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【大丸有】川端緑道にみる「公共空間」の今後の可能性

公道使用におけるエポックメイキングになるか

三菱地所 丸の内開発部 平川さん

変わる大手町、変わる都市

今年4月に開通した歩行者専用道「大手町川端緑道」(以下「川端緑道」)。大手町連鎖型都市再生プロジェクトの一環で開設されたもので、開通当初1週間はキッチンカーが乗り入れ、イベントとして開催されました。

8月には打ち水プロジェクトも緑道で実施。周辺の多くの企業や住民の方が集まり、大いににぎわいました。これを機に、イベントとしてキッチンカーが連日登場し、これまでそっけない雰囲気の強かった日本橋川沿いのオフィス街のランチタイムに、少しずつにぎわいが生まれるようになりました。今後さらに都市開発が進むことで、大手町の新しいにぎわい拠点になることが期待されます。

また、川端緑道は、今後の公共空間の新しい使い方を例示するものとして、注目されています。開通から4か月経過した今、改めて緑道の可能性と今後について考えてみたいと思います。

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ちょっと普通じゃない川端緑道

川端緑道の特殊性

大手町連鎖型都市再生プロジェクトの概要を示す地図。緑色で示されているのが「大手町川端緑道」(UR都市機構 大手町連鎖型都市再生プロジェクトのサイトより)

川端緑道が生み出された背景にある「大手町連鎖型都市再生プロジェクト」は、2002年(平成14年)から始まった、老朽化した建築物の建て替えを目的とした再開発・まちづくりの計画です。段階的に建て替えを行っていくために「連鎖型」と呼ばれます。最大の特徴は、土地の権利を区画整理による「換地」という手法を使って移し替え、新たなビルを建てる場所を、現在の場所から別の場所に移していくこと。このため事業を中断することなく、また、引っ越しの回数を最小限に抑え、新しいオフィスへの移転が可能になるというものです。

そんな連鎖型再開発の一環である区画整理事業により、作られたのが今回取り上げた川端緑道になります。幅12メートル、全長約780メートル。区分上は「区道」(千代田区)。正式名称は「特別区道千第847号、848号、849号」と三つの道路が繋がるように配されています。大手町にある日本橋川沿いの通りであることから「大手町川端緑道」の名前を冠することになりました。

この緑道が、ほかの道路と決定的に異なっているのは、区道すなわち公共の空間でありながら、維持管理を民間が行っているという点です。具体的には、一般社団法人「大手町歩専道マネジメント」が維持管理を千代田区より引き受け、社団運営の業務を、歩専道マネジメントから委託を受ける形で三菱地所の担当部署が行っています。

「区道の管理を民間企業が行うのは他事例があまりないこと。しかし、官民一体の街づくりの活動として、非常に可能性のある、社会実験的要素を含んだ取り組みだと捉えています」

そう話すのは、ご担当者である三菱地所株式会社丸の内開発部の平川敬悟さん。
「エリアごとに求められるもの、地元の方々が求めているものはその場所場所によって異なります。それを肌で感じ取るのは民間企業の大きな役目だと感じています。この取り組みによって、公共空間の活用を担うことが、街の価値を高め、人が集まり、にぎわいのある"良い"場を創りだしていきたいと考えています」

公共空間利用の新たな取り組み

4月22日には開通セレモニーイベントが開催され、公道では異例のキッチンカーの乗り入れが行われた。

区道ではありますが、維持管理は歩専道マネジメントが行わなければなりません。そのため、公共空間でありながらも、維持管理を安定的に賄うだけの収益を上げるためのイベント実施や広告設置などの事業を行うことを可能とする規制緩和があらかじめ想定されているそうです。

「収益を上げる、目的が公共的であるため千代田区は協力的ですが、その都度事業実施前には、千代田区と協議を行います。今までこのような公共空間の使い方の例がなかったので、調整には時間もかかり、苦労も多くありますが、ここでの取り組みにより、官民それぞれの経験値を上げ、信頼関係も深め、今後の手続きの簡素化に繋がっていくと思います。また、次世代の街づくりの形に良い影響を及ぼす場となるのではないかと期待しています」

例えば、現在営業をしているキッチンカー。公道にキッチンカーが出ることが認められているのは、日本でも多くありません。公道利用についての規定に川端緑道での実績が、今後の指標となっていくのではないでしょうか。
みなさん、なんとなく当たり前のようにランチをしているのかもしれませんが、実は、街づくりの先進的な事例を目の当たりにしているのです。そう思うとランチの味も少しグレードアップするような気がしてきます。

公共空間利用の今後

大手町川端緑道のすぐ横、2012年にオープンした大手町フィナンシャルシティのエコミュージアムも、公共空間の新たな利用法として注目を集めた事例だ。

インフラの老朽化に伴うさまざまな問題に始まり、公園や公有地などの活用やリサイクルの問題も取りざたされるようになりました。今、「公共空間」は街づくりのみならず、社会全体の問題を考える上でもホットな話題になっていると言ってもいいでしょう。「民間企業が好き勝手に何かを行い、それを行政が規制する」というスキームはある意味で現代的ではありません。これからは、官民一体での公共空間利用の可能性を積極的に模索する必要があります。平川さんもこう言います。

「それぞれの立場でただ主張するだけでは何も進歩はありません。もちろん何でもかんでも事業を行えばいいというわけではありませんが、一旦立場をはずして話をしてみると、感じていること、考えていることはみな同じということはあると思っています。『このままじゃいけない、なんとかしなきゃ』と。魅力のある街にするために、『それはダメ』と規制から入るのではなく、『こういう街にするためにはこういうことが必要だ』、だからこそ『こういった決まりやルールが必要だ』というように思考を変えていければ、官民ともにwin-winな関係となり、それが街のため、人々のためとなっていくのではないでしょうか」

「日本橋川の水辺空間であること、神田との結節点という場所など人が集まるポテンシャルはとてもある場と感じています。オフィス街だからこそ土日には人が少ないというデメリットがありますが、逆にその特徴を活かして、行えるイベントなどがあればいいですね」

今後さまざまなイベント等が実施されていく緑道の動きを、大手町の今後も続く再開発の動きとともに注目していきたいところです。


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