過去のアーカイブ過去のニュース

【丸の外NEWS】目黒に「天空の庭」が出現(予定)! 大橋"グリーン"ジャンクションの建設現場を訪問してみた

junction01.jpg

ここはローマのコロッセオ!?

いえいえ、この建物は2010年3月に一部開通した*「大橋ジャンクション」。国道246号上を通過する高架構造の首都高速3号渋谷線と、山手通りの地下を走る高速中央環状線を接続し、両路線のすべての方向に乗り入れができるジャンクションです。
* 2010年3月、中央環状線大橋JCT-西新宿JCT間開通により部分的に供用を開始。残る大井JCT-大橋JCT間は2013年度の開通に向けて建設が進められている

2路線の高低差・最大約70mを都市の限られた用地内で連結するために一集約400mのループを2周する螺旋状の連結路が4層に積み重なったこのジャンクションの全長は、ローマのコロッセオとほぼ同じ!見た目もなんだか似ていますね。

コンクリートがあらわになった建設途中の様子はなかなかの迫力で、一見自然環境やエコとは遠い印象ですが、実はこのジャンクションは、環境や地域共生へ取り組む「"グリーン"ジャンクション」なんです。

今回は、エコッツェリア協会および大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり懇談会会員を対象に行われた大橋ジャンクションの見学会から、その建設現場の様子と環境への取り組みについてお届けします!

○二酸化炭素(CO2)排出削減

junction_02.jpg
工事現場の様子

慢性的な渋滞に悩む都心環状線。実は、都心環状線を利用する車の約6割は、都心環状線の沿道に用の無い"通過するだけの車"だそう。東名、中央、関越、東北道など放射方向の高速道路が整備される一方で、環状方向の高速道路の整備は遅れたのが原因とされています。
大橋ジャンクションの開通は、通過するだけの車をバイパスさせることで、開通前と比較して、東京線におけるピーク時(平日11時台)の渋滞が約3割減少、年間約3万4千トンの二酸化炭素排出削減につながる予定。これは、代々木公園約60個分の照葉樹林が年間に吸収する量に相当するというから、驚きです。

○公害対策

junction_03.jpg
右側の建物が換気所。左側の建物は解体され広場になる予定

ジャンクション建設において取りざたされることが多いのが、騒音と大気汚染問題。大橋ジャンクションでは騒音対策として、高架部の下面に裏面吸音板を設置したり、高架部に窒素酸化物などの大気汚染物質を分解する光触媒塗装を実装するなどの対策がされています。

なかでも、大橋ジャンクションの特徴は、"覆蓋化"と"換気所"です。
ジャンクションのループ部と渋谷線に接続する高架部の一部を覆蓋化されることで、大気汚染や交通騒音などの周辺環境への影響を低減しています。
換気所には低濃度脱硝設備を設置し、換気等からの排気ガスによる環境負荷を低減。低濃度脱硝設備は中央環状新宿線の全換気所に導入しており、これにより日平均値で、二酸化窒素(NO2)を90%以上、浮遊粒子状物質(SPM)を80%以上除去します。また、この換気所内の床面やトンネル壁面に低揮発性有機化合物(VOC)塗装を採用し、光化学スモッグの発生原因のひとつであるVOCの排出を削減しています。

覆蓋化されてできた屋上スペースと換気所の屋上は、地域に根ざした緑化スペースに生まれ変わるそう。緑化については、次の項で詳しく見てみましょう。

○「目黒天空の庭」とエコロジカル・ネットワーク

junction_04.jpg
目黒天空の庭が整備される予定の斜面

大橋ジャンクション屋上は、全国初の試みで、区と連携した公園整備が行われています。「目黒天空の庭」をコンセプトとした「人と自然が共生でき、地域の人々だけでなく、日本全国や世界に日本文化を発信できるよう四季折々の自然や輪の文化が楽しめる回遊式の公園」ということで、輪状で傾斜のある立地を生かして変化に富んだ公園が計画されています。訪れた時期には、まだ公園の整備は始まっていませんでしたが、予定地の広々としたスペースと大きく開けた空に期待が高まります!

junction_map.gif
エコロジカル・ネットワークが形成されるエリア

また、換気所の屋上には、かつての目黒川周辺の原風景をモデルとした自然再生緑地が創出されます。大橋ジャンクション周辺には、河岸緑化された目黒川が隣接して流れるほか、公園や学校施設などの緑地が点在しており、大橋ジャンクションが大規模緑化されることで、代々木公園・駒場公園近辺の緑地帯と中目黒公園近辺の緑地帯が中継され、都内に大きなエコロジカル・ネットワークが形成されることにつながります。大丸有(大手町・丸の内・有楽町)までこのネットワークがつながる日が来るといいですね!

junction_05.jpg
隣接する目黒川の緑と馴染んでいくのが楽しみです

そのほかにも、ジャンクションの外側はオオイタビなどのツル科の植物で緑化され、ジャンクション内側の広場では地域のお祭りや催しなどの開催が予定されるなど、地域の人と景観にも馴染む工夫がなされています。

通過するだけでは終わらない、この大橋ジャンクション。首都高の新たな取り組みとして、大規模な屋上緑化の事例として、インフラを活用した新たなまちづくりの事例として、2012年度の公園オープン、2013年度の全線開通に注目です!

大橋ジャンクション概要

junction_06.jpg
見学会に参加された、エコッツェリア協会および大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり懇談会会員のみなさん

位置: 目黒区大橋一丁目
延長: 約1.2km
設計速度: 40km/h
勾配: 最急縦断勾配7%、横断勾配5~10%
規模等: 一周約400m、地下約36m、地上約35m、ジャンクション敷地面積約25,000㎡

大橋ジャンクション概要 | 東京SMOOTH