和泉洋人(いずみ・ひろと)
内閣官房地域活性化統合事務局長。前国土交通省住宅局長。慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別招聘教授、同大学理工学部特別研究教授、政策研究大学院大学客員教授を兼任。専門は住宅・建築・都市政策。1976年東京大学工学部都市工学科卒業、同年旧建設省入省。博士(工学)。著書に『容積率緩和型都市計画論』など。
3. 繁栄の源であり、つながりを生むまちへ
東京の強みの中で注目しているのは、発達した公共交通です。電車・地下鉄網が張り巡らされ、しかも電子マネーが連動して利便性が非常に高いのです。郊外から中心を通ってまた郊外に抜ける路線が10以上もある都市は世界でも他に類例がありません。そして大丸有は東京駅に隣接しており、いわば「日本の玄関口」に位置した地の利があります。現に地方の物産アンテナショップや観光案内所、自治体事務所や大学の東京オフィスが、東京駅周辺に集中しているのも、このためでしょう。
この利点を活かせば、大丸有地区は地方や他都市と「つながり」を生むまちにすることも可能なはずです。地方から得られた情報を東京、首都圏、日本全体そして世界に発信することも可能でしょう。またこの地区で働く人材を地方と結びつけることで、地方の活性化に役立てることも可能です。
青森県や北海道の再生可能エネルギーを直接調達する生グリーン電力の取り組みを大丸有地区は行っています。これはエネルギーを介した都市と地方の連携の新しい試みで、とても意義深いものです。この関係だけではなく、地方の環境産業育成や雇用創出へつなげるために、食文化や観光のPRを展開する取り組みを広げてはどうでしょうか。大丸有地区は、その起点となるのにふさわしい場所でしょう。

サステナブル建築賞を受賞した新丸ビル
2050年の日本は、多様な価値観を認め合い、それぞれの人が幸せを追求できる社会であってほしいと思います。それを支える社会のインフラづくりには、新しい発想も求められます。都市機能を小さな場所に集約させた「コンパクトシティ」というコンセプトがまちづくりで注目されています。活力を生み出しながら環境面でも寄与するため、日本の都市はコンパクトで効率的な形態に進化することに向けて、着実に歩みを進めなければなりません。エネルギー使用の抑制が、国の大きな課題となっているためです。そのためには、まちにかかわるさまざまな人々が自らまちづくりに参加し、活動を担い、また制約も受け入れることが必要になります。都市における「新しい公共」という観点では、韓国や英国等でみられるような、まちづくりに関わるサービスがワンストップで受けられるプラットフォームも必要でしょう。
「CASBEE(建築物総合環境性能評価システム)」という指標で、まちづくり向けのものができるなど、環境に配慮した評価ツールも整備されるようになりました。「環境モデル都市」も具体化が進んでいます。こうした動きを使いながら、日本のまちが、環境都市として内容を整備していかなければなりません。
同時に、まちの姿が多様となっても、日本経済を牽引して、世界の中で注目されるまちは必要です。大丸有はそうした成長と繁栄の拠点になるべきですし、なる力のあるまちです。2050年に向けて、ぜひ成長していただきたいと思います。大丸有の未来に、私は期待しています。





















