ワーキンググループ環境経営サロン・レポート

【環境経営サロン】大企業と中小企業のコラボレーション

2014年11月28日(金)開催

2014年度第2回環境経営サロンが11月28日(金)に開催され、55名(27社・団体)が参加しました。

「ビジネス創発拠点を活用した企業コラボの実践に向けて」と「生活の木の事業創発-ハーブある暮らしの提案を通じて-」2本のプレゼンテーションとワークショプにより、大企業と中小企業のコラボレーションについて考えを深めました。

【プレゼンテーション】

・『ビジネス創発拠点を活用した企業コラボの実践に向けて』
伊藤誠一氏(独立行政法人中小企業基盤整備機構 経営支援部・人材支援グループ長)
・『生活の木の事業創発-ハーブある暮らしの提案を通じて-』
重永 忠氏(株式会社生活の木 代表取締役)

はじめに中小企業基盤整備機構・伊藤氏のプレゼンテーションです。

中小企業基盤整備機構(以下「中小機構」)は、中小企業振興、中小企業が位置する地域の振興施策推進を目的に2004年7月に設立された経済産業省管轄の独立行政法人です。虎ノ門の本部のほか、地域本部(9ヵ所)、中小企業大学校(9ヵ所)、インキュベーション施設(32ヵ所)において、約800人の職員と約3,000人の専門家集団が中小企業への経営支援、産業用地の提供、工業団地の組成、ファンドの組成など、多様な支援を展開しています。

これまでも中小機構は大手企業を退職した人をプロジェクトマネジャーとして中小企業に派遣して課題解決の支援をしてきました。また、2014年10月には高い技術をもつ中小企業(グローバルニッチ企業、オンリーワン企業)と大手メーカーとのビジネスマッチングを促進するため、「J-GoodTech」というサイトを立ち上げ、中小企業の販路開拓の支援などを行ってきましたが、大手企業と直接接点をもつことの難しさを感じていました。

10月30日に3×3 LaboとのコラボによりオープンしたTIP*Sは、中小機構のこれまでの取り組みとは異なり、間口を中小企業から大きく広げています。伊藤氏はTIP*Sに対する中小機構の考え方を「これまでは、中小企業同士の融合化や異業種交流が中心でしたが、TIP*Sは中小企業に限定せず、多くの大手企業や個人とコミュニティを形成し、大企業と中小企業のプロジェクト創発のきっかけづくりになることを目指しています」と話しました。

大丸有の企業に期待することとして、①全国には頑張って新しいことにチャレンジしている中小企業もあまたあるので、理解を深め共感をもってもらいたい、②地方の中小企業を元気にするための国の施策やさまざまな機関・専門家の取り組みを理解してもらい、新たな視点での提案をしてもらいたい―--と2点をあげたうえで、「TIP*Sではさまざまなセミナー、ワークショップを企画しています。また3×3 Laboとの共同企画も考えていますので、大手企業と中小企業の出会いからネットワークづくりに、そしてプロジェクト的な形になっていくことを期待しています」とまとめました。

プレゼンテーションを受けた、道場主の小林光氏(慶応義塾大学大学院教授/元環境省環境事務次官)、師範の竹ケ原啓介氏(株式会社日本政策投資銀行環境CSR部長)、師範代の水上武彦氏(株式会社クレアンCSRコンサルタント)からのコメントのポイントは次のとおりです。
小林氏「中小企業だからこそできることがある。中小企業から環境ビジネスの分野で新しい知恵を出してほしい」。竹ケ原氏「中小企業がTIP*S /3×3 Laboと組むことでニーズドリブン、シーズドリブン両方をカバーする、双方向性がある場が新しくつくられる期待感を覚えた」。水上氏「TIP*S/3×3 Laboが大企業と中小企業やさまざまな人をマッチングする上での全体像を描けるような場になると面白い」。

続いて生活の木・重永氏のプレゼンテーションです。

重永氏が手がける「生活の木」は、30年前の日本ではまだ誰も知らなかったハーブとアロマテラピーで事業を始めた会社です。30年間変わらず、「自然」と「健康」と「楽しさ」の3つの幸福の実現を目指しています。そんな生活の木の事業創発の流れをお話しいただきました。

「1977年からの初めの10年は創成期で、ハーバルライフ(ハーブのある暮らし)というライフスタイルを啓蒙した時期」とのことで、1980年代に起こったポプリブームがハーブ啓蒙と生活の木の事業発展のきっかけになったそうです。

啓蒙から認知へと転換をはかる次の10年では国の施策も後押しをしました。竹下内閣のふるさと創生事業です。このとき全国で48の市町村が創生基金を使ってハーブによる村おこし、町おこしを展開。現在も各地にハーブガーデンとして残っています。そして村おこし、町おこしを全国横断的な取り組みとするため、1992年からハーブサミットを開催し、現在まで20年以上続いています。

普及期にあたる次の10年には、2つ目の事業創発となるアロマテラピーとの出会いがありました。1996年にアロマテラピー協会を設立し、アロマテラピー資格制度を立ち上げ、プロフェッショナルな資格取得者が増えることで正しいアロマテラピーが日本の家庭に普及していきました。

2007年以降を重永氏は「社会貢献期」と位置づけ、ハーブやアロマテラピーを使って社会の課題を解決していく活動を始めています。具体的には、①教育の場で香りや植物を学ぶ「香育」と「植育」、②震災ボランティアとして被災者にアロマテラピーによる「癒やし」の提供、香りで室内・施設内の環境を良くする「アロマ環境」、③医療分野でハーブの力を活用した予防医学的な療法の取り組み―--などを進めています。

生活の木の事業創発を進めてきた重永氏は、表参道に3×3Laboのような創発拠点を持っています。「アプローチは異なっても、思いを同じくする人が集える場です。これからはそこと3×3Laboが往き来できるようにすることで、より多くの異質の人がつながり、新たなコラボレーションが生まれる、そんな環境をつくっていきたい」とまとめられました。

小林氏、竹ケ原氏、水上氏のコメントのポイントは次のとおりです。
小林氏「環境負荷をなくすだけではなく、積極的にいい環境をつくるというステージに入っていることが興味深い」。竹ケ原氏「市民権を得つつある健康経営の視点からみると、御社とコラボしたいという企業がたくさんいると感じた」。水上氏「大企業から中小企業が学ぶこともあると思うが、中小企業から大企業が学ぶことも重要」。

その後に、お二人のプレゼンテーション内容も踏まえて、塚本泰之氏(ナレッジワーカーズインスティテュード株式会社代表取締役)、 臼井清氏(セイコーエプソン株式会社)のお二人をファシリテータに迎え、大企業と中小企業がどのようなコラボレーションができるかをテーマにワークショップが開催され、大いに盛り上がりました。

参加企業、団体(50音順)
株式会社伊藤園
株式会社イトーキ
エーシーシステムサービス株式会社
鹿島建設株式会社
株式会社環境新聞社
株式会社クレアン
慶應義塾大学
佐川急便株式会社
シャープ株式会社
一般社団法人情報連携推進機構
株式会社生活の木
セイコーエプソン株式会社
西武信用金庫
ダイキン工業株式会社
大成建設株式会社
独立行政法人中小企業基盤整備機構
ナレッジワーカーズインスティテュート株式会社
株式会社日本政策投資銀行
公益社団法人日本防災協会
日本郵政株式会社
株式会社博報堂
パタゴニア日本支社
株式会社日の丸リムジン
株式会社日比谷アメニス
三菱地所株式会社
三菱電機株式会社
三菱UFJ信託銀行株式会社

環境経営サロン

環境経営の本質を企業経営者が学びあう

エコッツェリアに集う企業の経営者層が集い、環境まちづくりを支える「環境経営」について、工夫や苦労を本音で語り合い、環境・CSRを経営戦略に組み込むヒントを共有する研究会です。議論後のワイガヤも大事にしています。

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