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【丸の内プラチナ大学】シビックプライドの醸成から学ぶ、CSVへのアプローチ

CSV実践コース第3回(DAY 5)レポート 12月8日

CSVとは「幸せに暮らす」という目的を実現するための手法のひとつ

12月8日、「丸の内プラチナ大学」の「CSV実践コース」第3回目の講義が3×3Laboで行われました。CSV実践コースとしては最後となる今回も、各々が持つ経験をしっかりと財産にしていくために、さまざまなケーススタディを学びました。

第3回の講義に先立ち、前回の持ち帰りフレーズを確認。ファシリテーターの臼井清氏は、前回の伊藤園 笹谷秀光氏の講義で印象深かったこととして、「センス・オブ・プレイス」と「シビックプライド」、「みんなでやること」といったキーワードを挙げました。この中でも特に「シビックプライド」、は今回の講義でも重要なポイントになりました。

第3回目の講師は、株式会社ウエーブプラネット 代表取締役・コンセプトナビゲーターで、前川崎市議会議員のツノダフミコ氏。冒頭、ツノダ氏は「人間の目的である『幸せに暮らす』ということを、どのような立場で、どうやって実現するか。CSVとは、その目的を実現するための手法のひとつ」と語り、「商品を売るマーケティングから、社会形成を通じた事業創発のケーススタディ」と題して、個人としてのCSVへの取り組みについての講義をスタートしました。

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個人の幸せは常に社会につながっている

個人の幸せは常に社会につながっている

第3回の講師を務めたツノダフミコ氏

まずツノダ氏は、「自身の製造プロセス」として、これまでの経歴を語りました。高校生の頃、団体競技をやっていたものの「協調性がなく、組織に馴染めなかった」と、大学生になってからは個人競技であるサーフィンに没頭したといいます。そこで、現在にも通じる大切なことは、すべてサーフィンで学んだと語りました。それは
1.波が来ないと波には乗れない
2.いい波が来たときに、波に乗れる自分を用意しておかないと波には乗れない
3.必ずどこかに波は立っている
という3つ。「サーフィンは波があってこそできるもの。同じ波は二度と来ないし、よくない波にも一生懸命乗っておかないと、いざいい波が来ても最高のパフォーマンスを出すことができない」「今いる場所にいい波がなくても、場所を変えればいい波に乗ることができる」と説明し、そして「こうしたことは、仕事そのものであり、人生そのものだと感じています」と言います。これは、普段の仕事や生活にも置き換えられる言葉ではないでしょうか。

波との関わりは、ツノダ氏が創業したウエーブプラネットという社名の由来にもなっています。ウエーブプラネットは「明日をもっとハッピーに」をミッションとして、マーケティングに関わるコンセプト・ナビゲーションを行う会社です。新商品や新事業のコンセプトメイキング、生活者調査などを行う同社は、業界問わず、さまざまな企業のサポートをしていますが、すべてに共通するのは「常に私がハッピーでいたいから」であると、ツノダ氏は言います。「自分の幸せは、自分だけでは成り立ちません。家族やその友人などが幸せになってもらってこそ、自分の幸せは成り立ちます」----そのために、良い製品や良いサービスを作るための手助けを行い、「仕事を通じて、クライアントに、そしてそこからつながる社会にハッピーを提供していきたい」と言うのでした。

こうしたツノダ氏の言葉を受け、普段の生活や仕事の中で「こだわり続けていることは何か」という問いが、参加者に投げかけられました。参加者からは「本気で自分がやりたいことを、諦めずにやり続ける」「楽しく、明るく、元気よく、仕事をすること」など、各々のこだわりが披露されました。

シビックプライドは財政に好影響を与え得る概念

CSV講座も3回目、積極的な議論、発言が交わされました

続いてツノダ氏は、川崎市議会議員時代のケーススタディを紹介しました。

ツノダ氏が議員を務めた川崎市は、以前は公害の街というイメージがあり、また東京都や横浜市と行った大都市に挟まれていることから、住民も、自分たちが住む街に価値を見いだしにくいところがあったといいます。そうしたイメージを変えるためにツノダ氏は「マーケティング」と「ブランディング」に力を入れ、そして市民が「シビックプライド」を持つことができるよう、行動を起こしました。

川崎市におけるマーケティングとは、市民の声、特にサイレントマジョリティと言われる人々の声を市政に届けることです。それまでも川崎市議会ではアンケートを行って市民の声を集めるということはなされていましたが、それは、その議員の支持者や属する政党の支持者の声を集めるもので、本来的な意味でのアンケートは行われていませんでした。そのため、ツノダ氏はマーケティング業界で培ったノウハウを活かし、川崎市のイメージについて、全市の有権者を無作為に選んでアンケートを行いました。それによると、「工場の街」という根強いイメージがある一方で、「便利」「暮らしやすい」というポジティブなイメージも挙げられたそうです。このことから「どれだけ市民に対して良いことをやっていたとしても、効果的に情報発信できていないと、誇りは育たない」と、「ブランディング」を強化することでこそ、「シビックプライド」を醸成できると力説しました。

その結果、川崎市役所内にブランド戦略を行うための新組織が発足され、市の総合計画にもシビックプライドの文字が盛り込まれたのです。

なぜそこまでシビックプライドが重要なのか。それは「市の価値を上げないと住民は増えず、市の財政も増えない」から。そうならないために「効果的、戦略的に情報発信して、イメージを高め、シビックプライドを醸成していく。そうすれば、人口増加や市民恊働、歳入増加、歳出抑制が実現できる」――つまり、シビックプライドは単なるイメージアップのものではなく、財政に好影響を与え得るものでもあるのです。

「善意だけに頼らない」「お金の流れを作る」ことが必要不可欠

ここまで紹介してきたように、ツノダ氏は「自分の想い」と「自分の得意技」を掛け合わせることでCSVにアプローチしてきました。氏の場合、「自分がハッピーになるために、社会をハッピーにしたい」という想いと、「マーケティング」という得意分野を掛け合わせ、時には経営者・コンセプトナビゲーターとして、時には議員として、世の中に発信し、巻き込んむことで、「明日をもっとハッピーに」するために行動を起こして来たのです。

ただし、「想い×得意技」というだけでは不十分であるとも言います。CSVへのアプローチをより強固なものにするためには「善意だけに頼らないこと」と、「お金の流れをつくること」の2つ。善意だけに頼ると、時間とお金に余裕のある個人や企業にしかできず、またお金の流れを作ることができないと、それを持続していくことができないからです。それによって困窮している例として挙げたのが、地域の相談相手である民生委員。民生委員は、自治体から十分な費用の支援はなく、民生委員の善意に頼られています。その結果、長く続けられる人は少なく、なり手が不足しています。「お金の流れを作ることは悪いことではなく、むしろ良いことを続けていくための責任を全うするために必要不可欠なことである」と語りました。

最後はファシリテーターの臼井氏より、持ち帰りフレーズの記入と、参加者自身の「CSV実践計画」を作るという宿題が出されました。これまで3回のCSV講座を通じて、それぞれがどのようなことを感じ、考えた、今後どのように実践していきたいか、次回DAY6の全体報告の場で発表することになります。いよいよ丸の内プラチナ大学のプレ講座も次回で最終回。CSV講座だけではなく、他の講座の参加者がどのようなことを学び、どのような挑戦につなげていきたいと考えるようになったのか、その成果に期待が高まります。

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