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【レポート】3×3Lab Futureで加速するイノベーションシティへの動き

2月16日 3×3Lab Future 開所式

イノベーション拠点を目指す

昨年10月に竣工した「大手門タワー・JXビル」の1階に、三菱地所、まちづくり協議会である「エコッツェリア協会」が運営する施設「3×3Lab Future(さんさんラボ フューチャー)」がオープンし、2月16日に開所式が行われました。

このビルは大丸有地区の連鎖型再開発で建設されたもので、三菱地所のフラッグシップビルのひとつ。世界的な都市間競争、2020年東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れ、東京が「イノベーションシティ」として発展するための拠点として機能することを目指しています。

3×3Lab Futureは、その中心的役割を果たすスペースとして設置されたもので、2014年から試験的に設置されてきた「3×3Labo」と、新丸ビルにあった「エコッツェリア」を発展的に統合した格好となります。開所式には、内閣府福岡資麿副大臣のほか、国土交通省都市局長、東京都都市整備局長らも出席。都市再開発において、3×3Lab Futureにかけられている期待の大きさを伺わせました。

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硬軟自在のスペース

硬軟自在のスペース

コミュニケーションゾーンに設置された「ワークショップキッチン」

3×3Lab Futureは、大丸有ひいては東京がイノベーションシティとして機能するうえでもっとも基本的な、人が集い交流する「場」の役割を期待されています。

式典に先立つプレス内覧で説明する井上氏これまでの3×3Laboが、「ゆるやかな集まり、コミュニティの場」であるとしたら、3×3Lab Futureは、さらに具体的にビジネスを志向する「交流・啓発機能、ラボラトリー機能、ショーケース機能」という3つの機能を実装。開所式に先立つプレス内覧で、三菱地所開発推進部の井上成氏は、「環境問題ほかさまざまな社会課題、女性やミドルの活躍を支える社会基盤の強化といった問題は、もはやCSR的な活動だけでは解決できなくなっており、経済と噛み合ったビジネスとして自立して回していく必要がある」とし、そのために3×3Lab Futureは「コ・ワーキングスペースとしての機能、パブリックスペースの活用拠点、丸の内朝大学のような交流拠点など、ソフト面の強化を図っていく」と説明。

3×3Lab Futureには、セミナーイベントなどを行う「サロン」、フリーリーに使用が可能な「コミュニケーションゾーン」があり、硬軟合わせた利用が可能な状態。比較的堅めな、経営・マネジメント層をターゲットにした旧エコッツェリアと、現場感と程よい緩さのあった旧3×3Laboの両方の雰囲気を併せ持っていると言ってもいいかもしれません。

また、特大のキッチンを2つ設置している点がもっとも大きな特徴。井上氏は「キッチンが持つ人の交流を促進する機能に着目」したとしていますが、同時に、今後地方創生や農業問題において必須のキーワードになる「食」の問題に積極的にアプローチしていくためでもあるでしょう。

プルーラルセクターがキーワードか

上から三菱地所・杉山社長、内閣府副大臣・福岡氏、国土交通省都市局長・栗田氏、東京都技監兼都市整備局長・安井氏、環境省地球環境審議官・小林氏開所式では、冒頭、三菱地所・杉山社長が挨拶に立ち、「これからのまちづくりではハードよりもソフトが重要」であり、「魅力的なソフトをさらに提供していく」ための拠点として3×3Lab Futureを活用していきたいとしました。「都市における環境問題も、10年以上前から取り組んで進めてきた。これからの社会課題についても我々が提案、貢献していかなければ」と強い意欲を見せています。

続いて来賓挨拶に登壇した福岡内閣府副大臣は、三菱地所のOBであった経歴を披露して笑いを誘ったあと、「国家戦略特区の3割、40案件が東京で展開しており、特に都市再生においては、三菱地所が牽引している」と、当ビルと3×3Lab Futureの取り組みを高く評価。3×3Lab Futureができたことを「とても心強い気持ち。世界に向けて情報をどんどん発信していってほしい」と期待を語りました。

その後、来賓あいさつに立った国土交通省都市局長の栗田卓也氏、東京都技監兼都市整備局長の安井順一氏、環境省地球環境審議官の小林正明氏は、都市、環境といったそれぞれの立場から、3×3Lab Futureへの期待を語りました。興味深いのは、栗田氏がPPP+プルーラルセクターの文脈において3×3Lab Futureの可能性に期待を見せた点。奇しくも3×3Laboは大丸有のリソースである大企業だけではなく、NPOなどさまざまなセクターとの関係性を深める方向性を打ち出しており、まさに多様なセクターが関係を持ち合うエコシステムが形成されようとしています。これからの都市再開発において、プルーラルセクターは必須のキーワードとなりそうです。

大人のヒミツ基地がイノベーションを起こす

中小機構・高田理事長(左上)、文部大臣補佐官・鈴木氏(右上)、IBEC・村上理事長(左下)、リガーレ理事長・小林氏(右下)

開所式式典の後は、会場をコミュニケーションゾーンに移しての祝宴が催されました。3×3Laboの開設時同様、さまざまな企業のトップ、行政関係者等が多数参加する祝宴となり、期待の高さとこれからの活躍を期待される場となりました。

祝宴の来賓あいさつでは、TIP*Sを運営している中小企業基盤整備機構(中小機構)の高田坦史理事長が登壇。日本ビルの"2代目"3×3Laboでは、中小機構と三菱地所によるコラボレーションで実現した「TIP*S/3×3Labo」が、「初期目標を達成することができた」と成果を認め、今後TIP*Sとは地理的には袂を分かつ形にはなるものの「良い形で関わりを持ち続け、ともに発展していけたら」と話しました。

また、続いて来賓あいさつに登壇した鈴木寛文部科学大臣補佐官は、文科省の移転時に丸の内に「お世話になった」折に「文科省の職員のスーツの様子が変わった」とまちが人に与える好影響について紹介するとともに、日本芸術文化振興会(国立劇場)をはじめ文科省の活動、関連団体と大丸有が深い関係にあり、3×3Lab Futureの開所を機にさらに交流を盛んにしてほしいと期待を語ります。という真面目な顔での挨拶の後は、その仮面をかなぐり捨てて2005年の大手町カフェ以来、大人のヒミツ基地として大丸有を利用させてもらってきた」と知る人ぞ知るやんちゃな顔で、「短期的なリターンが求められる企業が、3×3Lab Futureのような施設に手を出すのは大変なこと。しかし、日本のクリエイティビティの3割はここから生まれていると保証するので(笑)、ぜひ株主のみなさまもご理解を」と笑いを誘いました。

この他も、建築環境・省エネルギー機構(IBEC)の村上周三理事長による来賓あいさつ、リガーレ理事長の小林重敬氏の音頭での乾杯、三菱総研理事長の小宮山宏氏による中締めと、ことごとく豪華なラインアップでの祝宴となったのでした。

参加するのはあなたです

開所を記念して、国立劇場から鏡正二郎氏が登場し、太神楽を披露した

3×3Lab Futureは、今後3月1日にコ・ワーキングスペースとして公開、会員募集を行い、貸しスペースとしては4月1日からオープンする予定となっています。

また、オープニングを記念したイベントが、2月から3月にかけて多数予定されており、イノベーションシティの拠点としての活動が加速する勢いを見せています。テーマも、環境、防災、地方創生など多様な広がり持っており、さまざまなセクターの人間が関わることができるのり代があります。興味のある方は、ぜひとも新生3×3Laboこと3×3Lab Futureでのイベントに参加してみてください。


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