過去のアーカイブ過去のニュース

丸の内朝大学 プロデューサー古田秘馬氏インタビュー -目指すは "旅2.0" 「『ニッポン再発見の旅シリーズ』~沖縄編~」

news100927_01.jpg

丸の内朝大学 秋学期から始まる新講座
「『ニッポン再発見の旅シリーズ』第1弾~沖縄編~」。

news100927_02.jpg
古田秘馬氏

先日公開されたこの講座のカリキュラムが凄い。
琉球の伝統船サバニ体験、日本の40%以上の生物種を抱える豊かな生態系をもつ"やんばるの森"ナイトツアー、昔ながらの集落や沖縄長寿食などを地元の人たちと交流しながら体験・・・・・・。こんなにディープな沖縄ツアーは他ではちょっと体験できない!?と旅のイメージに胸を躍らせましたが、実はこの講座に込められた想いが、また深い。

この秋初登場となった「『ニッポン再発見の旅シリーズ』~沖縄編~」クラスについて、丸の内朝大学 プロデューサー古田秘馬氏に聞きました。

――まずは、この講座の内容についてお聞きしたいと思います。
そもそもの講座の目的はなんだったのでしょう?

news100927_03.jpg
セッションやセミナーを通して地元の人たちと一緒にツアーや観光について考えた

この講座は、丸の内朝大学でしか体験できない、丸の内朝大学と地元のネットワークを最大限に活かして、通常の旅行やツアーではなかなか見られないものが見られる、まだまだ知られていない深く隠された魅力を伝えたいというのが、一番の目的ですね。
学んでから旅に行く、新しい旅の提案の講座になっています。

この講座は地域プロデューサークラスに少し近いところがあるんだけど、沖縄の行政や、様々なコンテンツに関わる人たちとセッションをしながらどんなプログラムが都市生活者に喜んでもらえるのか、どんな地域の観光を目指すべきかを一緒に考えたんですよ。
今回のツアーでも行きますが国の重要文化財にもなっている泡盛の工場の人なんかも面白い人でね~。なぜここの泡盛工場は、戦争でも壊されなかったのか・・など、普通のツアーでは聞けない話が聞けます。沖縄の魅力のひとつは、「人」ですね。

――ツアー中、そういった地元の方々と触れ合う機会もあるんですか?

news100927_04.jpg
沖縄の太陽の力でパワーいっぱいに育つ島野菜 笑美さんの畑を見れば、長寿の秘訣がわかるかも!?

ありますね。地元の集落を訪れたりもするし、夜は地元の人たちと一緒に飲んだりね。
その他にも、「笑美の店」という島のおばあのお店で沖縄の伝統的な長寿料理を食べたり、島野菜が育っている畑を見させてもらったり。アリゾナ大学教授で薬用植物の世界的権威とされるアンドリュー・ワイル氏も注目して訪れている場所なんですよ。

で、今回のメインはやんばるの森(写真一枚目)。ここは、沖縄の北部の今後世界遺産にもなるだろうという場所で、日本の森林の0.5%の面積でありながら日本の約40%以上の生物種が生息しているんですよ。ここでは食材の生産者の方々から色々な食材をわけてもらって、みんなで地元の方達とも懇親しながらバーベキューをします。

――それは楽しそう(美味しそう)ですね!
(写真を見ながら)わぁ、海が青い!沖縄というとやっぱり海!って思っちゃいますが、今回のツアーでも海には入れますか?

news100927_05.jpg
海から上がった笑顔をパチリ。真ん中が村民7人の村の青年会会長のケンケン

「サバニ」という沖縄伝統の流れるようなシルエットの小型の木製の漁船に乗って海に出ますよ。海人の英知が結集された船で、6~7人でチームになって漕ぎます。
この写真の真ん中にいるのが、7人しか村民がいない村の青年会会長のケンケン。その村には青年がひとりしかいないから自動的に会長 (笑)。ケンケンは、やんばるの森のナイトツアーをナビゲートしてくれます。天然記念物のヤンバルクイナと満天の星を探しに行くツアーです。普段はヤンバルクイナに遇える機会はほとんど無いといわれていますが、ぼくたちには、スペシャルナビゲーターがいます。

――しかし、数ある地域の中から、なぜ今回はこの場所を選ばれたのでしょう?

沖縄のビーチはもちろん素晴らしいけど、沖縄の素晴らしさはビーチだけじゃない。美しいビーチをつくってるのは、実は森なんだよね。沖縄の自然の多様性や琉球の文化が入り混じったリアルな沖縄を見てほしいなと。

――プログラムを見ていると、すごくお得感がある気がしますね(笑)

いや~、お得だと思いますよ(笑)

news100927_06.jpg

――会津の地域プロデューサークラスの講師陣も当日参加されるんですよね。今回のプログラムづくりを通して、地域の方々と地域の観光について深く話をされていたのが印象的でした

実際のところ、地域内でも市やエリアが分かれていると一緒に何かを考えたり、アクションを起こしたりするのは難しいんですよ。しかし、そこを連携させないと変われない。でも、これまでの慣習や形式があって当事者たちはなかなかそれができないわけです。そこに僕たち第三者が行くことで壁を取り去り「一緒にやりましょうよ」と言えるようになるんです。

今の日本と中国の衝突問題にしても、アメリカが介入して「仲良くやってよ」って言ってるわけでしょう?それと同じだと思うんだけど、直接当人同士だとライバルになっちゃうんだよね。僕たちは、丸の内朝大学として、ただ旅をするのではなくて、旅を通して新しい地域との関係性をつくるような第三者だからできる地域活性をやりたいな、と。地域プロデューサークラスより少し気を抜いたかたちでね。

――現代は安く気軽に海外へも行けてしまうし、なかなか国内旅行へ目が向かなかったりしますが、最近の国内観光地の状況についてはどうお考えですか?

news100927_07.jpg
朝大学卒業生の海ぶどうの生産者をたずねます

沖縄にはすでに毎年観光客が大勢訪れているけど、そろそろ新しい観光客との付き合い方を考えていかないといけないよね。今は「アジアからの観光客をとるぞ」なんていっていますが、先日のようにちょっと中国との関係が悪くなったら* 1万人のキャンセルが出たりしてる。
* 2010年9月25日 沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺海域で起きた漁船衝突事件による日中間対立

20年前にやったビジネスが今の日本人には通用しないからアジアの人向けにやりましょう、というわけですよね。それが悪いとは言わない。でも、20年後にアジアの人たちが「そういう旅はもういいよ」って言い始めたらどうするの?と。今だけを見たら海外に持っていった方が早いことはたくさんありますよ。工場でもなんでも。でもそれをやってて首が絞まるのは自分たちだから。

――理想的な都市と地方の関係、都市から行く観光客と地元の人の関係とはどういうものだと思いますか?

news100927_08.jpg
もちろん沖縄ののんびりした雰囲気も味わって

グリーンツーリズムもアグリツーリズムも、受け入れる側と行く側はやっぱり別れているわけじゃない?最近僕たちが提唱している"プロデュースツーリズム"は、ウェブ2.0じゃないんだけど、"旅2.0"という感じで、その地域に自分たちも関わっていく。そうすると「ホテルのサービス良くないよね」じゃなくて「ホテルのサービスはこうしたらもっと良くなる」というアイディアになる。そこがひとつポイントなんじゃないかな。観光客にいかに関わってもらうか、観光客と地元の人が、親戚の様な関係をつくっていく。

観光客側も、都市の目線で、たとえば丸の内でやっている先進的な取り組みを話しても、地域の人からすると「素晴らしいですね」で終わってしまい伝わらない。
我々がやりたいのは自慢をしたいのではなくて地域を本気で元気にすることなんです。だから、地方で実現できるかを地域の経済性も含めた具体的な企画を提案できるプロデューサー力を磨かなければならなければならない。

『ニッポン再発見の旅シリーズ』や地域プロデューサークラスは、都市生活者だからこそできるそういう視点や力を育てる講座にしていきたいですね。

――ありがとうございました

『ニッポン再発見の旅シリーズ』第1弾~沖縄編~には、まだ若干の空席があるそう。
ディープな沖縄を体験したいアナタ、地域や観光について真剣に考えたいアナタ、ちょっと面白い旅行に行きたいアナタ・・・・・・、お申し込みは今のうちですよ!

関連ニュース