過去のアーカイブ過去のニュース

江戸城を歩く!歴史好きのための、大丸有春のまち歩きガイド<後編>

5. 大手門 枡形門見学

内堀通りを北に向かうと、江戸城の表玄関・大手門が見えてきます(写真左)。大手門の前なので「大手町」という地名になりました。明治時代のことです。
今は堀の外と大手門が地続きになっていますが、江戸時代、門の手前は木の橋でした。攻め込まれたときに橋を落として防御するためです。
大手門も枡形門の構造がよく残っています。高麗門をくぐると右手に渡櫓門があります。そこをくぐると江戸城三の丸、今の皇居東御苑です。

5-2-Ote-Sannomon-Masugata.JPG先に進むと、両側に大きな石垣が組まれた場所があります。ここは大手三の門、またの名を大手下城門の跡です。今は地続きですが、往時はここに、三の丸と二の丸を隔てる堀がありました。御三家以外の大名は、その堀にかかる橋の手前で駕籠を降りなければなりませんでした。それが下城門の名で由来です。
三の門跡のすぐ奥にあるのは同心番所です。三の門を警護する同心と呼ばれる侍が詰めていました。この三の門も枡形門で、左手に曲がったところにかつては渡櫓門がありました。今は石垣がその名残をとどめています(写真右)。

*大手門写真:Creative Commons. Some rights reserved by KENPEI.

6. 百人番所、中之門前 修復展示などを見学

6-1-Naka-no-Mon.JPG三の門の渡櫓門跡を超えて左手に見える長い建物が百人番所です。ここにも家臣の旗本たちが警護のために詰めていました。
その向かいにあるのが中之門です(写真右)。ここにも渡櫓門がありました。石垣は2005年(平成17年)から2007年(平成19年)にかけて解体修理され、そのときの工事の様子が解説板に詳しく記されています。中之門を過ぎると、本丸までの道のりの最後の番所、大番所が控えています。

左に右に曲がりながら坂を登った先にあるのは、本丸への最後の門、中雀門跡です。ここもかつては渡櫓門でした。この中雀門跡の石垣は表面が黒く焼け焦げています。1863年(文久3年)の本丸御殿の火災の跡と言われています。

7. 本丸跡 松之大廊下跡、富士見櫓を経て

7-1-Honmaru-ato.JPG中雀門跡を抜けると、そこには広大な芝生が広がっています(写真右)。何か建物があったとは想像し難い緑豊かな空間ですが、江戸時代は表、中奥、大奥からなる壮大な本丸御殿がありました。表は公の政治の舞台、そこには大きな公式行事を執り行う大広間(俗に千畳敷とも)、格が高い大名が将軍と対面する白書院(対面所)などがありました。『忠臣蔵』で有名な「松の廊下」は、大広間と白書院をつなぐ、50mを超える長い廊下です。中奥では将軍がプライベートな時間を過ごし、大奥では、御台所、側室、女中たちが暮らしていました。

8. 台所前三重櫓跡 大奥跡を経て

本丸休憩所の奥には本丸展望台があります。ここにはかつて三重櫓があり、本丸御殿台所前にあったため台所前三重櫓と呼ばれていました。この展望台からは、二の丸庭園の背後にそびえ立つ大手町・丸の内の高層ビル群を一望することができます(写真8-1)。大都会と緑が織り成す光景は壮観です。

9. 天守台

9-1-Tenshu-dai.JPGようやく天守台に辿り着きました(写真9-1)。天守あってのお城と考える人も多いでしょうが、江戸城に天守があったのは徳川幕府の治世260年の中でおよそ50年。江戸城は、その歴史の大半を天守がない状態で過ごしてきました。

その間3つの天守が築造されました。最初の天守が建てられたのは1607年(慶長12年)、徳川家康の手によります。このときは本丸のほぼ中央に天守がありました。1623年(元和9年)には、本丸御殿拡張のため、二代将軍・秀忠が本丸の最北部に天守を作り替えます。三代・家光の代にも1638年(寛永15年)に天守を建て替えています。

その後1657年(明暦3年)に、明暦の大火で天守が焼け落ちます。四代将軍・家綱が天守の再建に着手しますが、会津藩主で将軍後見役でもあった保科正之の言を入れて、天守台まで作ったところで築城を中止しました。太平の世に天守は不要という訳です。そのときの天守台が、いまもその姿をとどめています。

江戸城を巡る旅、いかがでしたか?これでもまだ江戸城の全容の半分にも足りません。江戸城の広大さと、東京のまちがその上に成り立っていることを、読者の皆様にもお分かりいただけたのではないかと思います。
大都市のど真ん中に、これほど広大な歴史資産と緑を遺す東京は、実に懐の深いまちと言えるでしょう。江戸城の遺構から当時の人々の暮らしや志に思いを馳せると、ここ東京の未来をどう作っていくべきか、そのヒントに巡り会えるような気がします。

なお、「江戸城再建を目指す会」では、江戸城を歩く会を全12回開催する計画を立てています。次回予定は7月24日(土)。江戸城のことをもっと知りたくなったあなたは要チェックです。

関連ニュース