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【レポート】Co-creAction Award 2016 -企業とNPOの共創コンテスト-

――2016年2月23日(火)開催

盛大に開催された"共創"テーマのコンペ

2月23日、3×3Laboで「Co-creAction Award 2016」が開催されました。本Awardはアイディール・リーダーズ株式会社が主催する「企業とNPOの共創」をテーマに掲げたアイデアコンテスト。参画企業が、解決したい課題を"お題"として提示、その課題を解決するアイデアをNPO側が提案するというもので、アイデア募集は公式ホームページ上で行われました。提案の申し込みは2016年1月17日に締め切られ、一次選考では、お題提出に参加した企業は6社7課題、NPO26団体から31の提案があったということです。

この日行われたのは、一次選考を勝ち抜いたNPO、6団体による6テーマのプレゼンテーションと最終審査、そして表彰式。賞金も用意され、最優秀賞100万円、優秀賞50万円という豪華さです。

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Co-creAction Award 2016とは

Co-creAction Award 2016とは

開会を宣したのは、主催するアイディール・リーダーズ株式会社の代表取締役永井恒男氏。冒頭のあいさつでソーシャルイノベーションの必要性に言及し、「企業とNPOが共同して事業を行うことが社会的価値を生み出すきっかけになる」と指摘、Co-creAction Awardが、そのためのプラットフォームとしての意味があることを語りました。

一橋大学・米倉教授続いて登壇したのは一橋大学イノベーション研究センター教授米倉誠一郎氏。氏は本コンペの審査委員長も務めていますが、のっけから「まやかしはやめよう」という衝撃的な言葉で切り出し、より大局に立った社会課題に対するソーシャルビジネスの役割の重要性を語りました。

現在の日本は官僚機構が機能していないこと、国家予算は借金体質を抜け出せない状況が続いていることを示し、これでは「国が社会課題の解決を行える状態にない」と指摘。そこで白羽の矢が立てられるのがNPOです。NPOが持つ特性と優れた能力を社会課題の解決に向けてほしいと、目の前にある社会課題を示しながら力説。NPOは企業と違って利益追求はできないが、米倉氏は社会課題に対して目的を持って活動し、その結果得られる利益は享受していいという考えを示しました。

例えば世界に目を向ければ、貧困層に対するマイクロファイナンスで実績を上げるバングラデッシュのグラミン銀行があります。また、コペルニクが途上国向けに開発したソーラーランタンは、単にロウソクの代わりというだけでなく、夜間のサイドビジネスを創出し、ひいては経済的自立を促しているなどの成功例を示し、NPOが掲げる高邁な目標を達成するには、"ビジネス能力"こそがもっとも大事な能力であると指摘していました。

今回のアワードに対しては、「優れた能力をもつNPOは、企業の課題を越えて、広く社会全体のために活動をすべき」とさらに広い視野に立つよう呼びかけ、「(このようなコンペも)普通では思いつかないアイデアで、イノベーションの1つ」と評価し、スピーチを締めくくりました。

最終審査に残った6つのアイデア

厳しい一次選考をクリアして最終審査に残ったNPO6団体6提案は次のとおりです。

【1】JTに合う理系大学生・大学院生との出会いを繋ぐアイデア募集!
企業:JT
NPO:企業教育研究会

【2】体操服のリサイクルプロジェクト「tiopro(R)]の展開を支えるパートナー募集!
企業:帝人フロンティア・旭化成アドバンス
NPO:eboard

【3】ゴルフ場を市民に開放!市民の憩いの場・交流拠点に活用できるアイデア・担い手募集!
企業:東急リゾートサービス
NPO:ファンズアスリートクラブ

【4】アクティブシニアの健康寿命延伸に寄与するサービス提供、仕組みづくり、その担い手を募集!
企業:東急不動産
NPO:パフォーマンスバンク

【5】企業のダイバーシティ推進を"本質"からサポートする新しいサービスを一緒に開発してくれるNPOを募集します!
企業:テンプスタッフラーニング
NPO:マドレボニータ

【6】全世界で医者や薬局に通うのが困難な地域(たとえばアフリカなど)で家庭常備薬並びに健康食品の市場調査を支援していただけるパートナー募集!
企業:太陽ホールディングス株式会社
NPO:WAKUWAKU FOUNDATION

プレゼンテーションでは、最初に"お題"を出した企業から、取り組みや課題について説明があり、続いて、その"お題"に対してNPOが提案内容をプレゼンするという進行でした。

各NPOからは、それぞれの活動目的と実践を紹介の後に、今回の"お題"に対する提案がなされました。さすがにそれぞれの領域で高い専門性を持っており、最終審査に残っただけのことはあり、どのNPOの提案も、アイデアに富み、参加者の耳を釘付けにしているようでした。それぞれの発表のあとに質問が受け付けられ、審査委員からはより実践的なビジネス視点での質問が出ていました。

審査委員には、米倉氏を委員長として、次の方々が名を連ねていました。日本たばこ産業株式会社(JT)たばこ事業本部R&Dグループ元責任者米田靖之氏、太陽ホールディングス株式会社研究本部長有馬聖夫氏、東急不動産株式会社執行役員ウェルネス事業ユニット ウェルネス事業本部副本部長小室明義氏、エコッツェリア協会フューチャーセンター・プロデューサー田口真司氏の4名です。

審査委員長の優しくも辛口の個別評価

表彰式に先立って審査委員長の講評が行われました。米倉委員長は席を立つと、スクリーンを背に発表したNPOの人たちが座る席に向き直り、まず「面白かった」と一声。全体としては高い評価を与える一方で、個別評価になると辛口評価も飛び出しました。良かった点と足らなかった点が具体的に示されながら評価が加えられていきましたが、最後には「いずれのアイデアももっとイノベーティブなものにならないといけない」。

今回のプレゼンは企業が出した"お題"に対するアイデアであり、1社の、それも特定のプロジェクトの課題解決を想定したものですが、それだけでは個別事例の域を出ないということでしょうか。より汎用性、社会性のあるアイデアと実践を呼びかけていました。

賞金100万円の最優秀賞を獲得したのは?

最優秀賞と優秀賞は審査員5名と発表者を含む参加者の投票で決定しています。
受賞したのは、
最優秀賞 マドレボニータ(課題提供:テンプスタッフラーニング)
優秀賞 WAKUWAKU FOUNDATION(課題提供:太陽ホールディングス株式会社)
です。

今回アワードを実施したアイディール・リーダーズ株式会社は、昨年4月に創業したばかりの新鋭企業。Co-creAction Awardの実施も今開催が初めて。表彰式の後には、来期以降の構想が示され、企業側にもNPO側にも改めての参加が呼びかけられました。


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