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【レポート】丸の内に集う"ヨソモノ"が地方を変えていくために

丸の内プラチナ大学ヨソモノ街おこしコース DAY8(2017年10月16日開催)

丸の内プラチナ大学・ヨソモノ街おこしコースは、受講生のみなさんに何を残し、そしてどんな社会的なインパクトを与えたのでしょうか。10月16日に行われた最終講義では、昨年の講義の舞台となった、徳之島の伊仙町、岩手県の八幡平市での"その後"を、現地で活躍するヨソモノの方々からレポートしてもらい、今年の"その後"がどうなるのかを、みなで考える場となりました。

講師を務める三菱総合研究所・松田智生主席研究員はこうした活動には「2:6:2」の理論があるとしています。曰く、積極的に動く人は2割、まったくの無関心層も2割。残りの6割はやりたい気持ちはあるが何をしていいか分からない層。 「丸の内プラチナ大学は、2割のやる気のある層を引っ張り出すだけでなく、6割の潜在的なアクティブ層を掘り起こし、活動につなげていくことも大切な役割」(松田氏) 松田氏はそう述べ、丸の内プラチナ大学が単なる座学で終わるものではなく、地域にきちんとインパクトを与える力を持つことが求められているとしています。

最終講義のタイトルは「ヨソモノは終わらない」。ヨソモノが活動すべき地域活性化は、決して終わることのない問題であるというメッセージ。そして、ヨソモノ街おこしコースを受講した人すべてが、終わることなく学びと活動を続けてほしい。そんな幾重にも重なった思いを込めて付けられたタイトルに違いありません。

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2017振り返りとまとめ

2017振り返りとまとめ

松田氏まず、冒頭は松田氏からの今期の振り返りとまとめです。今期題材として扱ったのは福島県会津若松市、茨城県笠間市、山口県山口市の3市。それぞれ2回の講義を行い、初回は地域の自治体職員から概況を課題を聞き、2回目ではヨソモノとして現地に入り活動している先達からのレポート。今期は2週続けて講義する方式で、受講生は集中的にビジネスプランを検討し、各自治体へ提案しました。

松田氏は、今回の3市の特徴を以下のように整理しています。

会津若松市は、会津漆器など伝統産業も含め、産業における廃業と事業継承の課題が顕著。その一方で、IT分野では世界を相手に勝負できるベンチャーも見られるようになっています。山口市は「"県庁所在地"症候群」と松田氏が名付ける「恵まれているがゆえの悩み」が生じていること。地方大学との協業、県人会・商工会といったセクターとの連携で活路を見出そうとしています。笠間市では「同時多発的」街おこしの面白さと難しさが浮き彫りになりました。多様な魅力があり、多様な人々が多様に活動しているために、地域の活動を一体化してコミットするのが難しい状況。

3市ともヨソモノの活躍が顕著なのも特徴です。会津若松市ではITベンチャーが意気盛ん、山口市では転勤族が活躍。笠間市では地域おこし協力隊、移住組が活躍している実績があります。松田氏は「全国でヨソモノが活躍し、地域を引っ張っている事例が多い」と話し、各地の事例を紹介。宮崎県小林市では海外からのヨソモノが地域を元気にしているなど、多様なフィールドが広がっていることを示しました。そして、好き勝手言うだけで何もしない、傲慢である、過去の肩書や実績にこだわるといった特徴を持つ「困ったヨソモノ」にならないように、注意もしています。
「移住は結婚と同じというヨソモノの方がいたが、本当にその通りで、いいことも悪いことも受け入れる覚悟で地域に入り込まなければ、先の活動は続けられないだろう」(松田氏)
夢や希望ももちろん大切。そして同じように、ツライ現実もちゃんと見据える必要がある。当然ではありますが、地方創生に関わろうとするときに見落としがちな点も指摘しています。

また、こうしたヨソモノの活動ひとつひとつが点として終わらないよう、面展開するために「逆参勤交代構想」(都市部の社員の地方での期間限定型リモートワーク)やCCRC(Continuing Care Retirement Community)と連動させていくことなども紹介しています。

松田氏は最後に、「成長戦略」「多様なヨソモノの必要性」「品格」「一歩踏み出す勇気」の4点を、まとめとして整理。
成長戦略とは、ヨソモノがこれからの地域活性化で主要な役割を果たす可能性が大きいこと。関係人口の増加だけでなく、具体的なアクションを起こすことが、地域にさまざまな波及効果を生み出すことが期待されています。多様なヨソモノとは、「誰もが主役である必要はない」ということ。松田氏は、「誰もがベンチャーを起業したいわけではない」と話し、起業した人を応援するヨソモノがいてもいいとしています。また、ヨソモノの品格とは、地域で活動するヨソモノに必要な資質でもあります。松田氏はそれを「謙虚さ」「気配り」、そして「行動力」であるとしています。

そして4点目の「一歩踏み出す勇気を」という呼びかけ。
「街おこしは一人では難しいかもしれない。でも丸の内プラチナ大学に集うような楽しい人、志のある人たちで集まって一歩踏み出せば、大きな一歩になるのではないか。ぜひ、こうした活動を続けること、深めること、広めることを心がけて、最初の一歩を踏み出してほしい」(松田氏)

徳之島はどう変わったのか?

松岡氏続いて、丸の内プラチナ大学ヨソモノ街おこしコースが地域に何を残したのか。その実態を、昨年の舞台となった徳之島(鹿児島県)と八幡平市(岩手県)のその後から見てみます。

徳之島からは、昨年も登壇した松岡由紀氏が登場し、その後伊仙町でさまざまな活動が活性化している様子をレポート。昨年は講義に続く現地視察で16名の受講生が徳之島を訪れ、高校生へのキャリア教育、伊仙町職員や地元プレイヤーとのセッションで一定成果を上げたことを説明しています。
「キャリア教育では、卒業したら農業、製糖工場、公務員以外になかなか職業をイメージできない島の高校生たちにさまざまな職業の可能性を示していただけた。職員や地元のプレイヤーとのセッションでもさまざまな化学反応が起きて、次の活動に繋がっている」(松岡氏)
現在は離島版CCRC、サテライトオフィスの誘致など国の施策とも連動した活動も活性化しており、今後の展開に期待が掛けられています。
「サテライトオフィスを体験したある大企業の社員は帰り際に涙を流すくらい感動した、と言ってくれたことがあった。それだけ需要もあるということだし、徳之島での島民のみなさんとの交流が、大都会の閉塞感に良く効くということだと思う」(松岡氏)

この他にも、長寿を支える背景となっていると思われる、鉱物を多く含んだ島の水をボトリングして販売しようとするなど、さまざまな取り組みをしようとしています。一方、今後の課題として、松岡氏は「人材不足」とひとこと。仕事はあるが人手がない。特に「ビジネス全体をマネジメントできる人材」が必要であるとしています。

プラチナ大学起点で進む八幡平

桑原氏八幡平市からは、CCRCの拠点として紹介された「八幡平オークフィールド」の設計を担当、その後八幡平市に生活の一部を移し、東京と八幡平の二地域居住を始めた桑原聡氏が、八幡平の現状と今後の展開について説明しています。桑原氏は昨年、今年と2年続けてヨソモノ街おこしコースを受講しており、「プラチナ大学で得た仲間が財産になっている」と話しています。

桑原氏は、昨年の現地ツアーをきっかけに、「湯馬(ユーバー)」なる新しい動きが起きていることを紹介。昨年視察した引退後の競走馬が過ごす"馬のCCRC"ともいうべき「ジオファーム」と、現地では二次交通が課題になっているという知見を掛け合わせて生まれたもので、足湯を積んだ馬車で二次交通を賄おうというアイデア。これは市長プレゼンでは一笑に付され、ちょっと実現は難しいかなと思われましたが、丸の内プラチナ大学の受講生たちの有志が集まってトライアルを実施するなど、「楽しい、面白い」をキーワードに実現に向けて活動を開始。桑原氏は「本当に仲間がいることは素晴らしいことだと思う」と述べており、この他にも受講生たちとの活動が広がっている様子を紹介。

また、「これまで求めてきた経済合理性とは違うロジックでないと幸福は得られないんじゃないか」とも分析しています。
「経済的な合理性よりも、自分が楽しい、幸せと思うものを追求することが、地域の活動では重要。思いを共有する仲間たちが、少しずつ知恵と力とお金を出し合って、実現の道筋を作っていくことが必要だ」(桑原氏)

そのほか、ヨソモノがまず旗振り役になって行動を起こすこと、補助金頼みの活動をしないことなど、具体的なアクションに入る際のアドバイスも述べて、締めくくりました。

この後、登壇者を前にして、参加者との質疑応答、意見交換も行いました。

八幡平市での音楽祭に、仲間を引き連れ東京から演奏者として参加したというある受講生は、「地元のみなさんに喜んでもらえたことはうれしい」「志ある仲間と演奏の場を与えてもらったことは良かった」としつつも、大きな楽器を持っていることもあり、「移動に掛かるコストをなんとかできなければ、毎回参加は難しくなる」という費用面での課題を指摘しています。これは丸の内プラチナ大学にかぎらず、地方創生を巡る議論で必ず一度は出る話題で、桑原氏も「毎月新幹線代で20万円」という交通費の厳しさを語っています。松田氏も、なんらかのファンドを立ち上げたり、逆参勤交代構想のように制度的に移動をサポートする仕組みが必要であると話しています。

この他、自治体職員の受講生が、自治体側の観点からの本コースの評価を述べたり、地方創生のこれからについての意見が出されるなど活発な議論が行われました。全体セッションの後は、各テーブルで今期を振り返り、本コースの「Good」と「New」を考えるワークも行い、熱のこもった議論を続けました。

人材とアイデアの供給源となり、いざ活動の場へ

徳之島からはたくさんの焼酎をご用意いただいた。右は焼酎の説明をする伊仙町職員

終了後は恒例の懇親会となり、受講生みなで徳之島、八幡平から寄せられた産物やお酒に舌鼓を打つこととなりました。

ある受講生は、今期を振り返って「自由に議論できる場が良かった」と感想を述べています。
「会社で行う議論のように理屈を積み上げるのではなく、感性で議論することができた。また、市長に直接お話しする機会もあって、実現に向けてしっかりと感触を探ることもできてよかった」(受講生)
本業では人事系の新しいプロジェクトの推進役を担い、「新しいアイデアが欲しかった」と話しており、地方への活動に取り組むことに可能性を感じているとも。ただし「純粋なCSRでは続かない」。
「企業側が持ち出すだけの純粋なCSRでは、会社も乗りにくいし、続かない。うまくビジネスに繋がる、貢献できる形を作ることができれば」(同)

ある自治体職員の受講生は、コースの受講生たちが真剣に、本気で地域のためのビジネスアイデアを考えていることに「感動した」とし、「地方側はこの本気をしっかりと受け入れる体制を整えるべきでは」と意見を述べています。
「地域ごとに特色、個性を出そうとアイデアを考えるが、内部だけでは難しいから外に活路を見出そうとする。その一方で、外部で真剣に考えてくれる人との間に明らかな温度差があることは問題だと感じている。自治体の考え方それ自体が変わっていかなければいけないだろう」(受講生)

「地方自治体職員は頭がカタイ」「柔軟性に欠ける」「理解力がない」と悪しざまに言われることが多いのは確かですが、逆にいえば、地方自治体職員ではない人は自治体のロジックを知らないのも事実。丸の内プラチナ大学には、両者が歩み寄れる場としての機能も期待されているに違いありません。

講師の松田氏は、今期の講義を終えるに当たり、「改めて、続けていくことの重要性を感じている」と述べています。
「一過性で終わらせずに、継続することで生まれるものがある。八幡平のように、小さな活動でも、続けていくことで波及効果が生まれ、次のアクションが生まれる。丸の内プラチナ大学ヨソモノ街おこしコースを来年度も実施するのはもちろんだが、それぞれの自治体で活動するものを残し、繋いでいくことができれば」(松田氏)

松田氏が示す、行動を起こす人についての「2:6:2」理論をふまえて、「何かやりたいが、どうしていいか分からない」という潜在的なアクティブ層である6割に、どう機会を提供していくかを考えたいとも話しています。

昨年に続きアクションへと軸足を踏み変える人が現れることに期待することはもちろん、丸の内プラチナ大学も、"大学院"のように、新たな学びと活動の場を作ることにも期待ができそうです。来期の実施は「確定」しているとのこと。フィールドとなる自治体の候補も絞られているそうです。来年はどんな学びと実践の場が誕生するのか。今から楽しみにお待ち下さい。


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