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時代は「CSR」から「CSV」へ?!「What's CSV? カンファレンス」レポート

これからの時代のキーワード「CSV」とは?

「CSV」という言葉をご存知ですか?
「Creating Shared Value(共通価値の創造)」の略語で、マイケル・ポーターが「CSR(企業の社会的責任)」の次なるキーワードとして提唱している言葉です。マイケル・ポーターと言えば、『競争の戦略』などの著書で知られる経営戦略の第一人者。「CSV」は、これからの時代のキーワードとなることは間違いなさそうです。

csv_top.jpg 11月18日(金)に開催された「What's CSV? カンファレンス」は、そんな新しい概念「CSV」について、参加者全員で考えよう、という趣旨で企画されたイベント。CSVを実践しているゲストを招き、「企業(コーポレート)」と「起業(アントレプレナー)」に分かれたトークセッション、およびワークショップを三菱ビル カンファレンススクエア エムプラスにて行いました。
今日は当日の様子を、ダイジェストでお届けします。

(こちらの記事はgreenz.jpの記事を再編集し、掲載したものです)

"課題の共有"から"価値観の創造"がはじまる

【企業(コーポレート)セッション】

木村麻紀さん(雑誌オルタナ
北島昇さん(ガリバーインターナショナル
岡田誠さん(富士通研究所
篠原道雄さん(本田技研工業

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企業(コーポレート)セッションでは、4人が登壇。雑誌オルタナは、CSRの特集においてポーターの考え方を伝えたメディアとしての立場、ガリバーインターナショナル、富士通研究所、本田技研工業は、それぞれCSVに取り組む企業としてセッションに参加しました。

まずは、各企業の取り組みに関するプレゼンテーションからトークはスタートしました。ガリバーインターナショナルは、震災後、被災地に1,000台の車を届けることを決め、届け先について一般の方々から意見を募った事例を披露。一方で本田技研工業は、インターナビのフローティングデータ(インターナビを搭載した自動車の走行データ)を用いた通行マップを震災の3日後に公開した事例と共に、60年代から排ガスの少ない自動車の生産にいち早く取り組んで来た歴史を語りました。富士通研究所は、未来のステークホルダーで話し合う場「フューチャーセンター」を活用してCSVに取り組んでおり、その事例として認知症への取り組みを紹介しました。

それぞれの立場を理解した上で、その後のトークでは、「次に取り組むべき課題」や「CSVを実践していくために必要なこと」などについて話し合われました。「もともと日本の会社というのはCSV的発想でやってきているのではないか」、「CSI(Creating Social Issue)のほうが、その課題に対してどのような貢献ができるのかわかりやすくなるんじゃないか」など様々な意見が飛び交う中、その場から生まれてきたのは「共通の課題認識から始めることが大事」という考え方。

オルタナの木村氏は最後に、「CSVの原点となる「課題を見つけていくこと」を通り越さなくてはCSVを語るべきではないということを確認できたんじゃないか。課題を発見するというプロセスは一人一人が当事者となって参加できるプロセスで、それが組織の中で出来る時代が来ている。いま、若い世代のビジネスパーソンは社会貢献意識を持っている方が増えているが、そういった課題を発見することを大切にする風土のある組織じゃないと、意識の高い若い人を受け入れることができない。それが競争力につながっていく、そんな時代のスターティングポイントに立ったのかな、と強く思いました」とまとめました。


※企業(コーポレート)セッションの詳細はgreenz.jpの記事をご覧ください。
"課題の共有"から"共通価値の創造"がはじまる―「What's CSV? カンファレンス」企業(コーポレート)セッション

"自分ごと"から始まった起業が"共通価値"をつくる

【起業(アントレプレナー)セッション】
太田睦さん(株式会社ギフティ
石橋秀一さん(株式会社sassor
森本宏美さん(Tie for change

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一方の起業(アントレプレナー)セッションは、ここ数年で起業、またはプロジェクトを立ち上げたばかりのフレッシュな3名が登壇。まずは、それぞれのプロフィール紹介からトークはスタートしました。

太田さんは、「カジュアルにギフトを贈る習慣や文化を広げたい」という思いから、TwitterやFacebookで簡単に小さなギフトを贈ることができるサービス「giftee」を運営しています。石橋さんは、家庭の消費電力を電気機器単位で見える化する「Energy Literacy Platform(ELP)」を手掛けており、今年6月に発売した『ELP Lite』は予約で完売となるなど、好調なスタートを切った様子。一方で森本さんは、教師という本業の傍ら、使われなくなったネクタイを回収し、リメイクなどを施してイベントで販売する「Tie for change」の代表として活動しています。

そんな彼らを交えたセッションは、CSVをめぐる8つキーワードから参加者が選んで登壇者が語る「曼荼羅トーク」と言う形式を取りました。選ばれたのは、「n足のわらじ」「キッカケ」「with 企業」などの言葉。三者三様、そえぞれの経験と考えを伝えましたが、強く感じられたのは彼らが自然体であること。形式にこだわらず、経験から芽生えた問題意識や不都合に感じる"自分ごと"の課題から、自然に起業やプロジェクト立ち上げに至り、それが大企業も含めた周囲の人々の強い共感を集めているのです。

最後に、MCを務めたgreenz.jpの小野氏は、「みなさん自分ごとから始まり、起業に自然に結び付いて、みんなの共感をよんでいるというのがベースにあるので、自然に、「CSV」と社会的にラベリングされていることにつながって行っているんじゃないかな、と思います。それに、3人とも常に楽しそうで気持ちいいな、と。「アントレプレナー」という括りよりも、自分にとって気持ちいいことをすることが、地球の裏側にもっと良い効果をもたらすような、そんな創造性を持ったことをやっていくだけで良いんじゃないかな、と思いました」とまとめ、セッションは終了しました。

※起業(アントレプレナー)セッションの詳細はgreenz.jpの記事をご覧ください。
"自分ごと"から始まった起業が"共通価値"をつくる―「What's CSV? カンファレンス」起業(アントレプレナー)セッション

CSVを通じて、ビジネスと社会的課題の距離が縮まっている

csv_share.jpg各セッションの後は、同時進行で行われた両セッションの参加者が感想をシェアする時間が設けられました。会場内では、それぞれのセッションから得た気付きを語り合いう参加者たちで溢れ、活気を帯びたまま、イベントは終了となりました。

「CSV」は新しい概念で、実は登壇者の中にも、この言葉を知らなかった方もいました。しかし、CSVを通じて、起業(アントレプレナー)と企業(コーポレート)、どちらからもビジネスと社会的課題の距離が縮まってきていることが感じられました。起業(アントレプレナー)と企業(コーポレート)が混じり合う今回のイベントのようなことが、今まさに社会で起こりつつあるのです。

『What's CSV? カンファレンス』は、世界中の若手起業家が交流する1週間Global Entrepreneur Weekの一環として、ブリティッシュ・カウンシル主催、グリーンズ企画、本田財団後援で、三菱ビル カンファレンススクエア エムプラスにて開催されたイベントです。