レポート

生命誌から地球環境問題を問い直す ―生命を基盤にしたまちと時代を築く

中村桂子(JT生命誌研究館館長)
by ジャーナリスト 田井中麻都佳

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nakamura

中村桂子(なかむら・けいこ)

1936年生まれ。東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻博士課程修了。理学博士。国立予防衛生研究所を経て、三菱化学生命科学研究所入所。早稲田大学人間科学部教授、JT生命誌研究館副館長、東京大学先端科学技術研究センター客員教授、大阪大学連携大学院教授などを経て、現職。最近の著書に、『生命誌の世界』(日本放送出版協会)、『「生きもの」感覚で生きる』(講談社)、『ゲノムが語る生命-新しい知の創出』(集英社新書)、『「子ども力」を信じて、伸ばす』(三笠書房)など、著書多数。

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2. 想像力と内発的な行動が創造性を生む
――自然の中に生きる人間として

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今、私たちに求められているのは、「構想力」だと思います。CO2だけを見てどうこうしようと考えるのではなく、全体を見渡し、構想力をもって臨まなければ環境問題は解決できません。では、構想力とは何か――辞書を引くと、物事を体系的に考え、まとめあげる能力と書かれていますが、哲学の世界では、構想力は想像力とも訳され、同じ意味をもちます。構想力というと難しいことのように感じますが、想像力をもってイメージすることなら誰にでもできますし、想像力は科学の世界でも不可欠な要素の一つです。ノーベル化学賞を受賞された野依良治先生も、「科学は、想像力がなければできない」とおっしゃっているように、想像力は、人間の知をつくり上げ、文化を創出する源泉といえます。そのことは、子どもたちが想像力豊かであることからもおわかりになるでしょう。残念ながら大人はその能力を徐々になくしてしまうわけですが......。

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想像力に必要なのが「内発」です。私たち生き物にとって、環境は生きていくことそのものとつながっているものです。ここで息を吸えば、空気中の成分が体内に入り、自分の一部になる。そのことにより生き続けることができる。つまり、環境問題は私たち生き物の問題そのものなのであって、環境を大事にするというのは内部から自然に生じる気持ち、内発性に支えられて当然なのです。逆に言えば、想像力をもって内発的に考えない限り、環境問題の解決などあり得ない。イマジネーションを豊かにし、内発的に物事を成すことによって、初めてクリエイティビティ=創造性が生まれるのだと思います。

そして、私たちが内発的に考えるための拠り所となるのは、「自然」にほかなりません。なぜなら、人間が誕生したとき、地球上には自然しかなかったのですから。ではここで、その自然との関係、つまり私たちの自然観が、どのように変容してきたのか、科学技術の系譜を辿るために、西洋の歴史をざっと振り返ってみます。

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