レポート

日本の活力の源となるまちへ

和泉洋人(内閣官房地域活性化統合事務局長)

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和泉洋人(いずみ・ひろと)

内閣官房地域活性化統合事務局長。前国土交通省住宅局長。慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別招聘教授、同大学理工学部特別研究教授、政策研究大学院大学客員教授を兼任。専門は住宅・建築・都市政策。1976年東京大学工学部都市工学科卒業、同年旧建設省入省。博士(工学)。著書に『容積率緩和型都市計画論』など。

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未来を見据えて地域活性化のグランドデザインを描く内閣官房幹部の和泉洋人局長。その思いや戦略、大丸有地区に寄せる期待とは――。

和泉洋人

1. 「新成長戦略」がまちづくりを変える

今やしっかりとした都市戦略がなければ、東京や大阪といった大都市であっても競争力を失ってしまう時代です。今般政府が発表した新成長戦略を「都市」「国際競争力」「環境」のキーワードでひもとくと、適合する施策は次の3つです。第1は「大都市圏の成長戦略の策定」です。都市再生基本方針において定性的な記述にとどまっていた「コンパクトシティ」や「新しい都市機能の導入」を具体化することを目論んでいます。

第2は「総合特区」の導入です。規制緩和、権限委譲、税財政上の支援といったことを総合的な政策パッケージとして提供し、特定エリアの活性化を後押しします。これまであった「構造改革特区」をさらに発展させるものです。国が想定する特区の形は2つあります。一つは「国際的戦略特区」です。これは日本に数ヵ所、国際レベルで競争優位を持ちうる限定的な地域を作る狙いがあります。もう一つは「地域活性化総合特区」です。地域の特長、個性、資源、人材を活用して、特色ある産業の育成や地域の課題の解決に向けて、活性化を図ります。交通やエネルギー利用の工夫で低炭素化を実現する「環境未来都市」構想が各地で唱えられていますが、これも特区の取り組みと結びつくでしょう。低炭素化だけではなく、そこで取り組まれる環境技術を産業化し、輸出することで競争力をつけ、成長につなげる、という発想とも結びつきます。

第3は「環境未来都市」構想による「新3K(環境、健康、交流)」分野への集中投資です。これらの3分野は相互に関連付けることが可能です。建物を例に取ると、断熱性を高めれば、突然の温度の変化で「ヒートショック」と呼ばれる高齢者の方の健康事故を減らすことができるでしょう。都市レベルでは歩いて楽しいまちづくりを進めることで市民の健康を向上させる、観光客の増加、そして環境負荷の少ないまちを実現することもできるはずです。

新成長戦略には、昨年末に発表された「基本方針」があります。これは今の菅直人総理大臣と仙石由人官房長官が、国家戦略担当大臣であったときに策定したものです。そこでは「環境・エネルギー」「健康(医療・介護)」「観光・地域活性化」「アジア」「雇用・人材」の6つが、日本の成長分野として国が支援する方向が打ち出されました。どれも都市戦略に密接に関わるものです。

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「環境モデル都市」千代田区

新しい政策は、これまでの政府の取り組みの延長にあります。2008年に「環境モデル都市」として、日本で13の自治体が選ばれました。これは低炭素なまちづくりへの取り組みを行う自治体を支援するもので、大丸有のある東京都千代田区も含まれています。国土交通省が昨年末に打ち出した「成長戦略」では、住宅・都市分野で「国際都市間競争に打ち勝つ」ことを目標に掲げています。日本の代表的なまちである大丸有地区は、こうした競争で優位性を持つべきまちでしょう。 これまでの政策が、政府の新成長戦略と結びつきながら具体化するために、日本のまちの姿は大きく変わるでしょう。これからは各地域の人々が、国の応援を利用しながら、まちづくりを推進することが容易に、まちづくりに頑張る努力が報われやすくなるのです。

大丸有地区ではこれまでも変革が進んでいますが、国や自治体と協力することで、それが一段と促進されるでしょう。大丸有のまちづくりに関わる皆さんは、ぜひこの状況を活用していただきたいと思います。

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