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【レポート】スキルを寄付して社会貢献

丸の内プラチナ大学 事業戦略プロボノコース DAY8(11月11日開催)

11月11日に最終回を迎えたプラチナ大学「事業戦略プロボノコース」。プロボノとは、ラテン語の"pro bono publico"(公共善のために)の略語であり、ビジネスパーソンが法律や会計、広報といった職業上の専門性を活かし、社会貢献に携わる活動のことを言います。本コースでは、実際にNPOや中小企業をクライアントに、それぞれの課題をサポートすることを通じて、自らのビジネスパーソンとしての強みやスキルを再確認しながら、同時に社会課題とそれに向きあう経営者のマインドを学んできました。

最終回となるこの日は、前回行われた事業提案の最終プレゼンテーションからのプロジェクトの進捗報告と、ワールドカフェの形式を用いた講義全体の振り返りが行われました。

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異なる環境で自分の経験は通用するか

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本コースの講師を務めたのはナレッジワーカーズインスティテュート株式会社代表の塚本恭之氏。大手電気機器メーカーに勤務する傍ら、中小・ベンチャー企業・NPOを支援するボランティア専門家のネットワーク「プロボネットLLP」に参画し、現在は自身で会社で立ち上げ働き方の未来を創造する事業に取り組んでいます。自身も、自らの知識を自組織とは別のプロジェクトに提供し社会に役立ててきた経験から、プロボノとして実践に即した講義を行ってきました。

コースの最終目標は、経営課題をかかえた企業・NPOへの課題解決に向けたプレゼンテーションです。クライアントは、婦人用革製バッグメーカー「株式会社稲葉」と、光が丘を拠点に介護、子育ての支援を行う「NPOむすび」の二団体。それぞれビジネスモデルや新規事業に課題を抱えていたものの、日々の業務に追われて解決に向けて動き出せなかったところ、塚本氏からの声掛けでプロボノ活動に関心を持ち、今回プラチナ大学の受講生からの提案を受けることになりました。

プレゼン資料より

株式会社稲葉は、市場の大規模化と特定の卸問屋からの発注に依存した現状のビジネスモデルに懸念を抱いており、今後の事業戦略を考えてほしいという依頼がありました。そこでチームは、新たな顧客とパートナーを集めるための仕掛けとして,バッグの潜在顧客との共創によりバッグを企画・デザイン・販売する「みんなのバッグを作ろう」プロジェクトを提案。丸の内エリアで働く女性をターゲットに、開発に向けてクラウドファウンディングの準備が進んでいます。

プレゼン資料より

NPOむすびのチームは、認知症の人でもできる事業を新しく展開したいという依頼から、認知症の人のスキルを活かしたマッチング事業や認知症の人による映画制作を提案。中でも、映画制作がチャレンジングで面白いのではという意見が集まり、本格的な制作を行うために、まずはプロを交えた体制づくりから動き始めているようです。

進捗報告後は、ワールドカフェの形式を用いた講義の振り返りへ。ワールドカフェとは、カフェにいる時のようなリラックスした雰囲気の中、参加者が少人数に分かれたテーブルで自由に対話を行い、ときどき他のテーブルとメンバーをシャッフルしながら発展させていくという話し合いの手法です。この日の会場がもともと民家だった建物をリノベーションしたスペースということも相まって、リラックスした空間の中で行われました。

印象的な感想として、「関わる人や提案までの進め方など、普段の仕事とは異なる部分が多い環境の中で、自分の経験を活かすことができて新鮮だった」「さまざまなバックグラウンドが集まったチームだったので、多様な視点から課題を深く分析することができた」など、普段の仕事では得ることのできない経験があったようです。
すでに定年退職した受講生からは、「プロボノ活動は年齢問わずに自分の経験を活かせるので、セカンドライフの活動の場としても可能性を感じた」という感想もありました。また、それを受けて、「プロジェクトを通して幅広い世代の知見に触れることができて貴重な体験だった」という声もあり、プロボノ活動はクライアントや社会に貢献するだけでなく、参加者同士に与える影響も大きくあったようです。

提案した事業やプロジェクト実現に向けた熱い想いが行き交う時間を過ごし、講師の塚本氏からも「今後ともぜひプロボノにご参加ください!」という力強い言葉が送られました。

■ 良いプロジェクトほどリーダーがいないプロボノ

講義後、講師の塚本氏にお話を伺いました。
「プロボノとして行われる活動の多くは、NPOや中小企業の資金調達や営業活動などのアドバイスが主流で、今回のように事業提案をすることは稀です。およそ3カ月の短期間でここまでの提案を作り上げた皆さんの熱気には驚きましたね。受講者には、IT、会計、広告、看護など、偶然にも幅広い職種の方が集まりました。プロボノは自分のスキルを活かした社会貢献です。そのため、今回さまざまな職種の方に参加いただいたことで自ずとチームでの役割がはっきりしていました。プロボノが一般的な会社と違うのは、良いプロジェクトほど明確なリーダーがいないというところ。リーダーがいないと、メンバーそれぞれが自分の得意分野をリードすることができるので、結果として全員が達成感を得ることができます。今回のクラスも、各分野のプロが力を存分に発揮してくれて、良いチームになったと思います」

コースは今回で終了ですが、提案内容の実現に向けたフォローアップも引き続き行い、チームのつながりは続いていきます。講義後の懇親会でも、事業計画の話は尽きず、今後の活動が期待される最終回となりました。


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