レポート

“スマートコミュニティ”時代1――生グリーン電力の先へ

山家公雄(エネルギー戦略研究所 所長)
野城智也(東京大学生産技術研究所教授)
by ジャーナリスト 田井中麻都佳

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山家公雄(やまか・きみお)

1956年山形県生まれ。1980年、東京大学経済学部卒業後、日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)入行。電力、物流、食品業界の担当を経て、新規事業部環境対策支援室課長、エネルギー部電力室課長、環境・エネルギー部部長、ロサンゼルス駐在員事務所首席駐在員、調査部審議役などを歴任。国際部や海外勤務の経験を通して、国際的な視点から環境やエネルギーについて注視し続けてきた。特に欧米のエネルギー情勢や環境政策に詳しい。2008年、エネルギー戦略研究所株式会社の所長就任。著書に、『オバマのグリーン・ニューディール』(日本経済新聞出版社)、『ソーラーウォーズ』(エネルギーフォーラム)、『日本型バイオ・エタノール革命』(日本経済新聞出版社)など多数。


野城智也(やしろ・ともなり)

東京大学生産技術研究所教授、所長/「大丸有 環境ビジョン研究会」座長

1957年東京生まれ。東京大学大学院工学系研究科建築科専攻博士課程修了(工学博士)。建設省建築研究所研究員、同住宅局住宅建設課係長、同建築研究所主任研究員、武蔵工業大学建築科助教授、東京大学大学院工学系研究科社会基盤工学助教授、同生産技術研究所助教授等を経て、現在、東京大学生産技術研究所教授、同所長。

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【はじめに】
1990年を基準にすると、現在、大丸有地区の床面積は、再開発による高度利用により増加している。加えて多用途化やIT化に伴うビルスペックの向上により、消費エネルギーも増加し、地区のCO2 排出の総量は、90年比で明らかに増加した。

大丸有地区では、新丸ビルや丸の内パークビル等、新設のビルにおいて、新技術の導入や環境性能の向上を図り、都内の代表的なビルと比較して単位面積当たりのCO2 排出量を大きく抑えるとともに、オンサイトでの再生可能エネルギー(太陽光発電パネル等)の活用によりCO2 削減を進めている。しかしそれでも、政府目標である25%減を達成するには、電力会社による排出係数低減を加味したとしても、さらなる削減努力が必要な状況である。

そこで期待されるのが、次世代エネルギーのインフラの導入だ。その一例が、昨年10月に発表された、新丸ビルへの生グリーン電力の導入。今年4月から、新丸ビルでは全国に先駆けて、再生可能エネルギー100%の「生グリーン電力」に切り替える試みがスタートする。これは、青森県などで風力・水力等により発電された再生可能エネルギーを、出光興産により設立されたPPS(特定規模電力事業者)が、新丸ビルに直接供給するというもの。これにより、新丸ビルから1年間に排出されるCO2 の3分の2に当たる2万tを削減できる見込みだ。

生グリーン電力を皮切りにして、都心型のスマートコミュニティやエネルギーマネジメントを今後どのように進めていくべきか。今回は、次世代送電網「スマートグリッド」をテーマに、について考えてみたい。

1. スマートグリッドとは何か
――低炭素社会に向けたインフラ・基本システム

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野城: 海外のエネルギー事情に精通しておられる山家さんですが、現在はどのようなことを手がけているのでしょうか?

山家: 現在私は、日本風力開発株式会社が一昨年の9月に設立した「エネルギー戦略研究所株式会社」で、所長を務めています。ここでは、「CO2フリー」をキャッチフレーズに、環境技術、環境ビジネス、環境政策などについて幅広く研究・開発を手がけ、アイディアや情報を発信・提供しています。こちらに来る以前は、日本政策投資銀行で、電力、物流、食品業界の担当を経た後、環境対策支援室で環境政策を見てきました。その後に調査部をも経験し、2008年にオバマ大統領が打ち出した政策提言「グリーン・ニューディール」をフォローするとともに、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーについて、調査をしてきた経緯があります。

野城: そういった経歴をおもちの山家さんにぜひお伺いしたいのですが、再生可能エネルギーに関連して、最近、にわかに注目を集めている次世代送電網「スマートグリッド」という言葉。使う人によって意味合いがまちまちで、言葉だけが独り歩きしている気がしますね。山家さんは、スマートグリッドの定義をどのように捉えていらっしゃいますか?

山家: 私自身は、スマートグリッドというのは、「低炭素社会に向けたインフラ・基本システムである」と考えています。低炭素社会実現のためには、省エネは当然のこととして、CO2 フリーの電源の開発を進める必要があり、とくに再生可能エネルギーの活用が不可欠です。また、モビリティに関しては、電気自動車に代表されるように、今後はバッテリーを積んだ移動手段が主体になっていくでしょう。これらのインフラをいかに普及させ、活用していくのか。すなわち低炭素社会実現のために、これまで想定してこなかったような課題を、新しいインフラやシステム、テクノロジーで解決していくための方法論が、スマートグリッドだと考えています。

野城: なるほど、よくわかりました。

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