木村俊昭(きむら・としあき)
1960年生まれ。84年小樽市入庁後、全国初の歴史的建造物のライトアップや「ガラスの街・小樽」のブランド化などの実績により、2006年より内閣官房・内閣府へ出向、地域活性化に関する調査・研究、政策の立案・推進などを担当。2009年より農林水産省大臣官房企画官として農商工連携、地域と大学との連携などを担当。地域活性化伝道師(国)、北陸先端科学技術大学院大学・東京農業大学ほか非常勤講師。地域活性学会理事(広報交流委員長)。
2. 全体最適を実現する事業構想力ある"人財"育成で連携を
私のところには、さまざまな地域から多くの経済団体や企業の人々が相談に来られますが、全般的な事業構想力が不足している印象があります。企業に限らず行政や商工会議所、農協、漁協、地域金融機関、小中高校の教員などを含め、全体を描くデザイン力のある人財が少ない。その企画提案が果たして、まち全体に有効に働いていくのか、どう広がりが出てくるのかを考える。つまり部分最適ではなく全体最適を実現させていく力が必要なわけです。「この製品をこう活用すればいい」というアイデアだけでは、その企業、あるいは産業はいいのでしょうが、それ以上は広がっていきませんね。肝心なのは、一昨年より昨年、昨年より今年と、一人当たりの県民所得、市民所得が上がったかどうか、という視点です。一部の地域や産業に資源を投入したにもかかわらず、まち全体の所得は一向に上がらないのでは、その取り組みは成功とは言えないでしょう。
実は、行政も商工会も、たぶん地域金融機関もそうだと思いますが、その職員は外部と交わらなくても、ある程度は仕事がやっていけるわけです。しかし、本当に地域のみなさんが幸せになるように努力するためには、その分野のさまざまな専門家と出会う機会や、外部から自分の地域を見る視点が不可欠です。
たとえば栃木県小山市の「道の駅による地域活性化」では、百貨店経営のノウハウをもつ人財を市の職員として招き、1年をかけて地元の人々と一緒に設計・準備し、オープン後2年にわたり店長として、そのノウハウを周囲に伝え、教え込んでもらいました。優れた才能と地域スタッフが一緒に汗をかくことでスキルが向上し、高い売上を達成することができたのです。
地域にあっては特に意識的に専門家の話を聞く、相談できる機会をつくり、視野を広げてくれる人とのネットワークが大切で、都市とりわけ東京との連携が重要です。大丸有の丸の内朝大学は、出勤前の時間を利用して学びと人との出会いを提供していますが、すばらしい取り組みだと思います。特に農業クラスや環境・ソーシャルプロデューサークラス、地域プロデューサークラスは地域との関わりが深い分野ですから、地域活性化のための人財の育成と供給という面からも期待しています。
また「地域大学アドバンス」や丸の内地球環境倶楽部WG(ワーキンググループ)等、持続可能な環境共生都市の実現に向けて、大丸有に集う企業等の環境・CSR 活動を支援、連携を推進する研究会が開催されていますね。ここに集まるみなさんの地域の持続可能性に向けた知恵との連携も、地域活性化のために大いに役立つだろうと考えています。東京などの大都市がサステナブルであるためには、食材や水、空気や人財を供給する地域も、またサステナブルでなければなりません。その意味で、大丸有には持続可能な地域社会の実現のために、東京や日本をリードするチャレンジングな取り組みを率先して行っていただければと、大いに期待しています。





















