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丸の内さえずり館「知られざる『丸の内のイチョウ』の話」  丸の内の秋を楽しむための、豆知識

クイズ:「東京都の木」って、な~んだ?

news091002_01.JPG答えはイチョウ(題名からバレバレですね)。その中でも、東京都のイチョウのシンボルともいえるイチョウ並木が、行幸通りの並木です。実は、丸の内の並木は、最近整えられた仲通りの並木以外は、ほとんどすべてがイチョウなんです。

そんな丸の内のイチョウを長年にわたって観察してきたイチョウ博士の有賀一郎さん(NPO法人自然環境復元協会、東京農業大学客員教授、樹木医学会副会長、街路樹診断協会関東支部長:写真1枚目)によるセミナー「知られざる "丸の内のイチョウ" の話」に行ってきました。

ちなみに、このセミナーが行われた、新有楽町ビル1階にあるNature Info Plaza 丸の内さえずり館では、環境保全や自然保護に関するさまざまな展示やセミナー、フィールドイベントなどが定期的に開催されています。COP10も来年に控えて、さえずり館のイベントで生物多様性について、私もどんどん勉強していきたいと思います!

さて、長さ約500mにおよび皇居と東京駅をつなぐ行幸通りは、関東大震災の復興事業の一環として大正12年(1923年)建設され、皇居への来賓の馬車送迎や皇室の日常通行・観光客の歩行などに利用されてきました。この行幸通りのイチョウ並木の足元を掘ると、江戸時代から脈々とつづく東京の歴史が現れるのだそうです。

news091002_02.JPG皇居外苑側の並木の足元からは、江戸時代に松平家の大名屋敷として利用されていた玉石が、東京駅川の並木の足元からは、震災復興事業の際に馬場先濠を埋めるために持ち込まれたレンガや瓦礫が出土。皇居外苑と東京駅の間の地点からは、ヨシやカキの貝殻を含む土壌が出土することから、馬場先堀は掘ったものではなく、江戸城築城時に、ヨシ原に入り込んだ日比谷入り江を両側から埋め立てて、澪筋を残したものだろうと推測することができるのだそうです。

さすが東京都のシンボル的なイチョウ並木。抱えている歴史が違いますね!そして、イチョウの研究から丸の内の歴史がこんなに明らかになることにも驚きます。これからは、イチョウ並木の散歩がますます味わい深く感じられそうです。

そろそろ紅葉の季節だし、きれいな行幸通りのイチョウの紅葉の散歩を楽しんだ後は、美味しい銀杏(ぎんなん)だな・・・。なんて考えていたら、有馬先生が、私の心を見透かしたように「銀杏を拾うなら、風が強く吹いた日の翌日の早朝がいいよ。他の人に拾われちゃう前に拾うんだ。」さすがイチョウ博士、イチョウのことならなんでもお詳しいですね!
「でも、行幸通りのイチョウの銀杏は粒が小さくてあんまり美味しくないよ。」・・・残念です。

みなさんも、こんな豆知識を頭の片隅に、黄色く染まったイチョウ並木を楽しむ芸術の秋もよし、丸の内の歴史を掘り下げる勉学の秋もよし、小ぶりの銀杏を拾う食欲の秋もよし、間近に迫る丸の内の秋をしっかり楽しんじゃいましょう!