日本の書画、中国・日本の陶磁器など東洋古美術を中心に展覧会を行っている出光美術館のシリーズ「やきものに親しむ」も第8回。11月13日から始まる今回の展示は「茶陶の道」と題して福建から日本へともたらされた茶器などの名作を展示します。
茶道で「唐物」と呼ばれる格調高い器は、海のシルクロードを通って中国から宗教などと共にもたらされ、神社仏閣や大名などに茶器として用いられながら現代に伝わりました。
特に、中国の福建省では、南宋時代以降、その地で発達した天目をはじめ、珠光青磁・徳化窯・華南三彩・黒褐陶器・呉州赤絵などの福建陶磁が輸出され、日本に盛んにもたらされました。それらは多くの茶の湯の陶磁器を含んでおり、福建から日本への海路は"茶陶の道"でもあったのです。今回の展覧会では、唐物茶陶を主体とする出光コレクションの福建陶磁に、ともに運ばれた龍泉や景徳鎮などの作品を加えて、130件展示されます。
会期前半(11月13日~12月5日)には、大阪東洋陶磁美術館の協力により、国宝油滴天目茶碗が出品されます。
この器は福建省から日本へと渡った後、豊臣秀次-西本願寺-北三井家-若狭酒井家と所有者が変わりました。国宝となる名器がたどった足取りが語る歴史のロマンに耳を傾けてみるのも楽しみの一つになるのではないでしょうか。
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出光美術館