イベントCSV経営サロン・レポート

【レポート】銀座NAGANOでおやきを作る会員限定

CSV経営サロン フィールドワーク 11月5日

「作って」「食べて」アイデア発散

11月5日、CSV経営サロンの第二回フィールドワークが銀座NAGANOで開催されました。CSV経営サロンは、エコッツェリア協会会員企業向けのワークショップで、昨年までのCSRイノベーションワーキンググループと環境経営サロンを発展的に統合し、スタートしたプロジェクト。環境、CSR、CSVといったキーワードのもとに企業のシーズやニーズを集約し、エコッツェリア協会をベースに、大丸有から新しいビジネスを共創するのが狙いです。

キープレイヤーによる講演とワークショップがセットになった座学と、そうした活動に取り組む企業・団体のアクションを実地で学ぶフィールドワークの2本立てとなっており、フィールドワークとしては、第1回目イトーキの「SYNQA」に続く2回目。銀座NAGANOで展開している、CSVビジネス、地方創生アクションを、実際に体験しながら考察しました。

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キッチンのある「シェア」スペース

キッチンのある「シェア」スペース

銀座NAGANOの2階。右奥に見えるのがキッチンスペース

体験の場として、今回は銀座NAGANOで定期的に開催されている"朝活"「しあわせ信州朝クラス」を題材にしました。同クラスは、参加者が朝7時20分に銀座NAGANOに集合し、朝食を「作って」「食べる」という活動です。

銀座NAGANOは、単なる"アンテナショップ"ではなく、「しあわせをシェアする」がコンセプトとなっており、1階がスーベニアショップ、2階が大きなキッチン付のイベントスペースで、さまざまなイベントや催しを通して、東京と長野県をつなごうとしています。しあわせ信州朝クラスは、このキッチンを活用し、美容、健康などさまざまな観点から長野県の食にアプローチしようとするもので、常に大人気の講座になっています。

この日のFWの題材は、信州の代名詞のひとつ「おやき」。饅頭のような外見ですが、あんこのほか、甘く炒め煮にしたナス味噌や野沢菜などが入っている長野県の郷土料理のひとつです。前半は、前回キリンのプレゼンテーションにも登場した「遠野パドロンプロジェクト」に参画する丸の内朝大学の「東北復興プロデューサークラス」第一期生の和良地克茂氏、同クラスからスピンアウトし、しあわせ信州朝クラスの活動に参画している「一般社団法人コミュニティキッチンイニシアティブ」の岩渕美華氏のプレゼンテーションを行い、後半はおやきを作って食べるという体験を行いました。

復興から振興へ――現状と課題

復興プロデューサーカリキュラムのサイト

和良地氏のプレゼンテーションでは、2013年にスタートした「東北農業復興プロデューサーカリキュラム」のスタートから、遠野パドロンプロジェクトの立ち上げに至るまでの足跡、そしてパドロンにとどまらず、もう一つの特産品「ホップ」をも使った、新しい町おこしの活動への展望が語られました。

和良地氏

この活動は、被災地側(東北)では農業経営者を、東京側ではビジネススキルを持ち、地域支援に取り組みたい人材をネットワーキング、「交わることのなかった地方と東京のコミュニティが食を通して交わるプラットフォーム」を構築し、当初からプロジェクトアウトすることを目的にスタートしたものです。
カリキュラムの中で、生産者による「課題の明確化」を通して「ビジネスパーソンが関与できるとっかかりを作り」、両者による「フィールドワーク」を実施。その後ビジネススキルを持ったビジネスパーソンを交えて、あくまで生産者が主役となって「アクションプラン」を構築する。その中で「まずイベント化」と目標を掲げ、「じぇじぇフェスタ」(2013年10月代々木)に模擬店を出したという流れが解説されました。

そのプロセスでは、みな本業を持つビジネスパーソンであることから「時間」「費用の捻出」がハードルになったそうです。そのほかにも「リーダーとファシリテーターの使い分け」「年代差」「各メンバーの得意不得意、役割分担の公平性」など、さまざまな課題がありました。

"巻き込んで"広がる、続く活動

2015年の遠野のアクションの紹介(キリンのサイトから抜粋)

しかし、「大切なのはどんなに小さくてもプロジェクトアウトしていくこと」と和良地氏。すべての人が100%納得して始まるプロジェクトはありえません。まず小さくてもアクションを起こすことで、物語は転がり始めるのです。また、イベントの手ごたえから、パドロンを遠野の新たな名物にする「遠野パドロンプロジェクト」がスタートしましたが、認知拡大イベントを開催するに当たっては、「イベントごとにどういった人を巻き込むかが重要」など、プロジェクトの立ち上げから展開までの要所要所におけるポイントの解説もありました。

2012年からの活動の中で、遠野市、東京でさまざまなプレーヤーのネットワークが構築され、今後はさらにビールの原料になるホップを使った新しい町おこしを起こしていきたい考えですが、和良地氏は「これだけ大きくなると専任者が必要になる。すると今度は財源の確保も必要」と今後の課題を提示。そして「我こそは、という人がいたら、ぜひ一緒にやりましょう。楽しいですよ」と会場に呼びかけて締めくくりました。

「コミュニティキッチン」という考え方

コミュニティキッチンイニシアティブの活動の様子(コミュニティキッチンイニシアティブのサイトより抜粋)

岩渕氏続くプレゼンで岩渕氏は、コミュニティキッチンイニシアティブが復興プロデューサーカリキュラムから「"みんなで作ってみんなで食べる"というコミュニティ消費を促進するために、東北復興のためにスタートした」と発足のいきさつを説明。「ママ友コミュニティ、シニアコミュニティなど、多くのコミュニティがある」のですが、そこをビジネス化するために「コミュニティ消費を目的にコミュニティを醸成する」必要があるのだと説明します。東北復興では、コミュニティキッチンに生産者を招いて説明してもらう「生産者ライブ」などのアクションを行ってきましたが、その後、都市部で朝食を作って食べる「朝ごはんDish」、さらについでにお弁当も作ってしまおうという「お弁当Dish」などの活動も展開しています。

こうした活動が企業の目に留まり、企業とコラボレーションした食体験プログラムやイベントも展開。銀座NAGANOでの「しあわせ信州朝クラス」も、こうした流れで行われているものだそうです。

今後はマンションの共有スペースをコミュニティキッチン化するオファーがあるなど、都市部ではさらにコミュニティキッチンの可能性が広がっているようです。

体験が生み出す「共有価値」

その後、岩渕氏のガイドで、みんなでおやき作りを体験しました。4センチほどの大きさのタネを手のひらで広げて、中身を包みます。中身はナス味噌。小さな一口サイズのおやきのため、包むのは小龍包と同じ方法。各テーブルに用意された材料を使って、参加者たちは四苦八苦しながらトライ。ファシリテーターの臼井氏が「意外とおじさんも頑張ってる」と驚いたように、予想に反して男性陣が躊躇なくおやきを作っている姿が印象的でした。

焼く作業はキッチン内でスタッフが行い、当日朝の「しあわせ信州朝クラス」で提供された味噌汁と一緒に提供されました。

熊谷氏食べる際には、銀座NAGANO所長の熊谷晃氏が、1周年を迎えた銀座NAGANOのこれまでとこれからについて解説しました。長野県のブランド戦略上、イベント性の高いフェアではなく、体験を「シェアする」ことが重要であるとの判断から、「フェアからシェアへ、観光地から関係地へ」というコンセプトで「コアな信州ファンを増やす」ことを目的にスタートしたのだそうです。
年間320団体によるイベント開催、来場者35万人を目標にし、少ない人員を効果的に回すためにプロジェクトチームをいくつも編成し、フットワーク良く運営する体制を整えました。1年を終えて来場者は80万人、イベント実施団体は466を数えたというから驚きです。

こうした結果を前向きにとらえながらも、今後の「願い」として、熊谷氏は「新しいシェアの実践」と「地域の価値を磨き続け、幸せを拡大していく」ことの2つを挙げました。「これまでリンゴを勧めるときは、"○○賞を取ったんだよ"と言うだけだったが、これからは、"このリンゴは75歳のおじいちゃんが取ってるんだよ、来年にはもう箱持てないかもしれないんだよ"というシェアができれば」。そうした新しいシェアで、「長野県が(健康や美容のような)都市部の課題を解決するように、都市部のみなさんも長野県の課題を解決してくれるような、相互の関係が作れれば」と語りました。

ゆる~い空気がアイデアを回す

フィールドワーク回は、セミナーとはまた異なった穏やかな空気になります。アクションを通じて現場で感じる空気は、エコッツェリア協会の平本氏が言うように「考えを発散させて、新しいアイデアを生むきっかけになる」。東北での実践、長野県での実践をつなぐキーワードは「食」と「地方」、そして「体験の共有」でした。ここでの気づき、発見が、どのようなビジネスシーズに発展するのでしょうか。


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エコッツェリアに集う企業の経営者層が集い、環境まちづくりを支える「環境経営」について、工夫や苦労を本音で語り合い、環境・CSRを経営戦略に組み込むヒントを共有する研究会です。議論後のワイガヤも大事にしています。

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