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【丸の外NEWS】 銀座の地上31mで地球を感じる!? 銀座三越『銀座テラス』大人気の秘訣

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老舗や高級ブランド店が立ち並ぶ、華やかで洗練されたまち、銀座。その中心地に店を構えて80年となる銀座三越が、2010年9月に増床オープンして生まれ変わりました。
その9階『銀座テラス』が、昼間は親子連れ、夜はおしゃれな大人たちの憩いのスペースとして、連日大賑わいを見せている。そんな噂を聞きつけて、その人気の秘訣を探りに行ってきました。

キーワードは "グリーン" "安心・安全な食" "子ども"......?大丸有(大手町・丸の内・有楽町)のエコなまちメディアとしても見逃せないキーワードが並んでいます。早速詳しく見てみましょう!

グリーン

銀座三越9階 銀座テラスの地上31m、約3,000㎡の空間の半分を超える1,600㎡は屋外スペースの『テラスガーデン』。"ガーデン"という言葉を名に持つとおり、銀座テラスの鍵はテラスガーデンが握っているといっても過言でないでしょう。

テラスに出ると目の前に広がるのは大きな芝生広場。この広場の芝生の縁は弧を描き微妙な勾配がついています。
「丸い地球の一部が見えているような空間をつくりたかったんです。銀座の地上31mに出現した、いわば第二のグランドレベルです」
(設計を担当した鹿島建設株式会社 建築設計本部 坂本弘之さん)
この勾配や芝生の中に置かれた飛び石を利用して、子どもたちが楽しそうに遊んでいる姿が印象的でした。

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屋上農園『テラスファーム』(一般には公開されていません)

この銀座テラスを始め全館で、3カ所に合計360㎡のソーラーパネルが設置されています。最大約50kW(エレベーター3基を運転するのと同程度)の発電が可能です。屋内空間に設置されたモニターには太陽光発電システムによる発電量などがわかりやすく表示してあり、待ち合わせ時や屋内のレストランでの食事中にはついついチェックしてしまいそう。
屋内と屋外は大きなガラスの壁で区切られているので、屋内からも太陽の様子や芝生のグリーン、開放的な空間が体感できます。ガラス壁の外のテラス席は、屋内の様子も屋外の様子も楽しめる特等席です。

また、この屋外スペースには農園『テラスファーム』が設けられています。ここでは、キャベツ、カブ、ブロッコリー、水菜、ニンジン、大根など、さまざまな種類の野菜を、京橋築地小学校の4年生の子どもたちと一緒に育てています。店舗から出た生ゴミは、生ゴミ処理機で肥料に加工してリサイクル利用しているそうです。

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京橋築地小学校の子どもたちとの農作業の様子

「現在の農園部分も、緑化スペースにしてしまうという案もあったんです。しかし、お子様に対して何か教育ができるような場や地域の人が携われる場所のある"新しい百貨店像"をと考え、農園スペースを設けました。

たくさんの種類の野菜を育てていると、順調に育つものもあれば、うまく育たないものもあります。環境や天候によって、育つもの・育たないものがあるということを知るというのも、食育の一環になるのではないかと思っています。『これ、僕が育てたんだよ!』と、親御さんとの話が弾むコミュニケーションツールにもなってくれると嬉しいですね」
(株式会社 三越 銀座店 営業統括部 雨宮 寿和さん)

安心・安全な食

屋内に移動すると、暖かい雰囲気のカフェとレストランから楽しそうな声が聞こえてきます。JA全農が手がける(企画・運営:カフェ・カンパニー株式会社)『みのりカフェ』と『みのる食堂』です。"収穫の実りや恵みの喜びを味わう"をテーマにしたこのカフェとレストランでは、安心・安全な旬の食材が美味しく楽しめるとあって、お子様連れや健康を気遣うみなさんで賑わっています。調味料の一部を除いて、ほぼすべての食材に東京近郊を中心とした国産のものを使用するというこだわりようです。

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オープンな雰囲気で居心地がよい『みのる食堂』

「JA全農さんが、新しいプロジェクトをカフェ・カンパニーさんと共につくりあげようとしている姿勢が、増床を期に新しい百貨店像を目指す三越と重なる部分があり、一緒にやりたいと思いました。また、お子様にも優しい店舗フロアと食育に取り組んでいきたいという思いからも、近郊で採れた野菜を美味しく安全な形でメニューとして提供するカフェとレストランという、JA全農さんの提案は魅力的でした」
(株式会社 三越 銀座店 リモデル推進事務局 片桐 英樹さん)

「我々が取り組んでいることは新たな飲食業態への挑戦だと思っています。現在、外食産業全体で使われている食材の8割近くが輸入品です。それが、日本の食料自給率約40%という現状にもつながっています。

みのりカフェとみのる食堂では、西東京市の17件の農家からなる組合から、季節の野菜を毎日仕入れています。促成・抑制をしない旬の野菜は、栄養価が高いだけでなく、ハウス資材や加温のための重油など生産時のコストやCO2排出量を削減することにもなるんですよ。もちろん、近隣で採れた野菜を使えばフード・マイレージも抑えられます。

私たちは、国産原材料にこだわるのはもちろんですが、より近郊で採れるものを、相場が割安で一番美味しい旬の時期に、素材を活かしたメニューで提供する、というお店のスタイルを皆さんにアピールしていきたいと考えています。」
(JA全農 営業販売企画部 MINORI MINORU PROJECT 小里 司さん)

カフェでは、旬の野菜を使ったジェラートが人気のよう。銀座テラスのオープンスペースでジェラートを楽しむ方々が多く見られました。メニューにあったルッコラのジェラートを食べてみたところ、ルッコラの癖がそのまま生かされた不思議なジェラートでした。かなり苦かったです......。
* 季節限定メニューのため、現在ルッコラのジェラートは販売されていません

「ルッコラのジェラートは、通好みかもしれませんね(笑)。人気があるのは、今の時期はカラメルりんごやいちごなどです。みのる食堂では、バーニャカウダや、ごろっと野菜と熟成ベーコンのことこと煮など、素材の味がストレートに味わえるものをぜひ食べていただきたいですね。もちろん、ベーコンやハンバーグの肉などにも国産の美味しいものを使っているので、男性にもご満足いただけると思います」
(カフェ・カンパニー株式会社 社長室 伊原 志津子さん)

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左)ルッコラのジェラートは苦うま!? 、右)野菜も肉も味わい深い、人気メニューの『ごろっと野菜と熟成ベーコンのことこと煮』

子ども

そして、私が個人的に一番驚いたのは、ゆったりとしたレストスペース(なんと134席分!)とお子様連れに優しい施設の充実度です。

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広々としたオムツ交換室は赤ちゃん連れの力強い味方!

「今回、銀座三越をリモデルするにあたっては、2年間かけてマーケティング調査を実施してお客様の声を集めました。その結果集まってきた声は『休む場所がない、くつろげる場所がない』というものでした。銀座にはたくさんカフェなどがあるにも関わらず、です。お子様連れの方々にとっては、ベビーカーでの移動のしやすさや、おむつ交換ができるスペース、授乳室やトイレの広さなどが重要なんですね。調査によって、そのような面でお子様連れにとっては便利でない銀座のまちの姿が浮かび上がってきました。

今回私たちはそれを全部解決しようと思い、お子様連れのママたちにとっても優しいお店にするために、親子休憩室、授乳室、オムツ交換室、託児所(有料)のためにゆったりとスペースを使いました」
(株式会社 三越 銀座店 リモデル推進事務局 片桐 英樹さん)

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左)株式会社 三越 銀座店 リモデル推進事務局 片桐 英樹さん、右)株式会社 三越 銀座店 営業統括部 雨宮 寿和さん

買物の合間などに親子で気兼ねなく休憩できる親子休憩室や、当然のようにオムツ換え台が完備されている広々としたトイレなど、お子様連れが安心して利用できる設備が徹底的に考えられています。先に紹介した芝生の広場やカフェ、レストランとあわせて利用すれば、お子様連れのみなさんも怖いものなしですね。

このほか、銀座テラス以外のフロアでは、車いすの利用者や高齢者も使いやすいユニバーサルフィッティングルームやスロープの設置などのバリアフリー化にも注力されており、東京の一等地での思い切った空間の使い方に銀座三越の"本気"が伺えます。

"銀座に来られる方の「マイデパートメントストア」でありたい。"

ネット通販やファストファッションが猛威を振るい百貨店には厳しい市況のなか、あくまで丁寧に顧客と向き合い、消費されない価値を追及した銀座三越の増床リニューアル。銀座三越が投じたこの一石。百貨店業界に、ひいては小売業界にどのような影響を与えるのか注目です。

・・・・・・なんて小難しいことを考えなくても、お子様連れのみなさんは銀座テラスの便利さを一度体験してみては?未婚の方々は、夜の時間帯に夜景と芝生のグリーンを眺めながら、みのりカフェで買ったコーヒーとスイーツでデートをするのが個人的なオススメです!

銀座三越

news101220_05.jpg 所在地 : 104-8212 東京都中央区銀座4-6-16
営業時間 : 午前10時~午後8時
11階・12階のレストラン : 午前11時~午後11時
1階・2階 カフェ/9階 銀座テラス : 午前10時~午後11時(一部施設を除く)
電話 : 03(3562)1111(大代表)

みのりカフェ、みのる食堂
所在地 : 銀座三越9階
座席数 : みのりカフェ28席、みのる食堂80席
喫煙 : 不可
営業時間 : みのりカフェ 午前10時~午後11時、みのる食堂 午前11時~午後11時
ラストオーダー : 午後10時

鹿島建設株式会社
JA全農(全国農業協同組合連合会)
カフェ・カンパニー株式会社