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【大丸有】金融機関が取り組む「共創」スペースの行方

大丸有のCSR・CSV(9)

1階アース・ガーデン(三井住友銀行提供)

ソーシャルセクターにおける金融の役割

三井住友銀行が東館にオープンした「ライジング・スクエア」は、2015年7月のオープン当初から、金融機関が取り組むあらたな試みとして注目を集めています。1階は「触れる地球」を備え、イベントスペースとしても利用できる「アース・ガーデン」。2階は、金融を学ぶ施設「金融/知のLANDSCAPE」、3階は最大で約600名を収容することができる「SMBCホール」。この構成からも見て取れるように、ライジング・スクエアは、コミュニケーションと共創のために地域に開かれたスペースとなっていると言えるでしょう。

「金融」といえば、地方創生の文脈においては「産官学金労言」というワードで指摘されるように、ソーシャルセクターの活動にも必須の要素であることが改めて認識されるようになっています。三井住友銀行が、ライジング・スクエアで、金融機関としてどのような考えで、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

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地方、顧客との「共創」のために

地方、顧客との「共創」のために

ラジオ番組の公開収録の様子(三井住友銀行提供)

そもそもライジング・スクエアは、大丸有の再開発における地域への貢献要素として設立されたもの。「周辺の活性化に役立つ活動を起こすことが目的のひとつ」と話すのは、当施設を管理する三井住友銀行管理部部長の松村照明氏です。「利益追求型ではなく、周辺で働く人々、お客さま、ひいては社会全体に貢献することが大事」と話しています。

松村氏1階のアース・ガーデンは、「環境」「グローバル」「ダイバーシティ」をテーマに、触れる地球の展示のほか、島のように緑が配置されています。また、高い天井と音響効果を高めるテラコッタの壁面で、音楽イベントにも活用できます。現在はラジオ番組『J-WAVE SELECTION SMBC EARTH TALK』の公開収録のほか、定期的にロビーコンサートなどが行われているそう。12月にはミラノ万博の成果を受けて、「日本の食、未来の食」展も開催されました。

「環境、グローバル、ダイバーシティをキーワードに、さまざまな企業、団体と一緒に発展していく、そんな場にしたい」と松村氏。例えば、今アース・ガーデンには、アルソックの自立走行型警備ロボット「Reborg-X」、ソフトバンクのコミュニケーションロボット「ペッパー」が設置され、実稼働しています。これは「先進技術国・ロボット大国の日本」をアピールするだけでなく、三井住友銀行が、こうした産業を後押ししていることも周知するのに役立っています。このように銀行業務と連携した企業とイベントや展示を仕掛けたり、新しい価値を「共創」していくのが、これからのライジング・スクエアの目的のひとつとなっていくのでしょう。

アース・ガーデンを巡回中の警備ロボット

また、今年度は「地方自治体とのつながりも深めたい」。地方創生ムーブメントの中で、地方自治体や関連諸団体とのリレーションの重要性が改めて認識されるようになってきているそうです。「例えば、地方からグローバル展開する際に、地方のリソースだけでは足りないところを、我々のようなメガバンクが、ノウハウを提供してお手伝いすることもひとつの形としてあるのではないか」。すでに自治体と連携したイベントの話が出てきており「ぜひ実現したい」と松村氏は話しています。それも「単に地方の特産品を並べて物販したり、展示をしたりして、見てよかったね、で終わるようなものではなく、それ以上のイベントにしたい。人と人が繋がるきっかけ作りにすることができれば」と、大きな構想を描いていることを伺わせます。

社会のための「金融教育」

8本のモノリスがさまざまな映像コンテンツを映し出す(三井住友銀行提供)

2階の「金融/知のLANDSCAPE」もユニークな施設です。これは「金融教育」にクローズアップした画像コンテンツによるミュージアムで、「金融の叡智」を詰め込んだ8本の"モノリス"が、さまざまな知識を映像、画像で映しだしていくというもの。松村氏はこの金融/知のLANDSCAPEについてこう話します。

「日本では伝統的に子供たちに対して"お金は尊いもの"という教え方に偏っているようところがあるように思う。『貯める』ことの大切さは十分に意識づけられているが、将来に向けて『使う』ことの重要性を教える『金融教育』が欠けてきたように思う。徒に経済を疲弊させるようなマネーゲームとしての金融ではなく、自分の成長、社会をよくするための『手段』としての金融というものを、もう一度考えるべきではないだろうか」

モノリス=柱の表面には、パネルがたゆたっており、タッチすると柱面いっぱいにそのコンテンツが展開します。関連項目も紐付いており、たどっていくと「金融の全体像が見えてくる」。また、各界の著名人――金融とは関係のなさそうな、ナチュラリストだとか文化人だとかも含め――のインタビュー映像もあります。そんな"部外者"が"お金"をどう考えているのか、どう使うべきであると考えているかも知ることができるようになっており、金融に興味のない人でも、「お金」を改めて考えられるような仕掛けがなされているのが非常にユニークです。

「小中学生をターゲットにしたコンテンツも盛り込んでおり、CSR室主催の子供向けイベントなども開催している」そうですが、内容の密度とレベルは、大人でも見て楽しめるもの。「大学生がレポートを書くために来ることもある」そうで、内容の質は折り紙付きと言ってもいいでしょう。

未来の金融のあり方を探る

ライジング・スクエアは、大丸有周辺の企業・団体、銀行顧客企業、地方自治体などさまざまなステークホルダーとのコミュニケーションと共創の場として、今後さらなる活動が期待されています。「周りのオフィスで働いている方々が、ちょっと寄ってみようかな、とふらりと立ち寄っていただける、そんな場になれば」と松村氏。

現在はさまざまな企画を考えている最中だそうですが、新生3×3Lab Futureのご近所でもあることですし、大丸有内部でさらに連携した活動が展開されることに期待したいものです。

3階は最大で約600名収容可能な「SMBCホール」(三井住友銀行提供)


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