過去のアーカイブ過去のニュース

ごみが世界を救う?!「日本のごみ」を「日本の財産」へ−『活かそう資源プロジェクト』がキックオフ

shigen_1.jpgペットボトルなど資源ゴミをはじめとするゴミの分別回収は、日常生活のなかでもはや当たり前となりましたが、実はその先はどのように資源として活用されているのかご存知ですか?例えば、PET樹脂。日本の高い環境技術により再生素材として世界トップクラスの品質であるにも関わらず、国内循環使用量は半分以下にとどまるのだそう。この現状を打破しようと、環境省が旗ふり役となり、「活かそう資源プロジェクト」が3月21日にスタートしました。

shigen_1_3.jpg「活かそう資源プロジェクト」は、小資源国である日本のサステイナブルな発展のために、循環資源の国内活用推進を目的とし、優良産廃処理業者の効果的な情報発信(「優良さんぱいナビ」の構築・運用)、ビジネスマッチングを促進する排出事業者と優良産廃処理業者のコンソーシアム形成、企業や国民の正しい理解を促すプロモーションを3つの大きな柱として展開されます。

3月27日、キックオフ記念ミーティングがエコッツェリアで開催されました。(写真右は、冒頭あいさつの横光克彦環境副大臣)
活かそう資源プロジェクト

トップランナーに学ぶ、先進事例紹介

shigen_1_2.jpg「PPP原則(Polluter-Pays Principle、汚染者負担原則)が行き詰まりにより、OECDはEPR(Extended Producer Responsibility、拡大生産者責任)を打ち出しました。日本政府も2004年G8サミットで3Rイニシアティブを提唱しています。今日は、ゴミをゼロにする循環型社会のために、自分たちになにができるのかを考える場にしたい」との進行役の鳥取環境大学田中勝氏とのコメントに受け、まずは5つの先進事例が各団体より紹介されました。

商品から商品へ。「資源循環商品」発売開始

ーパナソニック株式会社環境本部 増井基秀氏

shigen_2.jpg「パナソニックが考える循環型の物づくりの中心となるコンセプトは、商品から商品へ。使い終わった商品を回収、資源を取り出し、新しい商品を作ります。最新の技術を使えば、使い終わった商品のほとんどリサイクルできる。2001年4月兵庫県加東市にオープンしたエコテクノロジーセンターを中心とし、リサイクルの現場である工場からのフィードバックを商品開発にも活かしています。その一つの成果として、2月20日より冷蔵庫、洗濯乾燥機など資源循環商品の発売を順次スタートしました。循環型の物づくりをパナソニックの使命の一つと考え、今後多くの商品に広げていきたい」
パナソニック「資源循環商品」シリーズ

主力のブレンディボトルコーヒー全商品でフレンドリーペットボトルを採用

ー味の素ゼネラルフーヅ株式会社リキッドコーヒー事業部 島本憲仁氏

shigen_3.jpg「今年2月に、主力のブレンディボトルコーヒー全商品でフレンドリーペットボトルを採用しました。ペットボトル to ペットボトルという究極のリサイクル。この技術は、PET樹脂の軽量化に3年前に限界を感じ、東洋製罐(とうようせいかん)さんに開発を依頼しました。現状は年間2.5億本のうちの70%ですが、今年9月には全量をまかなえる見込みです。150円程度の単価で感覚的に選ばれる商品なので、なかなか環境への取り組みをPRするのは難しいが、だからこそ意義がある。社会の関心・意識をあげていくため、尽力したい」
味の素ゼネラルフーヅ ブレンディボトルコーヒーフレンドリーボトル

「エコサークル」で、ポリエステルを終わりなくリサイクル

ー帝人ファイバー株式会社マーケティング企画チーム 宮武龍太郎氏

shigen_4.jpg「1992年帝人グループ地球環境憲章制定以来、高分子化学の技術を使っていかに社会や地域に貢献していくか、各事業グループで考え始めました。ポリエステル繊維事業では、2000年にバージンのものとほぼ同等の品質を確保できるケミカルリサイクルの技術を開発、2002年に「エコサークル」としてオフィシャル発表しました。それから10年で150社にご賛同いただき、一緒に取り組んでいます。メリットは、ゴミの発生を抑制、原油消費の抑制、省エネ・CO2排出減(80%減)。年間4000万トンと全繊維の半分を占めるポリエステルを終わりなくリサイクルすることで、世の中に貢献できると考えています」
帝人ファイバー エコサークル

環境問題にまでさかのぼり、産業廃棄物処理産業としてなにができるかを模索

ー全国産業廃棄物連合会 青年部協議会 加藤宣行氏

shigen_5.jpg「産業廃棄物は年間約4億トン、業者数としては8万社あるのですが、これまで排出事業者であるお客様にどう選んでいただくかに注力してきました。産廃業者というと、どうしてもネガティブなイメージがつきまといますが、悪質なものは業界としても排除していきたい。「優良さんぱいナビ」を本当に応援していきたいと考えています。産業廃棄物処理産業という言葉自体、古いのかなという感がある。業界として、環境問題までさかのぼりなにができるか。現在は青年部では、CO2マイナスプロジェクト、CSR2プロジェクトに取り組んでいます」
全国産業廃棄物連合会 青年部協議会 CO2マイナスプロジェクト
全国産業廃棄物連合会 青年部協議会 CSR2プロジェクト

一企業の取り組みからエリアとしての取り組みへ。協業できる新しい仕組みづくり

ーエコッツェリア協会 井上成氏

shigen_6.jpg「大手町・丸の内・有楽町というエリアとして、100年1000年繁栄していくため、5年前に環境ビジョンを作成しました。産業廃棄物については、個々の事業所では積極的に取り組んでいますが、地域として大きな成果は出せておらず、まさに今取りくもうとしているフェーズ。三菱地所のデータを見ると、ペットボトルでほぼ100%、古紙で98%と回収できている一方、弁当がらなどの食品残さ系は手がつけられていません。環境を経営の柱に据えるなど、企業側の意識の醸成はできてきていますが、コストをこえられるかなど温度差もある。「3*3ラボ」というエリアで協業する場を設けるなど、新しい仕組みづくりに貢献していきたい」
大丸有環境ビジョン
3*3ラボ

循環型社会は世界平和につながる

5つの先進事例の紹介の後は、5名の発表者に、ファシリテーターの鳥取環境大学田中氏、環境省の森下哲氏を加え、パネルトークが展開されました。排出事業者、産業廃棄物処理事業者などそれぞれの立場から、資源循環を推進するにいたったきっかけ、認証マークの効用についてなど、意見交換がされました。

talk.JPG

このプロジェクトでコンソーシアムが形成されることについて、
「異業種の取り組みを知る機会は貴重」(パナソニック株式会社 増井氏)
「環境問題に貢献するというビジョンを掲げ、排出業者と産廃時業者が同じテーブルにつく意義は大きい」(全国産業廃棄物連合会 加藤氏)
「同じプラットフォームにのっかったうえで、今後どうシステムをどうつくっていくかがポイント」(エコッツェリア 井上氏)
と、大きな期待が寄せられました。

「現在、環境省では東日本大震災のがれき処理をトップクライオリティとしていますが、リサイクルは国是。歩みを止めるわけにはいかない。3月9日には小型家電リサイクル法も閣議決定されました。味の素ゼネラルフーヅや帝人ファイバーの事例のような同一製品の原材料に戻す「水平リサイクル」はこれからの大きなキーワード。世界の人口は2050年から60年にピークを迎え、地球が3つあっても足りないと言われており、資源をめぐる争いごとが増える可能性は大きい。循環型社会は世界平和につながるんだと、大きな目標を掲げて、それを日本の力とし、世界に貢献したい」
最後は、環境省森下氏のコメントで、2時間におよんだキックオフミーティングが締めくくられました。

「活かそう資源プロジェクト」キックオフ・イベント

gallery.JPG

「活かそう資源プロジェクト」のキックオフにあたり、環境省、企業・団体、地域が連携し、国産循環資源の国内活用の促進について考え、情報発信するキックオフ・イベントを開催。

全体概要
日 程:2012年3月27日(火)~29日(木)
会 場:新丸ビル10F エコッツェリア
(東京都千代田区丸の内1−5−1 新丸の内ビルディング10階)
主 催:活かそう資源プロジェクト(環境省)
特別協力:エコッツェリア協会(大丸有環境共生型まちづくり推進協会)

1) キックオフ・ミーティング 2012年3月27日(火)17:30~19:30
国産循環資源の活用促進について、主に「PETボトル」と「廃プラスティック」をテーマに、排出事業者及び素材メーカー、産廃業者、地域の代表者が集まり、コンソーシアムの活動の第1歩となるキックオフ・ミーティングを実施。

出演者:
ファシリテーター 鳥取環境大学 田中勝氏
環境省代表者 環境省 廃棄物・リサイクル対策部 部長 森下哲氏
参加企業・団体 :
・パナソニック株式会社 環境本部 資源・化学物質グループ 資源環境チーム チームリーダー 増井 基秀氏
・味の素ゼネラルフーヅ株式会社 リキッドコーヒー事業部長 島本憲仁氏
・帝人ファイバー株式会社 マーケティング企画チーム長 宮武龍大郎氏
・全国産業廃棄物連合会 青年部協議会 前会長 加藤宣行氏
・エコッツェリア協会 事務局長 井上 成氏

2)「資源を活かす」ワークショップ
廃棄物(資源)、再生素材に触れる・学ぶワークショップを実施します。不用になった資材や再生素材をつかって自分だけの小物やバックをつくる、4つのプログラムを実施。

ワークショップ1 外字新聞でつくるペーパークラフト (3月28日(水)15:00~17:00)
講師:(NPO法人NEWSED PROJECT・地域作業所hana)
ワークショップ2 おしゃれ古着でつくるブーツキーパー(3月28日(水)18:00~20:00)
講師:萬世リサイクルシステムズ(株)
ワークショップ3 携帯電話の解体&キーボードでつくる携帯ストラップ(3月29日(木)15:00~17:00)
講師:「エコキッズ探検隊」(株)アンカーネットワークサービス
ワークショップ4 PETボトル再生素材でつくるトートバック(3月29日(木)18:00~20:00)
講師:「3*3ラボ」(株)布