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「エコキッズ探検隊」甘い、酸っぱい、しょっぱい、苦い? ――三國シェフと楽しくお勉強

三國シェフの味覚の授業

大丸有の夏の定番『大手町・丸の内・有楽町エコキッズ探検隊 2010』。8月9日、小学生(3~6年生)を対象に、食がテーマのワークショップ「三國シェフの味覚の授業」が行われました。

人が認識する味覚には「甘味」、「酸味」、「塩味」、「苦味」、そして日本で発見された「うま味」の五味があるとされていますが、舌の上には味覚を感じる味蕾(みらい)という器官があり、8歳で目覚め、12歳でピークの4万個になるといわれています。このあとは老化する一方というから、大人は子どもにはかなわないのかもしれません。 この最も大切な8歳から12歳の間に味覚を鍛えると、脳が成長し、感性が豊かになっていきますが、感性=心が豊かということは国の繁栄にもつながるということで、フランスやイタリアでは政府のバックアップで、20年以上も前から味覚の授業を取り入れています。日本でも、丸の内で東京野菜を中心としたメニューを展開する「ミクニマルノウチ」の三國清三シェフの先導で約10年前から取り組んでいます。

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この味な〜んだ? わかるかな。

子どもたちの前に次々と運ばれてくる謎の食べ物。「これ、なんだと思う?どんな味がする?」という三國シェフの問いかけに、神妙な面持ちで味わう子どもたち。ゲーム感覚で進んでいく授業は子供たちの心をつかみ、目がランランと輝いてきます。まずはにおいを嗅いでピンと来て、なめてみれば馴染みの味だと確信するかもしれません。元気に手をあげて「砂糖!」「甘かった」などと感想が飛び交います。

用意されたのは、1.砂糖(甘味)2.酢(酸味)3.塩(塩味)4.チョコレート(苦味)5.みそスープ(うま味)の5種。このテストをすると、眠っていた味覚のDNAが目覚めるそうですが、ここまでは入門編。

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驚くべき子供の能力

第2のテストは難易度アップ。1.紫いものムース(甘味+塩味)2.キャラメル入りの求肥(塩味+苦味+甘味)3.ハスカップのゼリー(酸味+甘味)4.チョコレートケーキ(苦味+甘味)5.野菜のケーキ(うま味+塩味)の5種。 これらには様々な隠し味が使われていますが、同じものを食べて大人が気付かないことに、子どもたちはどんどん気付いていきます。「野菜のケーキなのにベーコンの味がする」「チーズも入ってる?」----口々に飛び出す意外な言葉。これには三國シェフも目を丸くして、「よくわかったね、ぜったいわからないと思った」と驚きを隠せません。

また、苦味や酸味は"毒"の味。これらを知ることは、自分の身を守ることにもつながります。傷んだ食べ物を食べたとき、毒物を食べたとき‥‥わからなかったら大変なことになりますよね。「なにかおかしい」、そう察知する能力を身につけることが重要なのです。

渋味と苦味はどう違う?

最後に行われた質問大会では、子どもたちから鋭い質問が飛んできました。 「どうして五味に"脂味"は入らないの?」 「渋味と苦味って、どう違うの?」 「水は無味っていうけど、味が違うことがあるのはどうして?」 さあ、答えられますか?子供たちというのは、大人が思っている以上に、味からいろいろなことを感じ取っているのですね。

「お母さん、明日から大変ですよ~」と三國シェフ。お子様の能力を高めるためには、五味が複雑に混ざり合った自然の味から学ばせるのがイチバンだそうです。

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授業のあとは修了証をもらってみんなで記念撮影。

引率していたお母様方からは「ふだん素材のことは気にかけていたのですが、おいしさや味のことを後回しにしていたかもしれません」などと感想をいただきました。参加した子供からは、「今日のことは一生覚えている!」(6歳)と嬉しい言葉。

mikuni100819_11.jpg 「10年前は学校単位で"食育"に取り組む前例がなく、門前払いをされていた」と三國シェフ。最近は食の大切さが注目され、PCルームに姿を変えていた家庭科室が復活したり、学校で畑をつくって野菜を収穫し、自分たちで料理して食べてみたりなど、いい方向へ向かってきているそうです。

味覚は花開いたときが出発点。脳みそでちゃんと味わって、心で感動できる食べ方をしたいものですね。三國シェフの授業を受けた子供たちの未来が楽しみです!

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