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【レポート】美味しい、綺麗、楽しい――愛媛が持つ無数の魅力を考える

【丸の内de地方創生】愛媛の魅力たっぷり、海・山・里がある暮らし(2018年2月9日開催)

8,11

都市×地方という視点を持ち、地方が持つ魅力を広く伝える方策を考える「丸の内de地方創生」。今回のテーマは1月22日に続いて「愛媛県」です。【丸の内de地方創生 愛媛県 第1回レポート

モデレーターを務めた中村正明氏美しい瀬戸内海に面する愛媛県は、島や山など豊かな自然、3000年もの歴史を持つ道後温泉に代表される文化伝統、そして美味しい食など、数々の魅力を持つ地域です。2月9日に行われた第2回では、参加者が中心となって「魅力ある愛媛の暮らし」を考えていきました。今回のレポートでは、第2回のワークショップの模様をご紹介します。なお、いずれの回もモデレーターは丸の内プラチナ大学農業ビジネスコース講師、東京農業大学客員研究員、関東学園大学教授の中村正明氏が務めました。

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愛媛を味わい、魅力を発見

愛媛を味わい、魅力を発見

料理研究家・四分一耕氏によるブリの捌き方講座でワークショップは幕を開けました

愛媛の魅力を再認識するためには、文字通り愛媛を味わうことが効果的です。そこでこの日は、愛媛県愛南町で養殖されたブリや、愛媛の地酒も準備されました。冒頭にはえひめ地域政策研究センターの河内勇人氏の解説とともに、料理研究家の四分一耕氏によるブリの捌き方講座が行われました。

愛媛県の最南端、高知県との境に位置する愛南町は黒潮の恩恵を受ける温暖な海に面しています。その環境を活かしてブリなどの魚類養殖が盛んでとてもグルメな地域としても知られています。河内氏は、それを表すこんなエピソードも紹介。

しまった身がおいしそう。血抜きもしっかりされていてキレイ!

「面白いのは、愛南町の人々は"美味しい"という言葉を使いません。"これは上等や"と言うんです。自分の中に美味しいもののラインを持っているから、美味しいものをそう表現するのです」(河内氏)

それだけ愛媛の食のレベルが高いということなのでしょう。まさに今が旬だという脂ののったブリと四分一氏の包丁捌き、そして愛媛のグルメたる所以に触れ、会場は早速盛り上がりを見せました。

観光の究極の目的は「移住」

トークショーに登壇した面々。愛媛県庁地域政策課課長の毛利数人氏(上段左)。右の写真は説明で使った地図。伊予市双海町の弘田智美氏(下段左)、松野町教育委員会課長の井上靖氏(下段右)

そもそも愛媛という名前は、古事記の「伊予の国を愛比売(えひめ)といひ」という記述が由来とされています。47都道府県で唯一神話の中から生まれた県名を持つ地域であるだけに、その魅力は豊富にあります。それを紹介するために、愛媛県で実際にまちづくりに携わる面々より、愛媛の魅力を紹介するトークショーが行われました。

愛媛の魅力を紹介する上で真っ先に挙げられるのが自然です。日本の夕日百選に選ばれるほど美しい夕日を見ることができる伊予市双海町、上島町をはじめとする25の島嶼部など、枚挙にいとまがありません。また、先に紹介したブリをはじめとした海の幸、ミカンに代表される山の幸、さらには酒造りに適した愛媛原産の米・松山三井(みい)を使った各種日本酒など、味覚も楽しむことができます。一方で第二次産業も盛んで、愛媛県東部の東予地方は、タオルや製紙業、造船といったさまざまな工業が発展しています。

同じくトークショー登壇者。上島町地域おこし協力隊の佐藤仁美氏(左)、えひめ地域政策研究センターの河内勇人氏(右)

こうした魅力を伝えるために、愛媛では様々な仕掛けをしています。例えば愛媛県南部の南予地方に位置する松野町では、滝を使った天然のウォータースライダー・キャニオニングをPRして観光客を呼び込んでいるそうです。とはいえ同町は、マスツーリズムには特化をしていません。それは「観光の究極の目的は移住」だと考えているからだと、同町教育委員会課長の井上靖氏は話します。

「松野町は4000人ほどの町ですが、自分たちが楽しみ、ワクワクし、好きなことだけをしたいと考えています。この考えに共感してもらえる方に住んでいただきたいのです」(井上氏)

その思いに共感し、近年ではUターンやIターンで移住をする人も増えています。このように、愛媛という地域の魅力を広く発信し、それを知ってもらうことでまずは関係人口を増やし、そして移住者を増やすことにつなげる。こうした流れを構築することが、愛媛だけではなく、多くの地方が活性化するために必要なことと言えます。

地方回帰の受け皿としての大きなポテンシャルを持つ愛媛

ワークショップは30分ほどでしたが、時間が足りないほどの盛り上がりを見せました

現地で活動をする面々から愛媛の魅力を紹介されたところで、この日のメインである「魅力ある愛媛の暮らし」を参加者が考えるフェーズへと移ります。地方について考える際、外部の人から見ると魅力的であっても、実はそのことに現地の人が気づいていないということは往々にしてあります。そこでこのワークのように外部からの意見を取り込むことで、有している魅力の発信力を強めることが有効なのです。

参加者が7つのテーブルに分かれ、トークショーを聞いて感じた愛媛の魅力を個々人でポストイットに書き出します。出てきた魅力をグルーピングし、その魅力を広く発信するためにはどのような手法が良いかをさらに議論し合うという流れで、ワークは進行していきました。ここまでに目と耳で愛媛の魅力に触れてきた参加者たちは、活発に議論を交わしていきました。

各テーブルの発表も大盛り上がり。この日は参加者としてシンガーソングライターの白井貴子氏の姿もありました

各グループからは、やはり食や自然に関する意見が多数出てきましたが、その他にも「気候が温暖で雨が少ないため、災害リスクが低い」「一次産業から三次産業までまんべんなく発達し、六次産業化が可能な地域」といったことも挙げられました。その一方で、東京から愛媛の遠さがネックになっているとし、「LCCを使えば安価に行くことができるので、その点をもっとアピールすべきでは」という意見も。さらに、こうした魅力の発信や課題を解決していく上で「四国の他の県など、国内でパイを奪い合うのではなく、他地域とも連携し、共存型でアピールしていくことが大切」と、貴重な提言もなされました。

愛媛のお酒も大人気

各テーブルの発表を終えると、参加者がこの日もっとも楽しみにしていたかもしれない、四分一氏の料理と愛媛の日本酒が振舞われ、ワークショップは終了を迎えました。このレポートで紹介したように、今回、愛媛についてネガティブな意見はほとんど出ませんでした。それだけ、多くの人を魅了する力があるということなのでしょう。地方回帰の高まりが予見されている今、愛媛はその受け皿として重要な役割を担うことになるかもしれない――そんなことを考えさせられるワークショップでした。


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