シリーズSHAREISM

【 SHAREISM Vol.5 】Creative Style:New generation talk

株式会社Granma 本村 拓人

支援ではなく、"シェア"

日本企業のBoP※ビジネス進出をサポートし、ビジネスを通じた貧困の解決に寄与することを目指す株式会社Granma。それに取り組むこととなったきっかけは?

「純粋に、発展途上国における低所得者層(40億人)向けのビジネスを考えれば、ダイナミックに世界を変えられる可能性がある!と思った。必要以上に"モノ"が大量生産され、廃棄される世の中で消費と供給のバランスのとれた"正しい欲求"とは何か。それを具現化できる"モノ"を作って流通させればここまで経済発展をとげた日本においても未だに辿り着けていない豊かさや生活スタイルが発見できるのでは?という好奇心がありました。バックパッカーとして20歳で世界を旅するまでは、『彼らは物事を知らない』『貧困解決には援助が最善の策だ』と決めつけていた気がします。でも実際は、彼らが抱える日常の課題解決に必要なシステムやアイデアは、既に世界のどこか、時には現地にもあった。ただ、必要としている人にそれらの解決策がシェアされていないだけだと気が付いたんです」

例えば、約20ドルと安価で購入できる補聴器が発展途上国で開発されているにもかかわらず、それを必要としている数千万人の聴覚障害者にはその情報さえも届いていないという現状がある。

「マーケットニーズとそれに対するソリューションを結びつける橋渡し役が必要。それがあれば、貧困国の人々を生産者、消費者、流通者というビジネスパートナーとして位置づけ、先進国からの一方的な支援ではなく"シェア"の形でビジネスと貧困解決の両立ができるのでは?と思いました」

※BoP層...Base of the pyramidの略で、年間所得が3,000ドル未満の所得者層を指す。

関係性をデザインする

株式会社Granmaの由来は、キューバ革命で知られるフィデル・カストロや革命家チェ・ゲバラらが、1956年のキューバ上陸時に乗船していたヨット「グランマ号」にちなんで。小さなヨットでも、"MoreImaginative Life-全ての人々が自らの意思で未来を切り開ける日常を創造する―"というミッションを共有し、ゆるぎない実行力を持って未来を創り出す会社であることを目指している。「"ワクワク感"は、人と人がつながり、新たな可能性に巡り合った時に生まれるもの。想像力を持った瞬間に開花するものだと思う。発展途上国に必要な商品やサービスが届いている状態は気持ちが良いし、ルート開拓のスタッフや現地の販売店の方々が自信をつけていくのを見るのも嬉しい。もっと入り込んでモノの種類を増やし、500兆円規模のビジネスが回り出す。そこに関わる人は想像力が豊かで、僕たちが大きな影響を与えたと言われる。そんなハブになることを(僕たちは)目指しているんです」と本村氏は語る。

日本企業や現地の法人・個人をはじめ様々なステークホルダーを巻き込んで、蚊帳や生理用品というプロダクトのBoPビジネスを展開する中で取り組むのは単なる生産販売の仕組み作りではなく、"関係性をデザインする"ことにある。

既存のルールの先にある想像力

「枠組や制約の中で行動することが苦手で起業したのですが、Granmaをあえて株式会社にしたのは、事業として持続させたかったか らです。NPOは資金が集まりにくいですし、投資してもらう以上は、事業を通じて還元していきたい。できるだけ対等な関係でいたいと思ったのです」

本村氏が普段から意識していることは、"アポ無しでも誰よりも先に動くこと"、そして"中途半端にせず、必ず着地させること"、さらに"カッコイイ大人(志を持つ人)に出会い感性(嗅覚)を磨き、人とつながること"だと言う。

「新たな一手を打つには、イノベーティブな発想というか、"ルールを守ることをやめる"ことから始めても良いのではないかと思います。きっちりやることで、反対に想像力が狭まっているというか。例えば、うんと早朝に出勤することで、そこでしか見えない風景や気付きがあると思うんです。ちょっとしたことで、どんなことが変わるのか。それが、未発見の想像力との出合いなのかなと」

自身の可能性を制限せずに、常に真っすぐに、直感を信じて走り続ける。本村氏の想いと行動力は、国という枠を越えたグローバルな社会の中でこそより輝き、パワーを発揮するのかもしれない。


蚊が媒介するマラリアやデングー熱がフィリピンの人々の健康を脅かしている。日本の住友化学株式会社が持つ蚊帳の生産技術と、Granmaが開拓する流通・販路ルートを活かし、現地での蚊帳の最終製品化を実現させ、現地の雇用創出にも貢献するプロジェクトを進行中。
「日本企業と挑戦しているBoPビジネスでは、日本の高い技術力を現地の生活様式、生活水準に合わせてリバイスし、市場に合ったサプライの方法を考えていきます。例えば蚊帳では、5年間殺虫剤効果を継続させる技術はそのままに、20%~30%程価格を下げて販売する必要上、現地の縫製業者と共に需要に合わせた製品群を開発したり、高さや幅などのサイズを変更させるなど、徹底的に現地のニーズに合わせる努力をします。BoP市場に専門特化したメーカーとして、総合商社等では採算性が低い作業でもパートナーの協力を得ながら率先してやっていきます。こういった行為こそ、日本企業とBoP市場を結びつける媒介者になれている所以だと思っています」と本村氏。

生理用ナプキンの普及率が32%と低いフィリピンに小型ナプキン製造機を導入し、生活者にプロダクトを届けるプロジェクト。インドの製造機発明者の支援を得ながら、低価格で環境負荷の低いナプキンを地産地消型の流通モデルを軸に展開しようとしている。


3*3 LABO

環境プロダクトの「ものづくり」から「ことづくり」へという視点で、3Rの商品・サービスに関するあらゆる課題をテーマに、様々な立場の人が情報交流を行う研究会「3*3ラボ」。エコッツェリア協会が事務局となっている。スタッフメンバーでもある本村氏は、「何か新しいことを始めたい時、僕達は最初に"場"をつくります。世界のいろいろな人とつながり、ナレッジを共有し、研究する。3*3ラボにはより多くの海外の人を招いて、世界と、アジアとしっかりつながる場にもっとしていきたい」と語る。

本村 拓人(もとむら たくお)
株式会社Granma

1984年生まれ。高校卒業後、18歳で派遣会社を起業。20歳の時、アメリカの大学で社会学に興味を持ち、バックパッカーとして世界を旅する。2009年、株式会社Granma設立。

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