過去のアーカイブ過去のニュース

【丸の外NEWS】新しい「まちづくり」と「エコ」~その1 広島編

路面電車5100

広島といえば、
広島城。お好み焼き。原爆ドーム。広島カープ。もみじまんじゅう。

色々と思い浮かびますが、今の広島は、エコとまちの再開発に取り組んでいます。
その現状を、みてきました。

まずは、路面電車
エコにつながる公共交通として、最近、その役割が再評価されてきていますね。広島でも、レトロな車両に加えて、新型車両が走っています。1999年に導入された「5000形」はドイツ製でしたが、その後、国産の超低床車両の開発の機運が高まり、最新の「5100形」は、2005年にデビューしました。乗客数の多い「1号線」で、新型車両を導入していました。

新市民球場

次に、野球の広島東洋カープに関連して。
カープの本拠地、広島市民球場は、2009年から、駅東側の新球場に移りました。
新しい球場は、広島駅から歩いて10分という好立地。もとは、JRの操車場だったところです。外からも中の様子がみられるようにしたり、周囲に商業施設を誘致したりと、新しいにぎわいづくりに取り組んでいるところです。
広島に拠点を置く自動車メーカー「マツダ」が命名権を購入し「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」と呼ばれています。
近くには、ローソンなのに外装はカープのイメージからの赤一色、という店舗も見られます。
球場の運営には三井物産が参画し、商品開発やサービス開発などで、ユニークなものをどんどん取り入れていますね。
周囲の再開発は、2008年秋からの不況のあおりを受けて、着工時期が不透明となっていましたが、民間事業体による計画書が新たに市に提出され、一歩進んだ様子です。

旧市民球場

一方の、旧球場は...
2010年の9月に閉鎖されて以降、現在は入れなくなっており、この日は照明を取り外す作業中でした。球場内の観客ベンチは一部取り外されています。これは、10月に開催されたオークションの商品として出されて、ファンなどに引き取られていったとか。
広島市はこのエリアを、にぎわいのある市民公園にする計画としています。中心を市民広場とし、当初はすべて取り壊す予定だった球場施設も、ライトスタンドの一部を、メモリアルエリアとして残します。この場所の歴史を共有するために、そのよすがを残して市民で活用する。実はこの視点こそ、過去と未来をいまでつなぐための、大きなポイントかもしれません。
さらに、周囲の施設も、市民公園化にあわせて移転します。 その理由とは。 実は、この近くに原爆ドームがあるのですが、原爆ドームや原爆死没者慰霊碑を南側から眺めると、左奥に、商工会議所のビルが大きくかかって、景観的に好ましくないのだとか。そこで商工会議所が負担して、公園の東側にビルを移転します。また、地権を持っている民間企業が主体となって、観光案内の機能を持った飲食・物販設備を整備することも検討中だとか。行政だけでなく、この場所の価値をより高めるために、さまざまな団体が市民のにぎわいと歴史的景観を、守り、つくり出していく事例といえますね。

元安川カフェ

京橋川カフェ

シャレオ.

にぎわいづくりといえば、さらなる工夫も。
原爆ドームをのぞむ元安川のほとりに、宮島へ行く船の波止場がありますが、この近くに、おしゃれなカフェ「カフェ・ポンテ」があります。
水辺の利活用として、ここ以外の京橋川沿いにも、リバーサイドカフェがつくられています。
国による「河川利用の特例措置」を活用し、「水の都ひろしま推進協議会」が、広島市から使用許可を受け、場所を活用する提案をした民間団体が審査に通ると、営業ができるというもの。
営業は最長6年間で、3年目に中間チェックが入ります。制度はまだ熟度が進んでいないようですが、川が多い広島。以前は舟運も発達していたまちとして、水辺をもっと生活に近づけよう、という努力がみられます。秋は川沿いの紅葉、12月はイルミネーション、春は花などが、川沿いを散策したり、対岸から眺めても楽しめる、よいスポットとなっているようです。

さて、目を転じて、繁華街「紙屋町」の周囲の地下街へ行ってみましょう。
ここには、2001年に「シャレオ」という地下街が登場しました。
南北約225M、東西約390M、店舗面積 約7,120平米に、ファッションや雑貨、カフェやレストランなど77の店舗(2010年12月8日現在)が並びます。クロスする、「紙屋町」交差点の真下は、まあるい広場になっており、休憩場や、マルシェのようなショップがにぎわいをつくっています。
実はこの南北の通りの上は、国道54号。この国道の再整備の機会に、東西に走る県道も一体整備し、地下街をつくった、というわけなのです。
実はこれだけではありません。紙屋町は繁華街であり、自動車もバスも市電も走る、渋滞の名所。そこで、新交通システム「アストラム」を、この地下街の下に整備しているのです。どうせ再整備で道路を地下まで掘るのなら、より深く掘って、渋滞解消の新交通システムと、にぎわいづくりの地下街を、一緒につくってしまおう。こんな発想で、市の繁華街がうまれかわったんですね。まちづくりにおける「エコ発想」かもしれません。

hiroshima_07.JPG

交通関係でいえば、ホテルなどを活用した、レンタサイクルが整備されています。これは、2009年秋に行われたコミュニティサイクルの社会実験を受けてのもの。
広島市内はわりと平坦なため、電動アシスト付き自転車があると、広い範囲で気軽に観光も楽しめます。広く観光客が訪れ、外国人は夏を中心に、かなりの数の来訪があるとか。1日1000円で借りられ、市内中心部4箇所のホテルにあるステーションならどこでも返せるという気軽さで、稼働率も採算ベースに乗ってきているとか。
ステーションとして指定されているホテルでは、通常よりも安く自転車が借りられるレンタサイクルサイクル付き宿泊プランを設定し、こちらも稼働率向上につながっていました。
路面電車によるエコに加え、観光客の移動性も尊重したレンタサイクルで、環境交通が着実に進化しています。。

さらに、広島駅周辺でも、南側、北側と両方で、再開発が進んでいます。
南側は、商業施設を街区で再整備するもの。北側は、JR西日本の鉄道関係跡地を利用するもの。 広島のまちの姿が、着実に進化してきています。歴史とにぎわいと、そしてエコと。そんなまちづくりが広島で進むことを、強く願っています。

さて、願いながらもやはり、広島名物のお好み焼きを。
今回は、駅ビルの「みっちゃん」にて、スペシャル・そば入りを。
やはり、名物も一緒に楽しんでこそ、地域をちゃんと知ることができるのだな、と、お好み焼きをかみしめながら、感じておりました。

次回は、北九州です。お楽しみに!