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【レポート】大丸有発、日本酒、世界行き。

5月24日(火) SAKEプロジェクトnight!!

5月24日、東京・大手町の3×3Lab Futureで「丸の内SAKEプロジェクトnight!!」が開催されました。これは日本が世界に誇る文化である日本酒を、大丸有の価値向上につなげる方策を探る企画の第1回目で、企画協力には「はせがわ酒店」が参画しています。はせがわ酒店は、東京駅やパレスホテル等、都内の名だたる観光スポットに販売店を展開する日本酒小売業の雄。2012年に始まった「SAKE COMPETITION」の企画運営にも関わっており、この日のイベントでは、5月に審査が行われ、7月下旬に結果が発表される同コンペの様子やポイントなども紹介されました。

会場には、コンペに出品された全国の日本酒が25本揃えられ、併せてとりどりの格好のつまみも用意されました。参加人数は、日本酒にこだわりを持つ30名あまり。「単純計算で1人最低でも2合は飲めるのでいろいろ試して飲んでほしい」と、冒頭エコッツェリア協会の平本真樹氏が会場に呼びかけました。

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市販酒の日本一、いや世界一

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平和酒蔵・山本氏

冒頭の挨拶で、平本氏はこのイベントの目的を、「日本酒の魅力を結集し、大丸有ならではの発信をする、その方法を探ること」と話しています。「大丸有は、国内、海外から多くのビジネスマンが集まる場所。今日集まった参加者たちは、そんな大丸有の現状を把握しており、同時に、日本酒を広める"タクラミ"ができる人たちばかり。ぜひ一緒にしかけていきましょう」。

エコッツェリア協会専務理事の村上孝憲氏の音頭での乾杯の後、「紀土」で知られる和歌山県の平和酒造(和歌山県海南市)の山本典正代表取締役専務から、SAKE COMPETITIONの概要について解説がありました。

山本氏によると、「全国1200酒蔵はどこもがんばっているが、がんばっているだけではダメで、自分たちの力量を測ることが大切」であり、そのためには「コンテストが最適」なのだそう。同コンペはまさにそのためのもの。日本酒のコンテスト、コンクールは数多くありますが、有名なのは「全国新酒鑑評会」でしょう。これは「もっともグレードの高い日本酒の品質を競うものでいわば"F1カー"のようなもの」と山本氏。それに対し同コンペは「市販酒を対象にした、消費者のためのコンペ」であり、「新酒鑑評会とは真逆にある」と説明。すべて実際に販売されている日本酒なのでその数も多く、出品数は、2014年856点、2015年1028点、2016年1462点とうなぎのぼりに上昇。「出品数は世界最多」と山本氏は胸を張ります。受賞した日本酒はすぐ大人気になって売れてしまうそうで、「毎年シンデレラ蔵が登場する」のだとか。

今年は、「世界へ持って行きたいお酒No.1を決める」、720ml、8000円以上の日本酒を対象にした「Super Premium部門」が設立されたこと、海外からの出品が21点あるなど世界的な注目度も上昇していることが特徴だったそうです。この日、ミラノで「MIRANO SAKE FESTIVAL」を主宰しており、コンペにも招待されていたマルコ・マッサロット氏も来場、「日本酒は今世界からすごく注目されている。将来性はとても高い」と、世界市場におけるポテンシャルが高いことを語りました。

世界へ羽ばたくために

プレゼンテーションの後は、三々五々、参加者たちは思い思いに日本酒を楽しみました。会場では、各種おつまみの他、途中から株式会社酒々の実(ささのみ)の「日本酒アイス」も登場し、日本酒の繊細で新しい魅力を発見することもできたようです

本会を主催したエコッツェリア協会・平本氏は、このSAKEプロジェクトnight!!を「定常化したい」と考えているそうです。「外国人ワーカーからの日本酒への興味は日々高まっている。そこへ向けて、ワンストップで日本酒体験ができ、ここから蔵元がある地域に行きたくなる、そんな場所を作りたい」。
そのために集まったのが今回の参加メンバーで、「みな日本酒が好きで、本業を持ちつつも、新しいプロジェクトを企画立案できるプロデューサー格の面々ばかり」と平本氏は、彼らの今後の活動に期待を寄せています。

大丸有ならではの日本酒発信の特徴として「パーソナルな日本酒体験ができること」「リアルなヒアリングができること」といったことがあるのではないかと平本氏。「そうは言ってもここ(3×3Lab Future)で仲間とおいしいお酒が飲めれば言うことなし(笑)」とも語っています。中締めの挨拶に立った芳賀雅彦氏(広告代理店勤務)のコメントが印象的です。「いい酒、いいメシ、いい仲間が一番。またみんなで集まって楽しみましょう!」。

ちなみに、マルコ氏はイベント後の取材に答え、現在のヨーロッパにおける日本酒市場は「ポテンシャルは高いがマーケットはとても小さい」と指摘しています。「誰もが日本酒を"知っている"が、飲んでいる人、飲んだことのある人はとても少ない」そうです。それは、現状ではヨーロッパで買える日本酒が非常に高額でもあるため。「一番質の低い、安い日本酒が、中程度以上のグレードのワインよりも高い」とマルコ氏は嘆いています。また、今後の日本酒の普及については「地域のシェフ、ソムリエの教育」と、「ローカルフードとのマッチングが重要なポイントになるのでは」とアドバイスしています。

大丸有が、日本酒における海外へのゲートウェイになるにはどうしたら良いのでしょうか。日本酒はまさに地方創生のキラーコンテンツでもあり、さまざまな取り組みがここから始まることに期待できそうです。それはもちろん、楽しく飲みながら、なのです。


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