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【レポート】大丸有フードイノベーション、JA商談会へ出てみたら...

大丸有フードイノベーション in JA商談会 2018年 3月14~15日

8,12,15

JAグループ国産農畜産物商談会(以下JA商談会)は、日本各地のJAが産品を持ち寄り、首都圏のバイヤーにアピールする場。全国各地の名産品・特産品を目当てに5000人を超えるバイヤーが集まるとも言われています。3月14日・15日に東京国際フォーラムで開催された第12回JA商談会の会場内は「北海道・東北」「関東甲信越」......とブロック分けされ、地域ごとのJAがブースを出展。それだけに「大丸有フードイノベーション」と掲げられた看板に「?」と思ったバイヤーも多かったのではないでしょうか。JA商談会なのに、JAじゃない......?

そう、今回はJA全中、農林中金、三菱地所、エコッツェリア協会の4者が提携しスタートした【4者連携協定】と、そのスローガン「JA大丸有をつくろう!構想」をきっかけに始まった大丸有フードイノベーションプロジェクトが、JAグループの協力を得て商談会に出展したものです。これまで大丸有フードイノベーションに登壇した生産者の中から、出展可能な4生産者が集まりました。

大丸有フードイノベーション全体をコーディネートする中村正明氏の言葉を借りれば、このJA商談会は「プロジェクトのひとつの節目」。大手町マルシェでの販売、3×3Lab Futureでのプレゼンテーションに加え、新たな活動の場が加わり、新しい交流とビジネスのプラットフォームとなりそうです。

今回は出展した大丸有フードイノベーションのブースの様子を、各JAとして出展したJA仙台、JAびえいのブースも併せてレポートします。

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バイヤーの「?」を「!」に変える

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にんにく粉末をかけて長芋やちくわを焼いて提供するJA十和田おいらせ

「正直言って、これはなんだと思いましたよ」と話すのは、通りかかったとあるバイヤー。集まるバイヤーの数は5000人超、出展ブースは総計147。JAには分類されない農業生産法人、6次化ファンドでの出展もありましたが、「大丸有フードイノベーション」と看板の出たブースは大いに謎であったに違いありません。タイトルからは何を作り、販売しているのは分からず、どういう集まりなのかも分からない。

今回出展に参加してくれた生産者は4者。青森県のJA十和田おいらせからはミルラ(没薬)で加工して低臭化した「プレミアムにんにく」(第2回で登壇)、おなじく青森県から伝統的製法で焼き上げるちくわの「丸石沼田商店」(第1回で登壇)、衝撃のシャインマスカットの干しぶどうで話題をさらった山梨県・百果苑(第2回)、新茶のみを流通させる静岡県の佐京園(第1回)と、多種多様な品が揃ったブースに、通りかかるバイヤーも戸惑いを隠せない様子。しかし、このブースのなんたるかを聞くと、誰もが足を止めて説明に聞き入ります。

カフェを経営するある大手企業の担当者は、佐京園のお茶に惹かれて足を止めていました。ブースではお茶を試飲したほか、ちくわや干しぶどうも試食。「面白い」と感想を話しています。
「食品の展示会にはよく足を運ぶ。でもだいたい出店者はどこも同じような人たちになってしまい、『またお会いしましたね』ということのほうが多いのだけど、このブースは、他の展示会では見たことがないラインアップで新鮮。生産者が直接出展しているのも、こういう見本市では珍しいのでは」(カフェ担当者)

佐京園の佐京氏(左)。お茶は女性にキャッチーだった

JA商談会の出展ブースで応対するのはJA職員で、生産者はあまり顔を出すことはありません。
「そこが大丸有フードイノベーションのブースの良さでは」と、コーディネーターの中村正明氏は話しています。
「個人の生産者はJAの商談会にはあまり参加することがない。でもこの大丸有フードイノベーションのブースでは生産者の声を直接聞けるからバイヤーにとっても話が早いし、興味深い話が聞けているようだ。正直言って"打率"は高いかもしれません」(中村氏)

ちくわを焼いたり煮たりして試食に出す沼田氏

別の大手加工食品メーカーの担当者は、乾燥加工を多く手がけており、低臭にんにくの粉末を「これは使える。使いたい」と大絶賛。
「作っている人がいるから、詳しいことが聞けてこれはいいなと。マニアックな生産品が出てきて、しかもマニアックな話が聞ける(笑)。なかなかない面白い体験でした」(加工食品メーカー担当者)

大丸有フードイノベーションというフレームワークを通して、JA商談会の常識を裏切る(あるいは超える)出展と体験を提供することができたと言えるでしょう。それは大丸有フードイノベーションの登壇者が群を抜いて特徴的な生産者であることの証左であるでしょうし、同時に生産者と消費者(この場合はバイヤーですが)の距離を縮めるという趣旨が、他にはない体験価値を生み出しているということかもしれません。

新しいつながりと機会

「売り先じゃなくパートナー探し」と話す荻原氏(右)

一方、出展した側はどうだったのでしょうか。「正直言って、ちょっと見くびっていましたが、想像以上の効果で驚いている」と話すのは佐京園の佐京裕一郎氏。大きな展示会に出すことはありますが、「熱気が違う」と感心した様子。
「冷やかしが少なく、打率が高い。中には30トンくれなんて大きな話もあって、それは無理なんですが、うちのサイズに合ったいい話をたくさんいただきました」(佐京氏)

また、もうひとつ驚いたのが「立場のある人が多いこと」。
「偉い人が大勢来ているので話が早い。限られた生産量ですが、まだまだ販路は広げたいと思っていたので、とてもいい機会になりました」(同)

面白い接点を増やせたのは丸石沼田商店の沼田祐寛氏も同様です。普段は水産系の商談会に出展しており、農林系は今回が初めて。
「水産関係では出会えないバイヤーさん、特に外食関係者、JA系の大手小売の方と出会えたことが収穫でした」(沼田氏)

また、「ちゃんと話して伝えることができたのもうれしい」とも話しています。
「消費者に近い人達なので、そこの声を聞けることは勉強になる。水産業ですが、農林系の人たちにクロスボーダー的に話せたことは、今後の役に立ちそう」(沼田氏)
JA十和田おいらせでも2日間で見積もり依頼を多く受け、今後のはずみになったと話していました。

「結局のところ、売りたいというよりは、一緒に豊かで楽しい生活を作るパートナーを探したいということなんだと思います」
そう話すのは、百果苑の荻原慎介氏です。珍しい商品だから足を止め、試食し、買いたいと声を掛ける人は多い。見ている間に次々と商談の話になる。しかし「ぶどうの価値、加工した価値を理解してくれる人、その人となりを見てお付き合いするかどうかを決めたい」。JA商談会はそのための場になったと話しています。また、JA商談会での体験が、地元のぶどう生産者の仲間に対するアピール材料になるとも。
「こういう商談会で、こんなバイヤーとこんな話をしたという体験を伝えることが、『このままじゃダメだ』『新しいことをやらなきゃ』といったような仲間たちの意識改革にもつながっている」(荻原氏)

大丸有フードイノベーションからジャンプ

今回、大丸有フードイノベーションには登壇したものの、JAとして出展しているJA仙台、JAびえいのブースをうかがってみると、どちらも大盛況の模様です。

JA仙台の小賀坂氏

「SOYヨーグルト」は仙大豆のブランドからJA仙台では、3月27日から都内でも販売を開始する「SOY ヨーグルト」が大人気。第1回 大丸有フードイノベーションで登壇し、SOY CHIPSをプレゼンした小賀坂行成氏は「足の早い商品なので、そこが不安材料ですが、手応えは得ている」と話しています。 「SOY CHIPSで得た経験がすごく生きていて、これまでにはない売り方ができるようになった。ヨーグルトもバイヤーのみなさんからの反応が良い。売れるんじゃないかと期待しています」(小賀坂氏)

JAびえい 高橋氏

JAびえいは、フリーズドライのあずき、スイートコーンに加えて、今年1月新発売のあずきの甘酒(製品名「びえい産ななつぼしとしゅまり小豆の甘酒」)が大ウケ。見ているわずかの間に入れ替わり立ち代わり試食の人の流れが絶えることがありません。あるバイヤーは「地域色がしっかり出ていること、ナチュラルさを出していること、常温で扱えることがいい訴求ポイントになっている」と話しています。
「今は地域の独自色が出ていることが必須。そこに機能性、健康性などがプラスでオンされていることが望ましい。パッケージ、見た目でそうしたことがわかればさらに良い。その点JAびえいの製品はすべて合格点」(通販バイヤー)

別のバイヤーも「ギフトに使えるものを探しに来たが、これなら使える」と生クリームと生乳をフリーズドライにした「丘のおかし ダイスミルク」を大絶賛していました。

来年度に向けて

中村氏

JA商談会は、大丸有フードイノベーションにとってどのようなものだったでしょうか。中村氏は「新しいプラットフォームとなったのでは」と話しています。

ここで生まれた活動のひとつは、出展者同士の横のつながりです。例えば、JA十和田おいらせと丸石沼田商店は販売の現場で即興コラボ。にんにく粉末をかけて焼いたちくわは、ちくわとにんにくのダブルインパクトで来場者にも好評でした。佐京園と百果苑の2人も、同年代で目指している方向も近いこともあって現場で意気投合、販売戦略で学び合う点が多かったと話しています。

大丸有フードイノベーションを傍で見ている私たちは、すべての出展者を知っているわけですが、回の違う出展者はお互いを知りません。しかし、JA商談会の現場で初めてお互いを知り、プレゼンの時とは違った出会いとコラボレーションがここで生まれています。

「来年度も大丸有フードイノベーションは継続するつもり。今年度1年でできた流れを継承しつつ、来年度はさらにグリーンツーリズムを取り入れたり、地方活性化の視点をさらに盛り込むなど進化させることができれば。JAグループの力、大丸有の力を合わせることで、さらにすごいことができるのではないかと感じている」(中村氏) >

JA商談会への参加は、4者連携のリソースを活用しただけではなく、さらに発展する可能性を感じさせるものとなりました。来年度の大丸有フードイノベーション、そしてその幕となるJA商談会はどうなるのか、今から楽しみです。


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大丸有エリアにおいて、日本各地の生産者とエリア就業者・飲食店舗等が連携して、「食」「農」をテーマにしたコミュニティ形成を行います。地方創生を「食」「農」に注目して日本各地を継続的に応援し、これらを通じて新たな価値創造につながる仕組み・活動づくりに取り組みます。

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