2016年2月19日、3×3Lab Futureのこけら落としとなるイベント「豊岡エキシビション2016 地方創生、その先」が開催されました。
今、地方創生に取り組む自治体の中でも注目を集めている兵庫県・豊岡市。この街を一人でも多くの人に知ってもらい、豊岡市の取り組みを通して、地方創生を一過性のブームに終わらせず、未来につなぐためにはどうすればいいのかを探るということを目的としたこのエキシビション。
実際に同市で各種取り組みを推進する市長の中貝宗治氏、劇作家の平田オリザ氏の2人をはじめ、外部の有識者が登壇し、講演やディスカッション、事例紹介などを行いました。
「小さな世界都市・豊岡」を実現することで「地方は貧しくてつまらない」というイメージを払拭し、流出した人々が再び豊岡に戻り、定住したくなるような、様々な仕掛けを推進する中貝氏は、その事例を紹介。先人たちが築いた文化の継承や保護、環境と経済が共鳴するような戦略の立案と実行、芸術文化の創造と発信の重要性などを説きました。
そうした政策の一つの核であるのが、子どもたちへの「コミュニケーション教育」です。
「人口減少の要因の一つにはコミュニケーション不足がある。2020年からは大学入試改革もあり、コミュニケーション能力を養うことは、今後増々重要になってくる」と語ったのは、2015年から同市のコミュニケーション教育推進事業講師を務める平田氏。氏は現在、市内の4小学校・1中学校をモデル校として、演劇を用いたコミュニケーション教育を行い、グローバルなコミュニケーション力を持った人材の育成に力を注いでいます。
外部有識者の一人として講演を行った、地域の経済再生事業の開発・推進などを行うエリア・イノベーション・アライアンスの代表理事・木下斉氏は、「地方の衰退は人口論問題ではなく財政問題として捉えなくてはいけない」とし、「地域全体を一つの企業として見立て、地味でも着実に稼ぐ事業を作り上げて行くことが必要」と、地方創生を推進する上でのポイントを説明しました。
また、『Discover Japan』『ソトコト』『自遊人』といった、地域の持つ魅力を発信する各雑誌編集長と、ブックディレクター・幅允孝氏の対談では、地方創生を恒久的なものにするためには「その土地に縁を感じてくれる関係人口の増加」「壁を打ち破る"異質な人"を育て、守ること」「補助金に頼らず、表面的な情報に踊らされず、自分たちの地域をどうしたいのかを本気で考えること」が重要といった意見が聞かれました。
ローカルを突き詰め、地域が本来持つ魅力を醸成し、発信することでグローバルに通用することを目指す豊岡市。地方創生に関わる人々にとって、注視していきたい地域といえるでしょう。
「地方創生」をテーマに各地域の現状や課題について理解を深め、自治体や中小企業、NPOなど、地域に関わるさまざまな方達と都心の企業やビジネスパーソンが連携し、課題解決に向けた方策について探っていきます。