのとき初めて、地元の人が自分の街へのアイデンティティ・誇りを取り戻す瞬間を見たんです。

問題意識を追求する行為を中心にお金が周り、事業化していく
みずあかりの規模がどんどん大きくなり、これはしっかり熊本に根を張って活動し、この「まつり型まちづくり」を次の世代へ残していかなければと思い、"合同会社ちかけん"を立ち上げました。会社なんて立ち上げたこともなく、何をどうしていいかも何も分からず、今思い返しても無謀だったなと思います(笑)。どうやって事業化していくかのアイデアもありませんでしたが、お金ではない、何か世にある問題に対してクリエイティブな発想を持ち解決していく団体として、熱い仲間3人で動き出しました。

僕たちは、自分たちが正しいと思ったことに突き進んで事業を進めてきました。
「竹やぶが荒れている」という問題意識 を追及する行為にお金がついてくると考えていたんです。

その思いを持ち続けたおかげか、みずあかりのプロデュースだけでなく、産廃として捨てられていた竹を活用し、粉砕して飼料や竹炭にし、それを畑に蒔いて出来た野菜を路上で売り、竹ブランドの野菜としてブランディングしていく循環モデルを描き、実践してきました。が、最初の3年間は全く軌道に乗らず、収入0の状態が続きました。でもそんな状況の中、食べ物をくれたりタダで住む場所を提供してもらったり、沢山の人に助けてもらいました。そうして少しずつ事業が形になり、発表する場が増えていくことで評判も良くなり活動が広がっていきました。

また、東日本大震災発生時には、震災翌日に車を走らせ東北に向かい、約半年に渡って支援を行ってきました。その後相馬市で、全国から集めた竹を使った竹あかりを慰霊祭 で灯すという話になり、被災した地元の方にとって少しでも前を向けるものになればと思い、一つずつ竹あかりを作っていきました。

KAB熊本朝日放送 ちかけん(東日本大震災慰霊祭の支援活動)


ちかけんのこれから
野外フェスや商業施設での展示など、竹あかりは様々な場所で見られるようになっていますが、いま新たに仕掛けているのがなんと結婚式。式場で竹あかりを使って二人の門出をロマンティックに演出する、ウェディング業界での仕掛けに挑戦しています。

今後も、竹を通じて人と人・人と地域・人と自然をつなげていく試みを続けていきたいです。と締めくくりました。

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後半は、ともしびプロジェクト杉浦さんのお話です。
ともしびプロジェクトが生まれるまで
後半は、「ともしびプロジェクト」杉浦さんより、ともしびプロジェクトを始めることになったきっかけについてお話いただきました。

-震災直後、僕は旅人でした。震災前はヒッチハイクで東北を旅していて当時愛知県にいたのですが、直接自分の目で確かめたいと思うようになり、東北にお世話になったという経緯があったので、予備知識ゼロの状態で物資を積んでトラックで東北・福島まで向かいました。

3月には物資搬入や避難所へ届けることも支所の方がやることもやりました。2011年4月・5月に被災者のニーズを知るため、福島の避難所を対象にアンケートを取りました。その結果、「危険なのは理解しているが、仕事の不安があるため今すぐには福島を出られない」という意見が約9割を占めており、被災者の方にどうしたら仕事を作れるか考え、物資を運ぶときに協力してくれた愛知の中小企業の方の知り合いが、アジアに支店を建てるタイミングだったので、被災地の雇用を守るためにアジア展開を取りやめて6月にはいわき市に支所を開所し現地の方を採用し雇用につなげることができました。

その後2011年8月からは、社会福祉協議会主導のボランティアセンターが閉鎖していく中で、行政の支援は終わってしまったけれどボランティアの受け入れ・コーディネートを民間で進める必要があると感じ、気仙沼のワインバーを借りて活動開始しました。気仙沼に移動してしばらく経ってから立ち上がったのが、ともしびプロジェクトです。

「"忘れない"をカタチに」
-震災後気仙沼に拠点を構え、夏頃に現地仮設住宅を回ってニーズ調査を行いました。そこで仮設住宅に住んでいる方から出た一言が突き刺さりました。

「忘れられるのが一番怖い」

被災地の状況は復興にはほど遠い、長い目での支援が求められるにも関わらず、メディアの取材は減り、ボランティアも減っていき、被災地以外の場所では今までと何ら変わらない日常が進んでいき、被災地との温度差が生まれていく・・
そんな被災地の方の声を聞き、「"忘れない"を形にしていく」ためのイベントとして「ともしびプロジェクト」を始めました。

"ともしびプロジェクト" 2013年6月18日 KHB宮城のチカラ


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ともしびプロジェクトは、それぞれの場所で、毎月11日にキャンドルに明かりを灯すことで東北から日本を、世界を繋ぐアートイベントプロジェクト。毎月11日にキャンドルに火を灯したら写真を撮って、場所(都道府県)と一言コメントを添えて、ともしびプロジェクトのFacebookページに投稿すると、全国からの「忘れない」や被災地からの「ありがとう」が1つ1つの明かりを通して、facebookページで発信されていきます。

ともしびプロジェクトは誰でも、自分のいる場所で参加ができるプロジェクトです。現在facebookページには3470いいね!(2013年8月現在)がついており、国内外問わずキャンドルを通じて「ともしびの環」が広がっています。

杉浦さんは、ともしびプロジェクトから発展して被災地での活動を広げています。
-2012年12月には、「一般社団法人Nr.12」を設立しました。2011年3月12日からサッカーで言う12人目のプレイヤーとして慈善事業、および経済活動を通して復興支援を行うことを目的とし、ともしびプロジェクトだけでなく、チャリティスポーツプロジェクトも企画・運営しています。

また、被災地の雇用を生み出す活動も続けています。全国から集められたキャンドルをろ過し、キャンドルホルダーとして新たに成形し販売している「TOMOCAN」また、手の熱でこねて柔らかくして作るキャンドル「KONECAN」の製造・梱包を気仙沼の主婦の方にやっていただき、給料を払っています。この活動を継続できるように、事業化していきたいんです。

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今後も、被災地が忘れられないための活動、仕事づくりを継続してやっていきたいと思っています。ともしびプロジェクトを通じて、皆が力を合わせていくきっかけを作っていきたいなと思っています。

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二人のプレゼンが終わったところで、モデレーターの土谷とのトークセッションが始まりました。
土谷:今回お話いただいたプロジェクトは"共感"がキーワード。思いに共感した人が集まり、ボランティアが増え、プロジェクトの参加者が増えていった。今のカタチになるまでの苦労はあった?」

池田:街の人もどう手伝ったらいいかわからず、僕たちも街の人にどう手伝ってもらっていいかわからなかったので、関係を築きながらやり方を模索していきました。街の人の気持ちにスイッチが入ったのは、みずまつりを外の人が評価してくれたときでしたね。ふるさとイベント大賞を受賞して認知度が上がっていったら、街の人の意識がガラっとかわりました。外の人から評価されたことで、自分たちの街に誇りを持てるようになったんだと思います。」

土谷:今後はそれぞれの拠点でどんなことをやろうと考えている?
杉浦:現地はまだまだ課題が山積みです今はヨソ者の僕らが動いているからうまく回っているけれど、これからは街の人自身が動き出さないといけないと思っています。現地の人たちが自立的に動ける仕組みを作るのが今後の課題です。
池田:ちかけんの取り組みも、地域の人たちが主導で動き、地域の人のイベントになって観光客を呼び込むようにしていきたいと思っています。そして祭りとは別で、そもそも何のために働くのか?を街の人たちと関わりながら考えていく「マチナカレッジ」を立ち上げて、月1回講座を実施しています。そこからいくつか事業になっていけばと思っています。

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最後に、土谷が今日のセッションについて振り返ります。
「経済の仕組みはいったん回り出すと抜け出られない仕組みがあり、今「ある」状態を「無い」状態に持っていくのは不安が付きまとうし、なかなか飛び込めないものです。しかし今日のゲスト池田さんと杉浦さんは、そもそもアクションのきっかけ、問題意識が違う。大きな問題に気付いてしまったらまず動く、そ行動力にプロジェクト成功の大きなヒントがあるように感じました。
  現代社会では、経済的には衰退しているにも関わらず、会社の売上目標は年々上がり、その狭間で会社員は苦しんでいます。それが現実。でもそんな現実を突きつけられながらも、自分たちがどういう選択をするのか、もう一度考える必要があると思っています。そこには純粋な「人の役に立って感謝されること」にしたがって動くことも一つですし、「お金ではない」という優先順位を決意できるかどうかが、今後の生き方を決める大きな分かれ道になるのではと思っています。」

二人の活動の素晴らしさからさらに議論を深め、強い思いや問題意識から突き動かされて動く彼らの姿勢、「あり方」は参加者にも響いたようで、終了後も多くの方が会場に残り、自分の思いややってみたいことについて話をしたり、池田さん・杉浦さんと熱いディスカッションをしている様子が印象的でした。

地域活性と一言で言っても、そこには強い思いを持ち、リスクを背負って動く人がいなければ成功はない、というメッセージが強く込められていました。

3*3ラボ(さんさんらぼ)

環境プロダクト「ものづくりからことづくり」研究会

3R(Reduce:減らす、Reuse:再活用、Recycle:リサイクル)と3rdプレイス(家と職場以外の場所)づくりを目指し、毎月ゲストをお招きしたセミナーを実施します。

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