レポート

まち・都市における『環境教育』のあり方とは ――啓発からアクションへ

小森繁氏 環境省国民生活対策室 室長
by ジャーナリスト 田井中麻都佳

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小森繁

小森繁(こもり・しげる)

1967年東京生まれ。環境省地球環境局地球温暖化対策課国民生活対策室長。
1992年環境庁(入庁)。第1次環境基本計画、環境影響評価法等の策定などを担当。2002~2003年北九州市環境国際協力室長。09年より現職。

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大丸有地区では、環境共生型都市を目指し、ビル単体のグリーン化に加え、地区の面的なハードの整備として、電気シャトルバスやベロタクシー、コミュニティサイクルの導入などグリーンモビリティの推進や、地域冷暖房や保水性舗装道路などインフラ整備を進めている。しかし、環境共生型都市のまちづくりを推進していくためには、ハード整備とあわせて、それを使う地区内のワーカー一人ひとりの環境行動が不可欠だ。
そこで今回は、温暖化防止を目指す国民的プロジェクト「チーム・マイナス6%」を担当している環境省の小森繁氏に、環境問題の啓発から、環境教育、環境アクションの促進まで、人々をいかに自発的な行動を引き出すか、その仕掛けづくりについて話を伺った。

1.クールビズはなぜ成功したのか? ― ライフスタイルをデザインする

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大丸有地区では、環境情報の発信や打ち水プロジェクトなどの各種イベントの企画、丸の内朝大学に代表される学びの場によるコミュニティづくりなど、低炭素社会づくりのためのさまざまな仕掛けづくりに取り組んでいる。感度の高い人がたち集積する街だけあって、その先進的な動きは、他都市からもつねに注目されてきた。
しかしまだ現状では、大丸有で働く大多数の人たちを巻き込むほど大きな環境アクションにまでは至っていない。オフィスワーカーに対して、どう環境問題を啓発し、環境アクションを促していけばいいのか――そのヒントとなるのが「チーム・マイナス6%」の活動である。

小森: ご存知のように、2005年に京都議定書が発効され、2008~2012年までの期間中に、日本では温室効果ガスの合計排出量を1990年に比べて6%削減する必要があります。現状ではCO2 排出量は産業界、一般家庭ともに伸びていて、90年比で4割増とも言われています。つまり、CO2 削減のためには、産業界だけでなく、オフィス等も含めて国民全体で環境アクションに取り組むことが不可欠なのです。そこで、温室効果ガス6%削減を目指して国民一人ひとりができることから取り組もうと、日本政府の主導のもとスタートしたのが、国民的プロジェクト「チーム・マイナス6%」です。

チーム・マイナス6%では、冷暖房時の温度設定や節水、アイドリングストップ、エコ製品の使用、過剰包装防止、節電など、誰もが簡単に取り組める6つの具体的なアクションを掲げており、参加者はこうしたアクションからできるものを選択、申請して実践します。現在、個人会員は300万人を超え、企業などの団体も3万2000を数えるまでになりました。

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これだけ多くの方に賛同いただけたのは、頭ごなしに啓蒙活動や環境教育を行うのではなく、一人ひとりが、自分自身のこととして思い描けるような次代のライフスタイルをデザインし、呈示できたからではないかと思います。なかでも、大ヒットしたプロジェクト、「クールビズ」があります。クールビズでは、オフィスで働く男性に、夏場、ネクタイを外してもらい、服装の軽装化を促しましたが、その目的は冷房の設定温度を28℃にすることにありました。単に「28℃でがんばって働いてください」というだけでなく、取り組みやすく具体的な新しいライフスタイルを呈示できたことが、成功の秘訣といえるでしょう。

夏の服装の軽装化の動きは、以前からありました。半袖の背広や開襟シャツによる「省エネルック」はご記憶にあるかと思いますが、なかなか普及しなかった。また、当時は男性のビジネスファッションに多様性が少なく、時代が早すぎたのでしょう。現代の、人々の価値観の多様化に加え、地球環境問題への関心の高まりが、クールビズの受け入れを容易にしたのだと思います。つまり、思想やキャッチーなネーミング=〈ソフト〉に加え、かっこいいシャツや高機能スーツ=〈ハード〉が揃って、〈アクション〉が生まれたと捉えています。〈ハード〉と〈ソフト〉と〈アクション〉が掛け合わされることで初めて、大きな波が起こっていくのです。

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