トピックス大丸有

【大丸有】酒飲みが楽しくおいしく地方創生!?

日本酒が取り持つ新しい関係性。セキュリテ「日本酒の集い」レポート

自由な、しかし心温まる交流

これほどまでにフリーダムでファンキーで、そしてフレンドリーなイベントはあまりないのではないのではないでしょうか。ミュージックセキュリティーズ主催の「セキュリテ 日本酒の集い」は、始まるや否や、東北の蔵元が提供する日本酒を参加者が思い思いに飲み続けるという、まことにフリーダムなイベントでありました。しかし、ただの飲んだくれイベントなぞではもちろんありません。マイクロファンドで投資した一般投資家たちと、投資先の蔵元の交流イベント。陽気な酒を飲み、気ままに蔵元の人々と言葉を交わす。そこには良く知ったもの同士の心安さと、励まし、それに応えたいという心の交流があったのでした。

続きを読む
東北の復興を応援するファンド

東北の復興を応援するファンド

「日本酒の集い」は、ミュージックセキュリティーズが手掛けるマイクロファンドの投資先である東北の蔵元が集まり、その新作や自慢の酒を出資した投資家たちに振る舞い、楽しんでもらおうという交流イベントです。今回集まったのは、南部美人(岩手県二戸市)、菱屋酒造(岩手県宮古市)、喜久盛酒造(岩手県北上市)、酔仙酒造(岩手県陸前高田市)、米鶴酒造(山形県高畠町)、寒梅酒造(宮城県大崎市)の6つ。2011年3月11日の東日本大震災で始まった「被災地応援ファンド」の投資を受けている蔵元がほとんどですが、一般のマイクロファンドを利用しているものもあります。

会場では蔵元がテーブルを陣取って来場者を待ち受けており、開会とともにさっそく試飲が始まります。司会を務めたミュージックセキュリティーズの大道氏は「何はともあれ、飲みましょう」と開会を宣言。しかし「プレゼンもありますから、飲みすぎないように」とクギを刺すことも忘れません。

総勢150名を超す来場者が、砂糖に群がるアリのように一斉に酒を飲みだすさまは、まさに圧巻のフリーダムさ。ある意味イベントとしての体をなしていないとも言えますが、この自由さがこの交流イベントの特徴なのかもしれません。用意されたおつまみも東北の被災地応援ファンドに由来するもので、三陸でしか買えない及善蒲鉾店のかまぼこ、気仙沼の斉吉商店の「金のさんま」などの名品ぞろいです。肴に舌鼓を打ちつつ、食べては飲み、飲んでは食べるを繰り返すのでした。

作り手、飲み手の思いが交錯する

6つの蔵元を飲んだであろう頃合いを見計らって、各蔵元さんを招いてのトークステージも行われました。ファンドを受けて何をしたか、どのような変化があったのか、今後出資者に期待することなどを話してもらいます。ほとんどの蔵元が震災で被害を受けていることから、ファンドの利用先は蔵の移転費用や建て直し、設備の購入などに充てられることが多いようでした。印象的だったのは、いずれも復興前よりも生産量を増加させる取り組みをしたり、設備を拡充して三季または四季醸造にする、新しい原料米を購入するなど、単なる復興ではなく、さらに先を目指す動きがほとんどであったこと。また、出資者というもっとも身近な消費者との交流に、強い意義を見出していることです。

例えば米鶴酒造の梅津陽一郎社長は「スポンサーと会うのは、普通のお客さんと会うのとはちょっと違って緊張する」が、「米作りから酒造りをしていることを知ってもらい、米鶴っていいね!と思ってもらえるようになりたい」と誠実に取り組んでいく姿勢であることを話しました。南部美人の冨着いちこ氏も「ファンドを通じて、今まで見えなかったつながりが見えるようになった。蔵元としても個人としても、もっとつながりを深められたらうれしい」と話しています。

一方で、震災で生産が一時停止したことにより、都内のみならず全国各地の酒屋、居酒屋との付き合いが途絶え、その後再びお付き合いが始まらないといった事例も多いというエピソードもあり、「見かけたらたまには1本買ってほしいし、ないときには●●はありませんか?と聞いてみてほしい」と酔仙酒造の新沼厚生常務取締役も呼び掛けています。応援も集まり、盛り上がってはいるものの、本当の復興にはまだまだ課題も多いようです。

上段左から南部美人・冨着いちこさん、菱屋酒造・斉藤鉄郎さん、喜久盛酒造・藤村卓也さん、
下段左から酔仙酒造・新沼厚生さん、米鶴酒造・梅津陽一郎さん、寒梅酒造・岩崎隆聡さん

地方と都市をつなぐ、そのカタチ

抽選会でレアアイテムをゲットしてご機嫌な愛すべき酔っ払いたち

プレゼンテーションの後は、各蔵元が選りすぐりのアイテムをプレゼントする「お楽しみ抽選会」が行われました。蔵元が使う前掛けやオリジナルTシャツ、プレゼント用の非売品のグラスなど、日本酒ファンなら垂涎のアイテムが、主催者の予想を超えて多く出品され、参加者は抽選の結果に一喜一憂したのでした。その後は、三々五々、各テーブルで残った日本酒を飲み続けましたが、蔵元も投資家も、最後まで楽しげに語り合っていた姿が印象的でした。

主催のミュージックセキュリティーズの大道氏は、とてもフレンドリーな催しになったことに「投資家と事業者の間に壁がないのが、ミュージックセキュリティーズのマイクロファンドの特徴かも」とし、「投資のリターンも大事だが、こういったお付き合いをもっと増やしていきたい」と話しています。農業ファンド、漁業ファンドなどさまざまな業種に沿ったファンドがあることから、それぞれの"旬"の時期に交流イベントを開催することも視野に入れているとか。また、こうした交流を通して、出資者が投資リピーターとなり、さらに応援の輪が広がることにも期待しているそうです。投資家と出資先の事業者との間に非常に良い関係が築かれ、社会課題の解決、地方創生へとつながっている好例のひとつと言えるでしょう。ふるさと納税やクラウドファンディングなど、お金を動かす地方創生の例はいろいろありますが、こうしたリアルな交流は今後を考えるヒントになりそうです。


関連リンク

おすすめ情報

トピックス

注目のワード

人気記事MORE

  1. 1丸の内プラチナ大学・逆参勤交代コース特別シンポジウム 「能登半島の今と未来」
  2. 2大丸有でつながる・ネイチャープログラム大丸有シゼンノコパン 春
  3. 33×3Lab Future個人会員~2024年度(継続会員)募集のお知らせ~
  4. 4【山階鳥類研究所講演会】絶滅危惧種アホウドリの未来を守る!生物多様性保全の現場から緊急レポート!
  5. 5【大丸有シゼンノコパン】春のミツバチを「観る」~どこのどの花、キミは好きなの?~【まちの四季/朝活】
  6. 6丸の内ハニープロジェクト
  7. 7【レポート】「日本一長い地下通路」を巡る、大手町エリア地下散歩
  8. 8【レポート】地域住民と「よそ者」が共に取り組む持続可能な里海づくりとは
  9. 9【大丸有シゼンノコパン】飛び集う虫や鳥を「視る」~飛んでくるにはワケがある~【まちの生きもの/親子向け】
  10. 10【丸の内プラチナ大学】2023年度開講のご案内~第8期生募集中!~

過去のアーカイブ(2013年5月以前)