レポート

「環境未来都市」実現で環境・社会・経済の新しい価値創造を

―日本の視点と技術が新しい都市づくりを生む
和泉洋人 内閣官房 地域活性化統合事務局長
by ジャーナリスト 田井中麻都佳

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和泉洋人

和泉洋人(いずみ・ひろと)

内閣官房都市再生本部事務局次長、国土交通省大臣官房審議官、国土交通省住宅局長等を経て、現在、内閣官房地域活性化統合事務局長。工学博士、慶應義塾大学理工学部特任教授および政策研究大学院大学客員教授兼任。専門分野は、住宅・建築・都市政策。1976年、旧建設省入省以来、住宅・建築・都市分野にかかる29件の法律改正・新法の制定を担当。著書に、『容積率緩和型都市計画論』(信山社)、『サスティナブル建築と政策デザイン』(共著慶應義塾大学出版会)、『サスティナブル生命建築』(共著、共立出版株式会社)などがある。

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新成長戦略の国家戦略プロジェクトとして、地域活性化の柱として注目されているのが、「総合特区制度」の創設や、「都市再生」、「環境未来都市構想」などである。選択と集中を進め、従来プロジェクトよりも法改正や規制緩和を大胆に盛り込み、まちづくりの抜本的な改革を目指すというこれらの試みについて、その概要を、内閣官房地域活性化統合事務局の和泉洋人氏をお招きして、ご講演いただいた。また、その内容を受け、エコッツェリア協会の伊藤滋理事長とともに、今後の展望について語り合っていただいた。
* この記事は、エコッツェリア協会会員総会において、ゲストとしてお招きした和泉氏による講演を要約したものです(2011年5月10日開催)

1. 地域活性化統合事務局の役割―新成長戦略が描く未来の都市を実現する

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まず、現在、私が所属する地域活性化統合事務局についてご説明しましょう。「都市再生」「構造改革特区」「地域再生」「中心市街地活性化」など、小泉政権の経済構造改革の一環として始まった取り組みを、とりまとめて統合しようと、2007年(平成19年)にできた組織です。その役割は、地域活性化における(1)総合コンサルティング、(2)政策のボトルネックの解消、(3)政策のすき間の解消であり、すなわち、地域活性化支援のコーディネーター役といえます。その実現のため、2009年4月からは全国8つの地域ブロックごとに組織を再編し、それぞれ担当を決め、事務局で所有しているツールの共有化や各組織との連携を強化するなど、地域の場に立った改革を目指しています。ちなみに、事務局の職員には、中央官庁からは防衛省と外務省以外はすべて、公共団体からは北海道から沖縄まで約40数名、民間からは10名強と、現在、130名が加わっています。

その他の取り組みとしては、地域活性に関連して旧政権、新政権ともに、補正予算でさまざま名前の交付金が設けられていますが、それらを執行するほか、「地域自主戦略交付金」、すなわち都道府県の補助金の一括交付金化、その配分などを手がけています。

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新成長戦略の概要(クリックでPDFファイルが開きます)

なかでも、現在の重要な任務となっているのが、2010年6月18日に閣議決定された「新成長戦略」の実現です。ご存じのように、新成長戦略には7本の柱として「グリーン・イノベーション」や「ライフ・イノベーション」などがあり、さらに21の国家戦略プロジェクトが策定されています。その一つに「総合特区制度」の創設があり、現在、法案の審議が行われているところです。

また都市再生も大きなテーマの一つ。これまでも、都市再生特別措置法に基づき、都市再生基本方針を策定し取り組んでまいりましたが、新成長戦略では、とくに大都市の再生をテーマに掲げています。これは、「国としての国際的、広域的視点を踏まえた都市戦略がなければ、少子・高齢化もあいまって、東京でさえ活力が失われ、国の成長の足を引っ張ることになりかねない」という危機感から生まれたものです。具体的には、都市再生基本方針の改定に加えて、民間都市開発プロジェクトにかかわる規制緩和・金融措置などの支援を行います。

さらに「環境未来都市」構想の創出。一昨年末に打ち出された基本方針で、「環境・健康・観光に関する集中投資事業を厳選された都市で行い、世界に示すモデルをつくる」という目標が掲げられました。そして現在、環境未来都市構想という名のもとに、日本の21世紀を支えるような技術、仕組み、サービス、まちづくりで世界トップクラスの成功事例を生み出し、国内外への普及展開を図ろうと、環境未来都市の実現を目指しています。

ちなみに、東日本大震災が起こる前は、内閣総理大臣を議長とする「新成長戦略実現会議」の下の、『総合特区制度、「環境未来都市」構想に関する会議』(議長・地域活性化担当大臣)において頻繁に議論が交わされていましたが、いま(2011年5月上旬現在)は大震災を受けて一時休止しています。

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