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【レポート】水は環境ビジネスの最前線

オープニングシンポジウム第一弾「水環境・ビジネスを考える」 2月26日開催

3×3 Lano futureオープニングシンポジウム

2月26日、3×3 Lab futureのオープニングシンポジウム「水環境・ビジネスを考える」が開かれました。3×3 Lab futureは3×3 Laboでのこれまでの活動を引き継ぎ、4月に本格オープンするサスティナブル・オフィス。場所は、皇居大手門近くに昨年11月に竣工した大手門タワー・JXビルの1階です。オープニングシンポジウムでは、この「水環境」のほか、「防災」「ワークプレイス」「国産材」の4つのテーマで開催されていきます。第1回めの今回は、オープニングシンポジウムの趣旨、その位置づけ、そこから見えてくるこれからの3×3Lab Futureの役割なども語られました。

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メッセージビデオで見るシンポジウムの意義

メッセージビデオで見るシンポジウムの意義

オープニングシンポジウムの意義は、メッセージビデオ「CSVビジネスで創る未来」で紹介されました。映像に登場したのは、今回の登壇者でもある小林光氏。ビデオの中で小林氏は、次の5つのポイントを参加者に伝えました。

1.未来を創るキーワード「CSV」
2.なぜ大丸有がCSVビジネスを狙うのか
3.エコッツェリアの活動を通して得た学び
4.大丸有型CSVビジネスのテーマ
5.大丸有型CSVビジネス創発のポイントとなる人材

「環境問題は考えるだけでなく、実行して解決することが大事である」という考えを示し、そのためにCSVビジネスが重要な役割を担っていること、そして大丸有のもつ情報集積力と国際的なネットワークを活用して、CSVビジネス創発拠点になってほしいと期待を語りました。また、社会や環境、経済にかかわるあらゆるビジネスがCSVになり得るとし、「ニーズ・ドリブン(needs-driven)」「シーズ・ドリブン(seeds-driven)」の2つの視点から創発すべきであると語り、オープニングシンポジウムが、水環境・防災はニーズ・ドリブン、働き方(ワークプレイス)と国産材がシーズ・ドリブンであることを説明しました。

テーマはここに例示したものだけでなく、社会や環境、経済にまたがってさまざまなものが存在するとして、30代を中心とした若者たちにイノベーションを起こすよう、新しいビジネスに取り組んで欲しいと呼びかけます。そして、その成果が見えるのは2050年――いまから取り組めば、形が見えるのはそれくらいのタイムスパンだろうと語りました。

ミクロからマクロまで――「水」は世界の問題

ビデオの後は、映像から会場に飛び出てきた小林氏が、この日のテーマ「水環境・ビジネスを考える」のキーノートスピーチを行いました。冒頭で小林氏は、「環境は保護するだけではなく、ビジネスとして仕掛けていかないとよくならない」と、映像でも語った内容を改めて示しました。小林氏自身が環境省を辞したあと大学教授としての研究をするかたわら、民間企業の役員にも就いたのもその実践のためなのだとか。今日のテーマである「水環境」については、「水」こそが環境問題で即影響を受けるものであることを指摘し、環境問題の中でも重要なテーマであると語りました。

その後のキーノートスピーチでは、環境対策の課題や、気候変動が自然・社会へ与える構造的な影響等が語られ、さまざまなリスクの存在が示されました。水に関して言えば、海洋の水位上昇。極地における氷河融解によるものだけでなく、気温上昇による海水の熱膨張も原因として考えられているなど、あまり知られていない内容も語られました。また、すでに世界的に起きている水不足は干ばつを引き起こし、農業生産に大きな打撃を与え、農村部の生計や所得にダメージを与え、国際的な食糧問題も起こりつつあるとの指摘もありました。

1997年のCOP3で京都議場書以降注目されているCO2濃度の上昇に関しては、自然界でも100ppm程度の範囲で増やしたり減らしたりするシステムがあったが、自然界6000年かけて行ってきた変動を、人間がわずか100年で進めてしまったことを説明。さらに、2015年末に仏国パリで開催されたCOP21では、CO2削減を全世界的な取り組みとして実施していく考えが新たに共有され、パリ協定が発効したことにも触れました。

民間の水環境への取り組み――TOTO

TOTOの節水の水位(TOTOのサイトより)

小林氏のキーノートスピーチを受けて、2人のゲストスピーカーがそれぞれの水環境への取り組みを紹介しました。

1人目のプレゼンターは、TOTO株式会社ESG推進部環境商品推進グループの大谷孝幸氏。テーマは「TOTOの『水環境貢献』~水と地球の、あしたのために。~」です。

TOTOは創業者が掲げた三方良しの精神を今も引き継いでおり、経済よし、環境よし、TOTOよしの事業に取り組んでいます。なかでも「節水」は大きなテーマで、20年前と比べると格段の進化をしていることを紹介。例えば水洗トイレで流れる水量の変化。20年前には大便器の水量は20リットルでしたが、いまでは5分の1以下の3.8リットルです。節水シャワーでは、水滴の中に空気を入れ、使用水量を35パーセント減らすという革新的な技術なども紹介しました。

また、国際的な活動ではJCM(Joint Crediting Mechanism。二国間クレジット制度)に参加し、発展途上国であるベトナムにおいて環境問題への取り組み支援も進めていることを語りました。

民間の水環境への取り組み――三菱地所

浄化システムの概要(三菱地所のリリースより)

プレゼンターの2人目は三菱地所株式会社 開発推進部街づくり支援室長 渡邉仁氏。テーマは「お濠の水環境への民間の取り組みについて」でした。

3×3Lab Futureが入る大手門タワーの特徴の1つは、皇居のお濠の水質浄化システムです。設置された浄化システムは大手濠の浄化を担っていますが、民間でここまでのシステムをつくり出す過程にはさまざまな問題や壁があり、それをどうクリアしてきたかを語りました。

皇居のお濠には生活排水も流れ込んでおり、アオコが大量発生するなど水質悪化が深刻化しています。その改善に環境省や都が取り組んでいましたが、民間企業がどれくらいのことができるのかをワーキンググループを立ち上げて検討するところからプロジェクトがスタート。最終的には、不足する水量を補う形で、環境省のシステムを補完するプランが立てられ、雨水を貯めるシステムの具体化に入ったのですが、そこで既存下水道との兼ね合い、大丸有エリアからの導水の地理的な難しさといった課題が浮上し、一旦は「民間の事業としては無理という結論に達した」。

しかし、ここで渡辺氏のヒラメキが新たな解決案を導き出します。ニュータウン開発で経験した遊水地方式が使える――雨が降るとすぐあふれそうになる濠の水を一度貯留槽に貯め、渇水時にそれを戻すという仕組み――。これを思いついたとき、現在の浄化システム導入へと舵を切ったそうです。さらに、これを大手濠に絞ってしまえば、大手門タワー・JXビルだけで水質浄化が可能であることにも気付き、システムのブラッシュアップを図ったそうです。採用した浄水システムは飲料水をつくるものと同じで、高い能力を有しているそうです。

水ビジネスの可能性とは――パネルディスカッション

このあと行われたパネルディスカッションでは、小林氏がプレゼンター2人に1つずつ質問をするという方式で進められました。最初に小林氏は、TOTOの公益性の高い取り組みに対して、ユーザーはどの程度評価しているのかということと、エコポイント制度の効果について質問しました。これに対して、TOTOの大谷氏は、ユーザーの意識は、今はまだ低く、経済的メリットが優先していると明かし、環境効果などについては、官公庁との取り組みを通して補助金などを受け、ユーザーに還元していくことで認知度を高めたいと答えていました。さらに、エコポイントについては、評価が得られていて、代理店でも商品が販売しやすくなったという声があることを話していました。

続けて小林氏は、渡辺氏の取り組みに関して、企業としてはどのようなメリット、取り組みの合理化をはかっているのかという質問をしました。これに対して渡辺氏は、2つの視点を示しました。1つは、三菱地所は大丸有エリアの価値を上げたいと考えていること。今回は水環境への貢献で、それを実現したといいます。もう1つは、ビルの容積率の規制緩和です。国の都市再生特区制度では、社会貢献で容積率を増やしてもらえるという、ビル事業ならではメリットがあることを紹介しました。

会場からは参加者2人が質問。1人は中国からの元留学生で、小林氏の教え子という男性。海外で環境事業に取り組むときの悩みや知っておくべきことなどについての質問でした。これに対して答えたのはTOTOの大谷。ベトナムでの例を紹介しました。ベトナムでは、日本以上にコスト重視で環境効果の訴求は国民に届かない。効果があるのは社会主義国ならではの国の認可。国から"お墨付き"を得ることが強いインセンティブになると説明しました。

参加者からのもう1つの質問は、過疎化が進み、寿命を迎える水道設備の更新ができない現状に対する問題提起でした。里山をつくり、そこに人を集め、効率的な住環境ができないかという提案でもありましたが、これに対してTOTOの大谷氏は、そういう現実があることを認識しているが、その上で、まちづくりのコンパクト化やダウンサイジングは必要と考えていると答えていました。三菱地所の渡辺氏もニュータウンの例で、街を広げようとして取得した土地で、人口減少のため開発に着手できないところがあり、コンパクト化も考えていると話しました。さらにビル事業者の観点から、地方の里山開発での貢献が、首都圏で開発するビル容積率緩和に繋がるなどの政策誘導も必要ではないかと語りました。

埼玉の「水」が育む野菜や飲み物

セミナーのあとは懇親会。用意されたのは埼玉や茨城などのおいしい「水」で育てられたという野菜たちの料理。紹介したのは、株式会社グリーンデザイン代表取締役の中村正明氏。自らコーディネートした料理の数々に解説を加えていました。参加者はおいしい料理に舌鼓を打ちながら名刺交換を行いながら、談笑に花を咲かせていました。


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