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【レポート】岩手で「暮らす」「働く」を考える

──岩手で移住体験ツアー事前説明会(11月1日開催)

昨今、「地方への移住」が静かなブームになっています。一昔前までの「地方移住」と言えば、定年などでリタイアした人がセカンドライフを過ごすための選択肢の一つというイメージでとらえられることが多かったのですが、近年では、IT環境などの向上により場所を選ばず仕事ができるようになったことに加え、低コストで暮らしやすい生活環境や安全な食生活を手に入れることができる点に魅力を感じた現役世代が移住に踏み切るケースが増えていると言います。

11月1日、そんな地方への移住を後押しする催し「岩手で移住体験ツアー事前説明会(主催:いわて定住・交流促進連絡協議会)」が3×3 Lab Futureで開催されました。この催しは、「岩手で暮らしたい・働きたい!」と考えている人に対し、岩手で活躍する先輩移住者を訪問したり、暮らしや文化を体感したりするツアーの紹介と、先輩移住者とのワークショップを目的としたものです。

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岩手でのさまざまな「働き方」にふれるツアー

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「おばんでございます」
ワークショップの進行を司る一般社団法人「SAVE IWATE」の細江絵梨さんのあいさつでイベントはスタート。本イベントは、岩手移住体験ツアーの詳細案内のほか、参加希望者のワークショップ、先輩移住者によるトークセッション、懇親会の4部で構成されており、最初に、2016年12月と2017年1月にそれぞれ実施が予定されている第3弾と第4弾の岩手で移住体験ツアー(第1弾、第2弾は実施済み)の紹介が行なわれました。ツアー実施概要は以下のとおりです。

●第3弾ツアー
「フリーランスや起業家の働き方に触れる旅」
日程:12月16日(金)~18日(日)
申込締切:11月27日(日)
訪問先:雫石町、花巻市ほか

●第4弾ツアー
「多様な仕事、多様な職場 岩手のサラリーマンライフを知る旅」
日程:1月20日(金)〜22日(日)
申込締切 :12月25日(日)
訪問先:盛岡市、一関市ほか

申込みはこちらから

ツアーの紹介が終わった後、会はゲスト3名によるトークセッションへ移行しました。

トップバッターとして登場した小友康広氏は、前述した第3弾のツアーでの訪問が予定されている先輩移住者(Uターン)の一人。東京都内でIT系企業の役員を務めながら、岩手県花巻市で家業である木材店の経営にも携わるなど、岩手と東京で2地域居住・ダブルワークを実践している人物で、現在は1年の3分の2を岩手で過ごしているとのこと。「問題やトラブルが発生したときに、東京ではハードウェアの整備などにお金をかけて対処しようとしますが、岩手では、人とのつながりを中心としたソフトウェアで解決しようとするところが大きな違いですね」という小友氏の話に、参加者はメモをとりながら熱心に聞き入っていました。 また、地方へ移住する際に頭を悩ませる問題の一つに、「住居」の問題があります。小友氏の後を受けて登場した岩手県一関市職員の小山貴史さんは、一関市に移住して生活したいと検討している人を対象とした空き家紹介サービス「空き家バンク」の取り組みを説明。「この仕事を担当して約10年。"いい物件ない?"と地元を奔走する日々を送っておりまして、現在では半ば不動産ブローカーと化しています」という話で場内の笑いを誘います。

最後に登場した松本数馬氏は、「大震災を機に郷土愛に火がつき、地元の一関市へ戻ることを決断しました。これだけ面積が大きいにも関わらず岩手には映画館が3都市にしかないのですが、実家はその数少ない映画館の一つを経営しておりまして、現在はその事業を引き継ぎつつ、新しいビジネスを立ち上げるための準備を進めています」と、娯楽施設の少なさなど懸案となる情報も参加者に提供しました。

居住者から"いま"の岩手の情報を得る

その後、ゲスト3名が参加者たちとセッションするワークショップへ。「冬はどの程度の寒さなのか」「一戸建てやアパートの賃料はいくらくらいか」「移住を決断してから実行に移すまでどれくらいの期間がかかったか」「移住に際して、情報はどれくらい集めたほうがよいのか」といった幅広い質問が飛び出し、「どこに住んでも費用はかかるので、費用以外の面で譲れない条件を設定し、それに沿った情報を集めるべき」「冬になると水道管が凍結します。アパートやマンションなどはその状態のままでの引き渡しが珍しくないので、最初に条件を確認したほうがいい」など、経験に即した有用なアドバイスにうなずく参加者の姿が印象的でした。

大の映画好きを自認する参加者の男性からは、「岩手には映画館が3箇所にしかないと聞いて残念に思いましたが、逆に、現地で映画関連のビジネスを創出できる余地があるのではないかと前向きに考えることができました」とのポジティブなコメントも聞かれるなど、移住を検討している参加者にとって有意義なイベントになったようです。
ワークショップ終了後は、岩手のソウルフードといわれる「福田パン」を師匠と仰ぎ東京・亀有で行列のできるコッペパン屋を営む「吉田パン」のパンが並ぶなど、岩手産品の食ケータリングを一同が堪能。会は盛況のうちに終了しました。


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