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【レポート】四国の日本酒が丸の内に大集結

――9月22日「Shikoku Sake Trip」

9月22日、東京・大手町の3×3Lab Futureで「第1回 Shikoku Sake Trip」が開催されました。これは東京における四国4県の地酒の知名度や需要の向上を図ることを目的としたイベントです。第1回目のテーマは「四国の酒を旅するように楽しんで」。蔵元の酒のみならず四国4県の郷土料理や物産品も多く揃い、四国の酒を楽しみつつ日本酒を多方面から楽しめるように、一部、二部、三部とそれぞれテーマをもった構成に分けて行われました。

今回は「学びの酒」と題された第二部の様子をレポートします。

四国の風土の違いを、酒で楽しむ

第二部が始まる14時に会場を訪れると、すでに大勢の人が利き酒や四国の郷土料理を味わっています。11時からはじまっていた第一部の興奮が冷めやらず、参加者同士がコミュニケーションをとりながら、日本酒をわいわいと楽しんでいました。今回集まったのは徳島、香川、愛媛から15酒蔵の酒。蔵元から有志も上京し、四国の酒の良さをアピールしています。ほろ酔いの雰囲気の中、「四国、最高!」という掛け声の乾杯から第二部がにぎやかにスタートしました。。

<参加酒蔵>
【徳島県】
三芳菊酒造株式会社、有限会社斎藤酒造場、株式会社本家松浦酒造場
【香川県】
川鶴酒造株式会社、西野金陵株式会社
【愛媛県】
近藤酒造株式会社、株式会社八木酒造部、成龍酒造株式会社、石鎚酒造株式会社、酒六酒造株式会社、中城本家酒造合名会社

乾杯のあとは、東京農業大学醸造化学科で清酒醸造、発酵食品における有用な発酵性酵母の研究を行っている穂坂賢教授と、川鶴酒造の川人裕一郎さん、近藤酒造の近藤嘉郎さん、石鎚酒造の越智稔さんによるトークセッションが行われました。なんと、蔵元のみなさん3人とも東京農大で学ばれ穂坂教授の教え子だそう!冒頭は作り手たちの大学時代のエピソードを穂坂教授が"ぶっちゃけ"て、会場からは大きな笑いが起こります。

個性豊かな面々によってつくられている酒。近年は、若い経営者が奮起する酒蔵も増え、日本酒ブームも追い風となり、四国に限らずさまざまな地域で新しい銘柄が誕生しています。これまでの日本酒=和食という組み合わせだけではなく、合わせる料理や飲み方も多様化するなかで、穂坂教授の考える「いい酒」とはどんなものなのでしょうか。

「『いい酒とは、何をしてもどんなかたちにしても、いい酒はいい酒だ』とおっしゃっていたのは鈴木明治先生です。国税局醸造試験所の所長を務められた方で私はその最後の教え子ですが、同じく所長を務められた野白喜久雄先生も同じようなことをおっしゃっていました。銘柄によって好き嫌いはあると思いますが、私もいい酒は何かと聞かれれば、何をしてもいい酒でしょう。冷やや燗だけではなく、オンザロックでも水割りでもお湯割りでも、どういう温度帯で飲んでも、いい。燗冷めしても、いい。根底がしっかりしていれば、どんなことをしても美味しく、負けないんです。飲み飽きしない酒ともいえますかね。だからいつでも飲んじゃう。二日酔いするくらい飲めるのはいい酒ですね(笑)吟醸を初めて飲んだとき、美味しくて死んでもいいなーと思いましたね。お酒の研究をしていますが、結構記憶が飛ぶこともあるんですよ(苦笑)」

現在、酒を醸造している酒蔵が全国におよそ1200。四国には120ほどあるといいます。さまざまな酒がある中で、ほとんど、85%の人は美味しさをわかって飲んでいないと、穂坂教授は言います。

「酒の銘柄はたくさんありますが、有名な銘柄だから、値段が高いから、周りが飲んでいるからというような理由で、飲んでほしくはないですね。『この銘柄はこの飲み方じゃなきゃいけない』という先入観を持つのもやめてください。それぞれの人、味覚は違いますし、こういう飲み方をしてみたら美味しかったと、自分らしい酒の楽しみ方を見つけて欲しいです」

まだまだ続きそうな日本酒ブーム。各地の酒蔵では消費者のニーズにこたえようと、新銘柄の開発や都心部での販売促進活動が進んでいます。今後、酒をとりまく環境はどう変わり、日本酒全体、また四国の酒はどのようになっていくのでしょうか。

東京農業大学醸造化学科 穂坂賢教授「酒づくりは、地域における伝統的な六次産業です。農業をベースに加工流通させ利益を地元に還元するという経済の中心に、かつては町の酒屋さんがいましたが、酒税法の規制緩和などで年々減少しています。しかし、日本酒自体の勢いが衰えてはいけません。酒屋が地域に根ざして活動していたように、蔵元も、地域を大事にして、関わりあいながら酒づくりをしてほしい。ワインを語る時に使われる「テロワール」という言葉がありますが、日本酒も同じです。酒がつくられる、土地、気候など環境の特徴が、日本酒にアイデンティティを与えると思います。四国でいえば、愛媛と高知で四国全体の酒蔵の8割を占めます。2県とも東西に長い土地で気候風土が異なるため、酒の種類が豊富だからでしょう。また県をあげて日本酒をPRしています。一方、香川の酒蔵は一桁。悲しいですね。四国の酒はまだまだ全国的には知られていません。蔵元の皆さんには、立地を恥じることなく、つくったいい酒をPRし、戦ってもらいたいです。四国は瀬戸内海側と太平洋側で文化が違い、食の味付け、好みも異なります。芳醇なもの、シャープでドライなもの、さまざまな酒が生まれている場所です。ぜひ今日の参加者のみなさん、一度四国を訪れて、各地の酒を味わってみてください。吉野川の上流から下流に向けて、歩くと、とても楽しいですよ!」

参加者と見つける四国の酒の新たな未来

トークセッションが終わると、参加者たちの飲むスピードがペースアップ。なかなか味わうことのできない四国の酒を深く知ろうと、各ブースを周り、蔵元の方に質問をしていました。参加者の積極的な様子に蔵元の方の話も熱が入ります。

食のブースには「夢酒」の料理人による各県の郷土料理が並び、こちらも列ができるほどの盛況ぶり。食事を片手に、「この料理と合うお酒はどれですか?」と聞く参加者も多く見られました。物産ブースの販売の方からは、各県のお酒が一堂に会す機会がこれまでなかったため、新しい食べ合わせを提案できて嬉しいとの声も。消費者と直接顔を合わせて話すことで、新たな発見があったようです。

あっという間に二時間が過ぎ、最後は出口に蔵元の皆さんが並び、参加者をお見送り。すっかり意気投合した様子で別れを惜しみ合っていました。酒を楽しむだけでなく、蔵元と参加者で良いつながりが生まれた今回のイベント。今後の四国の酒のさらなる発展が期待できそうです。


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