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【レポート】異色の柑橘農家&ジュース起業家が情熱を語る

丸の内de地方創生 第2弾 愛媛ライブ2018 DAY-2 2018年11月16日(金)開催

8,11

地方創生に取り組む各地域について学び・交流・体験を行う【丸の内de地方創生】シリーズ、愛媛県とのコラボレーション「愛媛ライブ2018」。10月に行われたDAY-1に続いてのDAY-2のレポートをお送りします。
愛媛県は2018年7月の西日本豪雨により甚大な被害を受けました。前半は、宇和島市吉田町でその甚大な被害と正面から向き合い住民たちを助け、さらに地元の生産者や自らも生産に関わる柑橘で高級ジュースを製造販売し、地域に産業を起こそうとしている渡部武士氏のトークショー。
そして後半は、料理研究家の四分一耕氏による愛媛の食材による料理を味わうライブキッチンと盛りだくさんの会です。
中村正明氏の親しみやすい進行のもと、大いに盛り上がり、支援する側と支援される側の新たな関係性を築くためのヒントがたくさんちりばめられた会となりました。

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単なる農家になるだけの移住ではない、地域産業と経済の総合活性化を目指す

単なる農家になるだけの移住ではない、地域産業と経済の総合活性化を目指す

image_chihousousei1116_02【左】モデレーターの中村氏(左)とゲスト渡部氏(右)
【右】愛媛ふるさと暮らし応援センターコンシェルジュの板垣氏

トークショーに先立ち、愛媛ふるさと暮らし応援センターコンシェルジュの板垣氏からご挨拶がありました。

「移住を考えている人にご案内をする仕事をしています。本日のトークショーを行う渡部さんも地域おこし協力隊として移住されています。今日は食を通じて愛媛について考えていただけたらと思っています。 今日召し上がっていただく魚も7月の豪雨災害で被害を受けた地域で採れたものです。渡部さんがいる宇和島市吉田町奥南地区も大きな被害があり、渡部さんは尽力してくれました。そのあたりもあとでお話にも出てくると思います。ちなみに吉田町は、愛媛県でも南の方に位置し、非常に温暖で美味しいみかんが採れます。またあとでじっくり味わってください」

ここでゲストの渡部氏が登場。モデレーターの中村氏が「渡部さんのプロフィールはご自身のパフォーマンスの中でじっくり聞いていただきましょう」というちょっと変わった紹介の仕方をされたのですが、実際に大変ユニークなバックグラウンドを持った渡部さんの半生とチャレンジングな現在が語られました。

その経歴を簡単に紹介すると、家族で営んでいた飲食業で料理人としてキャリアスタートし、外資系有名ホテルにて客室サービスを担当、国内外のVIPをもてなし、その後大手証券会社で営業を経験。そして、飲食業経営を経て、地域おこし協力隊として宇和島市に着任し、みかん栽培にかかわる傍ら、副業として柑橘ジュース製造販売業を行っています。
この経歴を聞いただけでもそのパワフルさに圧倒されますが、ここからさらに大転換。お遍路を通じて宇和島と出会い、これまでと全く勝手の違う柑橘農家へのキャリアチェンジ、移住を決意します。

それもただの柑橘農家ではありません。
「売り先もないまま単にみかん農家が増えるだけでは意味がない。都市部と地域をつなぐ存在であり、地域産業と経済の総合活性化を目指す存在にならなくてはならない」と語る渡部さん。

渡部さんが現在暮らす奥南地区は人口1600人、高齢者がほとんどを占めます。自宅から最寄りのコンビニまで約9キロ、そこまで他の店は一軒もないというのどかな環境。

image_chihousousei1116_03【左】製造販売を行う柑橘ジュースは高価格帯でレストランやホテルで人気
【右】参加者は極早生みかんを熟成させた甘いジュースと、糖度も酸味もあるいよかんジュースを試飲

なぜジュースの製造販売なのか? 将来のビジョンは? いろいろな疑問を投げかけたくなります。
「自らみかんを作りながら、みかんのこと、地域のことをゼロから百まで答えられるPRマン、販売員という形で発信していこうとしています」

「最終的には同志を集めて、この地域で農業をやりたいという人を招き入れていっしょに農家をやっていきたい、10年、20年かけてやっていきたいと思っています」

移住と災害

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農家として、起業家として目標に向かって邁進する渡部さんでしたが、今年の夏、思いがけない事態に直面します。それが西日本豪雨災害です。
吉田町では多数の土砂崩れが発生し、みかん畑が飲み込まれ崩壊し、道は分断され復旧作業もままならい状況が続きました。
「東日本大震災を経験して、西日本豪雨まで経験するとは思わなかった」と渡部さん自身も語っていましたが、日本で暮らすということは災害とは無縁ではいられないということなのです。
高齢化が進む地域では、40代の渡部さんは貴重な若手。崩れたみかん山を目の前にして、必然的に地域で中心的な役割を担うことになります。

「二ヶ月間、地域おこし協力隊の業務を外してもらい、地域の公民館職員として避難所の運営にたずさわりました。本来、公民館には専門の職員がいるのですが、土砂崩れで陸の孤島となり来られなくなってしまったからです。その間は私ひとりで60名ほどの避難所の対応させてもらいました」

その経験から渡部さんは単なる移住者ではなく、地域に生きるひとつの歯車であることを肝に銘じたといいます。
崩れたみかん山で今後みかんを作っていくのは事実上不可能となり、現在はなんとか残ったみかんを収穫しているという状況だといいます。被害にあわれた方は今後も多くの課題に取り組んでいかなくてはいけないわけですが、渡部さんの地域に対する想いはさらに強くなったようです。

渡部さんのみかんと愛媛の食を味わう!
第二部 愛媛ライブキッチン

後半は料理研究家の四分一耕氏による愛媛食材を使用したお料理を参加全員で楽しみました。

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メニューは以下の通り......

「王道 マハタ鍋」
脂が乗っていてとても美味しいマハタがお鍋に。みかんご飯とも相性バッチリです。
マハタは高級魚として知られ、なかなか獲れないことから幻の魚と言われていましたが、愛媛県の八幡浜、宇和島などで養殖が進められています。

「アマゴの塩釜焼き」
アマゴはマス科の魚で川にいるものを「アマゴ」、海のものを「サツキマス」と呼ばれています。地元では塩焼きや甘露煮で食べますが、今回は塩釜焼きに。固まった塩を割るとほかほかのアマゴが登場。味ももちろんプレゼンテーションも楽しめる一品でした。

「卵寒天」
寒天の中に出汁と卵のふきよせた一見和菓子のような料理。愛媛では宇和島の郷土料理として知られているそうですが、参加者の多くは初めて見たという人も多く不思議な触感を楽しんでいました。

「姫ロマンサラダ」
姫ロマンとは、渡部さんが育てた希少な種類のトマト。このすごく甘くて美味しいトマトを、同じトマトのドレッシングで食べるサラダに。参加者にも大人気で大きな皿にもられた真っ赤なサラダがみるみるうちに空っぽになりました。

「みかんご飯」
愛媛の一部の地域で食べられているみかんご飯。みかんのジュースやみかんの皮を使って炊きます。今回は軽く、香る程度にみかんを使いました。みかんご飯と聞いて会場に小さなどよめきがありましたが、食べてみるとほのかに酸味と香りを感じられる上品な味でした。

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ドリンクは津田酒店さんセレクトの愛媛の地酒が並び、3種類の飲み比べセットが大人気でした。

・城川郷 尾根越えて 特別純米酒 加藤嘉明ラベル
・風の里 純米にごり
・虎の尾 純米大吟醸

美味しい料理とお酒で会場は大いに盛り上がり、和やかな雰囲気の中でプログラムは終了となりました。
いまだに困難の中にある西日本豪雨の被災地の一日も早い復興を願うとともに、献身的に地域の活性化に励む方々の努力が報われるために私たちに何ができるか改めて考える機会となりました。

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「地方創生」をテーマに各地域の現状や課題について理解を深め、自治体や中小企業、NPOなど、地域に関わるさまざまな方達と都心の企業やビジネスパーソンが連携し、課題解決に向けた方策について探っていきます。

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